千影:…ふぅ。
千影は小さく息をつくと目の前の石像に目をやった。
中級の悪魔の像…つい先ほどまで彼女と死闘繰りひろげた相手だ。
彼女によって魂の現世とのつながり断ち切られた悪魔の身体だったもの…今ではただの石の塊に過ぎないものに彼女は背を向け歩き始めた。闘いは終わった、兄くんのもとに帰ろう。
千影:…っっ!
しかし、何歩も歩かないうちに突然胸に激しい痛みを感じた。
続いて体が重く感じ動かすことができなくなり、呼吸も困難になっていった。目の前の景色がグルグルと回り、彼女はそのまま意識を失った。
意識を取り戻した彼女は目の前の光景に目を疑った。
悪魔の像に背を向けるようにして自分自身の石像が立っている。いったいこれは…混乱する彼女の背後から地の底から響くような声が響いた。
中級悪魔:小娘だと思って甘く見たぜ。今回はおとなしく封印されてやる。ただし、お前も一緒だ!
彼女が声のほうを見やると先ほど倒した筈の悪魔がニヤリと笑った。