森に眠る少女 あおばさんより


その少女は旅の途中、たまたま出会ったコカトリスに石に変えられてしまったのでしょう。
まだ若く、自信にあふれていた旅の少女は危険だ、という宿の主人の言葉を笑い流してその森に足を踏み入れたのでしょうか。
石像へと自分の身体が作り変えられる瞬間彼女は何を思ったのか…。

長い月日によって少女の着けていた衣類はすっかり風化し、晒された美しい裸体は苔に覆われて森の風景に溶け込んでいます。
何処からか種子が運ばれてきたのか、もう永久に生命を宿すことが出来なくなった彼女の秘めやかな部分から、新しい若木が顔を覗かせているのは何か皮肉めいた印象を与えます。
信じられない…という表情のまま静かに森に眠る彼女はいま、妖精たちの格好の遊び場になっているようです。


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