作:牧師
「みんな、今日は舞菜の秘密の場所に案内してあげるね」
舞菜はお友達の留美、美琴、ゆかり、ありさに嬉しそうに話しかけた。
「ねえどこどこ?」
ゆかりが楽しそうに舞菜に話しかける。ありさや美琴もわくわくしている様子だ。
「この前発見したんだ〜。みんな、こっちこっち」
町外れの森の中に入ると舞菜のお姉さんの留美が話しかけてきた。
「舞菜ちゃん、この森は入っちゃダメだってお母さんが言ってたでしょ」
町外れの森は昔から迷子や神隠しなど色々噂され、大人は誰も近づかない場所だった。
「大丈夫だよ、だって舞菜この前もここに来たんだもん。ホラここから入るんだよ」
舞菜の歩いていく方向には古びた壁のようなものがあり、そこに子供が入れるくらいの
小さな穴がぽっかりと開いていた。
「舞菜ちゃんほんとにここ?」
喜んで付いて来ていたありさやゆかりも少し不安な様子を見せた。
「ほんとだって、舞菜、うそなんかつかないもん。みんなすっごくびっくりするよ」
舞菜に促がされゆかりたちが穴をくぐると、そこには広大な花畑が広がっていた。
「うわあ綺麗」
初めは注意していたはずの留美も、花畑の見事さに目を奪われていた。
「でねでね、ここって不思議なものがたくさんあるんだよ。あっちのアジサイのお花の
方には猫とか犬の彫刻があるし。あっちのヒマワリの方にはもっと凄いものがあるの」
舞菜は自分が見つけた珍しい物をゆかり達に紹介し始めた。
「舞菜ちゃん。それじゃあ、あたしと美琴ちゃんは猫さんの彫刻を見に行くね」
ありさは美琴の手を引いてアジサイの花の咲くほうに走って行った。
「舞菜はゆかりちゃんとヒマワリの方に行くね。お姉ちゃんも一緒に来ない?」
舞菜は留美に来て欲しそうに話しかけた。
「私は犬さんが見てみたいからありさちゃんの所に行くね」
部屋が犬のぬいぐるみで一杯になるほどの犬好きの留美から言えば当然の話だった。
「そうなんだ。じゃあねじゃあね、後でいいからヒマワリの方に来てほんとのほんとに
凄いんだから」
そう言うと舞菜はゆかりの手を引いてヒマワリの咲くほうに走っていった。
「かわいいな。こんなにかわいい猫の彫刻はじめてだよ」
美琴とありさのしゃがんだ先には猫の彫刻があった。猫が座ったままの姿勢で右前足で
何かを軽く突付いてる格好の彫刻だった。
「この子犬の彫刻。かわいいし良くできてるよね」
留美の視線の先には犬の彫刻があった。犬が立ったまま鼻先で何かを突付いてる格好を
良く再現してあった。
「アジサイもきれいだよね。見て見て、変わったカタツムリが居るよ」
アジサイには普通のカタツムリの他に混ざって、背中の貝の部分が七色に光るカタツム
リが居た。
「ほんとだ。それにおっかしい。このカタツムリ、片目をつむってるよ、左目は閉じて
るみたい」
カタツムリは右目は普通に黒い部分が見えるが、左目はまぶたを閉じてるようにも見え
た、いたずら好きのありさはカタツムリのそばにしゃがむと右手を伸ばしカタツムリの
左目を突付いた。
「ダメだよありさちゃん。カタツムリさんがかわいそうでしょ」
留美は後ろから注意だけして、また犬の彫刻の方へと歩いていった。
「べ〜だ。美琴ちゃんほら面白いよ。カタツムリさん目を開けてよ」
留美が離れた後、ありさは逃げようとしていたカタツムリの左目を突付いた。
「あれ?カタツムリ止まった」
ありさがまた突付こうと指を近づけた時、カタツムリはゆかりと美琴の方に顔を向けて
左目をゆっくりと開いた。
「美琴ちゃんカタツムリの目が開いたよ。赤い目だ・・・」
カタツムリの赤い目が光ると一瞬にしてニ人の体は石像と化した。ありさはしゃがんだ
姿勢でカタツムリに指を伸ばしたままの格好で石化し、美琴はかごんでカタツムリを見
た状態で石像に姿を変えた。後にはピシピシと何かが硬化するような音が響いた。
「あれ?どうしたのかな、静かになったな・・・」
少し離れてはいたがありさ達の話し声が急に途絶えたのが気になって留美は2人の所
に戻ることにした。
「ありさちゃん、美琴ちゃん、なにかあったの?えっ?なに?なんなの?」
ありさと美琴の姿を確認した留美はパニック状態になった。そこには2人がさっきまで
着ていたままの服装のままで、体だけが石に変わっていたからだ。
「ありさちゃん・・・」
留美がありさの顔に触れてみた。そこには暖かさは無く、つるつるとした硬い石の感触
が指先に伝わってきた。
「どうしてこんな事に?もしかしてあのカタツムリが?そうだ舞菜ちゃんに知らせない
とここは危ないカタツムリが居るって」
留美は石になったニ人を残して留美達の居るヒマワリの花の方へと走っていった。
「ゆかりちゃんこっちこっち」
美琴はゆかりの手を引いてヒマワリの花の少し奥へと入っていった。
そこに近づくとチリンと風鈴のような音とカチカチと大量のグラスをぶつけるような音
がしていた。
「凄い、これ全部ガラスのお花畑?」
ゆかりが周りを見渡すと、そこにはヒマワリや朝顔なさまざまな花のガラス細工が花畑
を作り出していた。
「凄いでしょ?だってここが舞菜の秘密の場所だもん。でもヘンだな?この前はこんな
に広く無かったんだけどな・・・」
最後の方の言葉はぼしょぼしょと小さく、ゆかりの耳には届かなかった。
「でも凄くきれい。ガラスのお花に・・・。ガラスのてんとう虫さんにガラスのカマキ
リさん、ガラスのチョウチョまである。後何んだろうこれ?ナメクジさん?」
ゆかりの見た先にはヒマワリがあり、その至る場所にガラスのナメクジがぬめぬめと動
いていた。
「舞菜も見るの初めてだよ。でもどうしてナメクジさんだけ動いてるのかな?」
ガラスのカマキリもてんとう虫も蝶も動かないのに、ナメクジだけは動いていた。
「舞菜ちゃんこっちにもナメクジさんが居るよ、きゃ」
ゆかりが数歩ほど歩いた所にあったヒマワリにも同じように無数のガラスのナメクジが
這っていた。ヒマワリの花の所に居たナメクジが数匹目ほどゆかり目掛けて落ちてた。
「なに?どうして?ま・・・舞菜ちゃん、ゆかりのお洋服がガラスになっていくよ。い
やだ。お願いナメクジさん取って」
目に涙を浮かべてナメクジを取って貰おうと振り返ると舞菜の体にも無数のナメクジが
張り付き、ヌメヌメとうごめいては舞菜の服や体をガラスに変えていた。
「あ・・足に大きなナメクジが・・・。い・・・いや、お願いだから舞菜をガラスにし
ないでよ」
舞菜の両足に這っていたのは、全長二十センチはある大きなナメクジだった。
「いやだ、いやだよ。舞菜の足がガラスになっちゃった。誰か助けてよ。きゃ、背中に
も入っちゃった。前からも・・・」
その大きな体で舞菜の足をいとも簡単に靴や靴下ごとガラスの彫刻に変えていった。
「体が・・・動か・・・な・・・い・・・。どうして?舞・・・菜・・・は・・・何も
・・・悪い・・・事して・・・な・・・」
舞菜の体を這う無数のナメクジは舞菜の小さな手も、膨らみ始めたばかりの胸も、お気
に入りのツインテ−ルの髪もゆっくりとガラスに変えてしまい、とうとう首筋から顔に
向かって何匹かのナメクジが這い上がり舞菜は声を出す事も出来なくなっていった。
『ごめんねゆかりちゃん、もう舞菜、声が出せないよ。あれ?もう何も見えな・・・』
ガラスのナメクジが舞菜の顔もガラスに変えた事で舞菜は完全にガラスの彫刻へとその
姿を変えてしまった。
「ま・・・舞菜ちゃんがガラスの彫刻にされちゃった。い・・・いや!!あっちに行っ
てよ!!」
ゆかりは体を左右に振って何とかナメクジを落そうとしたが、バランスを崩し後ろに尻
餅をついた。幸いにもスカートはまだガラス化していなかったため、服が砕ける事は無
かった。
「いった〜い。あ・・・いや」
転んだ拍子にスカートがめくれ、パンツが丸見えになってしまった。手を伸ばして直そ
うとしたが、ゆかりの両手は動いてはくれなかった。
「もう手が動かない。そ・・・そんな所お願いだから這わないで」
ゆかりのパンツの上をナメクジが這い上がり、その幼い丘をパンツと一緒にガラスに変
えていく。
「服の中にまで・・・。んっ、あぁぁぁ」
ゆかりは同い年の舞菜達や舞菜の姉の留美より大きくなったため、年にふさわしくない
その大きな胸を気にしていた。ゆかりの胸をナメクジは這い回りガラスの彫刻へと変え
ていく。
「舞菜ちゃん、ゆかりもガラスになっちゃうみたい。もう・・・だ・・・め・・・」
ゆかりの首筋をガラスに変えながら這い上がったナメクジはポニーテールのふくよかな
髪をおおきなリボン共々ガラスへと変貌させ、涙を流す瞳をガラスに変えられ、ゆかり
は舞菜と同じガラスの彫刻になった。
「え・・・?もしかしてこの彫刻がゆかりちゃんと舞菜ちゃんなの?」
舞菜が向かったヒマワリの場所にたどり着いた留美の目に映ったのはガラスの彫刻と変
わり果てた舞菜とゆかりの姿だった。二人の体は陽光を浴びキラキラと輝いていた。
「何?何なのよここ?いやっ!!いやー!!」
美琴とありさが石像に変られた姿を見た後にゆかりと最愛の妹がガラスの彫刻に変わっ
ている姿を目の当たりにし、留美の心は完全に恐怖におびえていた。
「逃げようここから早く」
留美は祈りながら力の限り走った。しばらく走った頃に甘いとろけるような香りが漂っ
てきた。
「何だろう?心が安らいで行く様ないい香り・・・」
心が大きなダメ−ジを受けた直後ということもあり、留美は引き寄せられるように香り
の漂う方へと歩いていった。
「いい香り、あぁ、この中からだ・・・」
留美が歩いて来た場所にも無数の石像が並んでいたが、魅入られた用に香りを出す植物
に引き寄せられていく。
「中に何があるんだろう?あれ?良く見えない。あぁぁぁ」
留美が覗いたのはウツボ蔓のような植物だった。その中を覗くと奥の方に丸い突起があ
った。それが陽光に反応して開き、そこから怪しい光りが留美の瞳を射抜いた。
「か・・・体が熱い。んっ、あぁぁん」
急いで植物を離し後ろに飛び退いた留美だったが、その体は怪しい植物の影響を受けて
留美の股からはキラキラと光る雫が止め処も無くあふれていた。
「体が動かない。あぁ指が石に変わっていく。でも気持ちいいのが止まらないっ!!」
植物から蛇のような蔦が無数に伸び留美の体を絡めて行く。そして足や手の指先からゆ
っくりと石へと変貌していく。
「ああん。んうっ、ひぁ」
蔦に絡め取られた腕や足の石化が加速していく。瞬く間に留美の四肢は石の彫刻へと姿
を変えていった。
「そんな所に・・・いや、でも気持ちいい。はぁあん」
植物のウツボ蔓のような部分が留美の秘所に張り付き流れ落ちる愛液を受け止めていく
蔦が腹部に巻きつき、服の下から胸の谷間を抜けて、首筋へと伸び留美の体が石へと変
わっていく。
「え・・・。私どうして?あ」
植物の術から解けた時には留美の体は殆ど石化していた。最後に瞳も石化し完全に石像
に変わった。
登場生物 (オリジナル)
カタメツムリ 固めつむりとも片目ツムリとも言われる。生態は他のカタツムリと
同じ。自らに危機が迫ると赤い左目から対象物を石化させる光りを
出し身を守る。
グラスナメクジ 動植物を自らの体液でガラス化させる、対象物がガラスに変わる時
に出る物質を栄養とする。
(亜種にジュエルナメクジやゴ−ルデンナメクジなどが存在)
メデューサカズラ 食人植物、主に人間の女性を魅了する香りを出しおびき寄せ催淫状
態・石化促進させる光りを出し抵抗できなくして蔦で取り込み養分
を吸収し石像へと変える。