潜入…白い館

作:牧師


「ひゃぁぁん、そ…そこっ!!はぁああん、き…きもちイイッッ!!」
 石造りの薄暗い部屋で女性が艶かしい嬌声を上げていた。
女性の名前は岩崎さとみ、二十八歳の主婦である。
数ヶ月前にソフトSMクラブ白い館の事を知り、興味本位で足を踏み入れた。
 さとみは両足を拡げたまま固定される特殊な椅子に座らされ、身体中を白い蝋でコーティングされていた。
滴り落ちる蝋から齎される快楽の為に顔を蕩けさせ、上下の口から涎を溢れさせていた。
「そんなにコレがきもちいいの?でも、隠してる事を早く喋らないと、貴女は快楽で壊れてしまうわ」
 片手に白い蝋燭を持った女性は、椅子に座らされたさとみの白い蝋でコーティングされた胸をゆっくりと撫で、
更なる快楽の沼に引き摺り込んでいた。
「あああぁぁっ!!な…何も隠してません。何も隠してませんから!!お願いです…もう許してくださいっ!!」
 さとみの表情からその言葉に嘘が無い事を確信し、白い蝋燭を持った女性は蝋燭をテーブルの上に置き、
真っ白い蝋製のディルドーを手に取った。
「ごめんなさい、どうやら人違いだったみたいね。でも…ここからこのまま帰す訳にはいかないの。だから…」
 女性は愛液の滴るさとみの膣口に真っ白い蝋製のディルドーの先端を押し付け、妖しい微笑を浮かべた。
「此の世の物では無い快楽を味わって蝋人形に変わりなさい」
 そう言い放つと、さとみの蜜壷を真っ白い蝋製のディルドーで奥まで一気に貫いた。
「ぅああああぁっ!!あなたぁぁっ、奈菜ッ…、ごめんなさい…、わた…し…、ひゃぁぁあぁぁん!!」
 蝋製のディルドーがさとみの身体を、膣内から真っ白い蝋へと変えて行く。
蝋製のディルドーにより、齎される快楽でさとみが身体を動かす度に、膣口から覗くディルドーの先が椅子に当たり、
その僅かな衝撃で魂が蕩けそうな程の快楽が齎される。
「ああぁぁっ…」
 さとみはその僅かな言葉にならない言葉を喉の奥から搾り出し、真っ白い蝋人形へとその姿を変えた。
女性がさとみの蜜壷に刺さったディルドーを引き抜き、小さな声で短い呪文を呟くと、
さとみの身体をコーティングしていた蝋がひとりでに動き出し、テーブルの上に集まって再び蝋燭の形を取った。
 女性はさとみの身体に何枚も札を貼って一時間程色々な儀式を施し、処理済と書かれたプレートをさとみの首に掛け、
ゆっくりとその部屋を後にした。

 白い館の地下にある女性の私室に一人の女性が訪れた。
訪れた女性の名前は絹川楓。楓は祓い衆という組織で巫女をしていた。
祓い衆とは、人々に仇なす淫獣などを退治、封印する事を生業にしている裏の巫女達の組織である。

 淫獣とは、淫は陰に通じ、陰は闇と同意、この世ならざる闇より産み落とされ生態は殆どが謎に包まれる獣。
様々な生き物の姿を模し、その殆どが、人間など精神的に進化した生物を特殊な能力で快楽に誘い精気を奪う事、
吸精した対象を石等に(結果的に)変える能力を持つ事、高い再生能力と催淫能力を持つ事位しか伝えられてはいない。
 その淫獣を古来より封印、滅殺する組織が祓い衆だった。
つい先程岩崎さとみを蝋人形に変えたのも、鏡花が使役する白蝋蟲型淫獣の力である。

「鏡花様、如何でしたか?」
 鏡花は少しだけ目を伏せ、小さな声で話しはじめた。
「あのさとみって娘、幕府の狗だと思ったんだけど、どうやら私の勘違いだったみたいね。悪い事をしたわ…」
 徳川幕府はとっくに滅んで、今は平成になっていたが、鏡花は今だに平成幕府になっていると思い込んでいた。
その為、白い館で働く従業員や、店に訪れた女性と話が噛み合わない事もあったが、鏡花自身は気にもしていなかった。
「幕府の狗がこの白い館を探ってるのは確かな筋からの情報だから、幕府の狗は他の娘みたいね。後怪しいのは、
先月から働き始めた、あの二人ね…」
 鏡花は本棚からニ人の情報が書かれたファイルを取り出し、入念なチェックを始めた。

「あ…、マネージャーさん。さっきの部屋の掃除の時にこの指輪を拾ったんですが…」
 事務所に戻った楓を待っていたのは、片桐麻衣というアルバイトの少女だった。
彼氏の誕生プレゼントを買う為に、三ヶ月前から時給の高い白い館で掃除などのアルバイトをしていた。
「ありがとう。私からお客様にお返ししておくわ」
 麻衣から渡されたのは岩崎さとみの結婚指輪だった。
楓はさとみの婚約指輪を貴重品を預かる為の金庫に収め、そのまま微笑みながら麻衣の側の椅子に腰掛けた。
「片桐さん今は他にやる事も無いし、お茶にしましょう。杉下さんと鈴木さんを呼んで来て貰えるかしら?」
 杉下美弥子と鈴木恵は一月前から白い館で働き始めた女性で、鏡花が幕府の狗と疑っている一人でもあった。
物静かな女性で、苦しくなった家計を助ける為に、一月前から白い館にパート社員として働いていた。
掃除や客への対応も働き始めて一週間程で問題無くこなし、休憩時やお昼のお茶汲み等も進んで引き受けていた。
 鈴木恵は美弥子の数日後から白い館で働き始めた女性で、鏡花が美弥子と同じ様に幕府の狗と疑っていた。
美弥子と違い良く喋り良く笑い、どんな時でも明るく振舞い、僅かな時間で白い館のムードメーカーになりつつあった。
しかし、真面目に仕事をするが失敗も多く、道具やシーツなどを床に落としては散らかす為、日が浅い事もあるが、
掃除以外の仕事を任せられる事は無かった。
 美弥子が二十六歳、恵が二十七歳。幕府の狗がこのあたりの年齢であるという情報があった事から、
さとみが幕府の狗と間違えられて、巻き込まれた原因でもある。
「皆揃ったわね、受付の七霧さんは後で私が変わってから休憩に入って貰いましょう」
 クッキーをつまみ、お茶を飲みながら、楓は美弥子と恵の様子を監視していた。

 一週間後、鏡花は楓の口から警察に岩崎さとみの捜索願いが出ている事を聞いた。
勘違いで蝋人形に変えた為、鏡花はさとみの夫や幼い娘を蝋人形へ変えていなかった。
その為、さとみの夫の義之が警察へ捜索を依頼していた。
「そう…、でもここに来た事がわかっても何も出来ないわ。それより幕府の狗を見つける良い機会かも知れないわね」
 鏡花は楓の耳元である事を呟いた。
楓は鏡花の言葉に頷くと部屋を後にし、指示通りにある準備を始めた。

 数日後、警察は白い館に聞き込みに来たが、幾つか話を聞いただけで白い館を後にした。
上層部からかなり強力な圧力が掛かっていたという事も、警察があっさり引き下がった原因ではあったが…。
 その日の深夜、事務所である物を探す人影があった。
明かりを点け、仕事をするフリをしながら、ただひたすらにある物を探していた。
「あらあら…ご苦労様、でも幾ら探しても其処にお探しの物は無いわ。ご理解いただけたかしら?鈴木恵さん。
それとも警視庁特殊事件課、涼峰絢乃さんって呼んだ方が良いかしら?」
 気配を消して入り口に立っていたのは楓で、その手には岩崎さとみの結婚指輪が握られていた。
 絢乃はゆっくりと楓に向き直り、鋭い視線を楓に向けて、今までとは違う口調で話し始めた。
「なるほど、流石にソレが見つかるとマズイって事は理解出来てたみたいですね。まあ証拠はソレだけじゃないんですけど」
 絢乃は在る筈の無い内ポケットから、誇らしげに薄型のデジタルカメラを取り出した。
「このカメラには此処で使われてる非合法の薬や無許可の医療器具、脱税の証拠や関係者の顔写真。
それに行方不明になった女性達の顧客名簿が写ってるわ」
 楓の動揺を誘い、事務所から抜け出そうとした絢乃だったが、確たる証拠を突きつけられても楓は顔色一つ変えなかった。
「失敗したフリをして、密かにカメラに収めてたって訳ね、何処まで調べてあるかは後でゆっくりと聞かせて貰うわ」
 楓が小さく呪文を唱えると絢乃の目の前に小さな鏡が現れた。鏡に映った自分と目があった絢乃が何度か瞬きした時、
絢乃の視界が大きく変化した。
「あれ?鏡に何も映らなく…。あれ?身体がうごかな…」
 楓は空中に浮かぶ小さな鏡を手に取り、鏡に封じ込められた絢乃に向って呟いた。
「祓い衆鏡面封印。祓い衆から逃げ出した巫女達や歯向かう者を捕まえる為の術よ。気に入って貰えたかしら?」
 絢乃の封じられた鏡をポケットに収め、楓は鏡花の私室へ向って歩き始めた。

 数時間後、Xの字を模った大理石の壁に、絢乃が両手足を縛り上げられていた。
当然身に纏っていた衣服は全て剥ぎ取られたうえ、アンダーヘアも完全に剃り落とされ、無防備な下腹部を露にしていた。
白い館による女性失踪の証拠が詰まったデジタルカメラも取り上げられ、完全に為す術の無い状態にされていた。
 絢乃の目の前にいたのは白い館のオーナーの鏡花ではなく楓だった。
絢乃は歯を食いしばって恥辱に耐え、楓を正面から睨みつけていた。
「あらあら怖い顔…。でもいつまでそんな顔でいられるかしら?貴女には色々聞きたい事があるから……」
 楓は懐から小さなコンパクトの様な物を取り出し、それを開き、絢乃に向けてゆっくりと翳した。
「簡単に石像にならないでね」
 鏡の様な物が輝き、その光を直視した絢乃の身体に劇的な変化が齎された。
子宮は疼き、乳首や肉芽は固くなり、全身からネットリとした汗が噴出した。
「ああああぁぁっ、急に身体が疼いて…、イヤッ…、こんなこと…、あ…ありえない…」
 気力を振り絞り絢乃が齎される快楽を振り払おうとしても、甘美な快楽が止め処なく全身に齎され、
膣口から銀色の愛液がフトモモを流れ落ちる度、その僅かな刺激で軽い絶頂に達していた。
「我慢しようとしても無駄よ。私がこうやってフトモモを撫でるだけで、貴女は堪らないでしょ?」
 楓が右手の掌で絢乃のフトモモを一撫でしただけで、絢乃の脳裏が真っ白に染め上げられた。
薄っすらと赤く充血しかけている、絢乃のピンク色の膣口から甘酸っぱい臭いのする愛液がプシュプシュと噴出していた。
絢乃が快楽の波に飲み込まれ、絶頂に達すると、パキパキという乾いた音と共に絢乃の両手足が灰色の石に変わり始めた。
「だらしないわね、私が術の威力を落としてなかったら、今ので貴女は完全に石像に変わってるわよ」
 石に変わった絢乃の右手を軽く叩きながら、楓は絢乃の耳元で囁いた。
「警察は何処まで調べ上げているの?貴女以外に此処に潜り込んでる人はいるの?」
 楓は絢乃の耳元から顔を離してにっこりと微笑み。
「お願いだから快楽で貴女が壊れちゃうか、石になる前に答えなさい」
 快楽を感じる神経の固まりになった絢乃の胸を、楓は両手で揉みながら、最後にそう付け加えた。

「ひゃぁぁぁぁぁん、ここ…に潜入し…てるのは…、わ…わたし…だけですぅぅぅっ。ああぁあん!!嘘じゃありません!!
証拠も…デジカメだけ…、いやぁぁぁっ、イクッ、またイキます!!」
 数十分後、楓が絢乃の胸や淫核に舌を這わせる度に絢乃は絶頂に達し、足元に大きな愛液の水溜りを作り上げていた。
数えられない程の回数絶頂に達していた為、絢乃は既にまともな思考が出来るかどうか怪しい状態ではあった。
絢乃の身体は両手足が完全に灰色の石に変わり、横腹や胸、肩の一部まで石へ変わっていた。
「他に話す事は無い?石像に変わる前に教えてくれないかしら?」
 楓は絢乃の蜜壷に突っ込んだ人差し指と中指で膣内を掻き回し、溜まった愛液を泡立てていた。
絢乃の膣口から愛液がプチュプチュと音を立てて溢れ出る度に、絢乃は津波の様な快楽に意識を根こそぎ押し流され、
脳裏を真っ白に染め上げられて、魂が蕩けそうな程の甘美な刺激の中で、更なる絶頂へと昇りつめていた。
 普通の人間なら脳が焼き切れて、廃人になっていてもおかしくない程の絶頂を味わっていたが、楓が術を施していた為、
絢乃は壊れる事も、石像になる事も許されず、終る事の無い快楽の拷問を受け続けていた。
「これいじょうは…らめれすぅぅう、わたしぃぃっ…の、はなせるこ…とは…、ら…らめっ、イクのがとまらなひぃぃぃっ」
 楓が術で抑えていた石化の進行だったが徐々に加速し、引き締まった腹部や、豊かな胸まで灰色の石へと変わり始めていた。
石に変えられようとしているにも拘らず、絢乃の顔には微塵の恐怖も感じられず、際限なく齎される甘美な快楽の波により、
整った美しい顔をだらしなく蕩けさせていた。
「そうね、これ以上貴女に話を聞くのは無理みたい。聞きたい事は全部聞けたから」
 楓は皮から飛び出て真っ赤に腫上がった絢乃の肉芽を摘まみ、優しく撫で。
「もう石に変えてあげる」
 そう言い放ち、絢乃の敏感な淫核を思い切り扱き始めた。
今まで感じた以上の快楽が溶岩の津波の様に絢乃を襲い、僅かに残っていた理性を激しい絶頂により焼き尽くされて行く。
楓が摘まんでいた淫核も、少し潰された形のまま灰色の石へと変わり、僅かに残っていた体温が完全に失われ、
冷たく固い石の感触だけが残される。
「うわぁあああぁぁっ……」
 絢乃は半開きになった口から咆哮の様な嬌声を漏らし、灰色の石像へと変わり果てていった。

「鏡花様、潜入していた鈴木恵こと涼峰絢乃の処理、完了しました」
 楓が私室にいる鏡花に報告に行くと、そこには四体の蝋人形が並べられていた。
四十歳位の女性が一人、中高校生程の少女が二人、八歳位の少女が一人、快楽で顔を蕩けさせて蝋人形に変えられていた。
「ああ、そこに居るのは鈴木さんを此処に送り込んでいた芹沢由岐さんと、その娘のかなちゃんとのぞみちゃん。
それにこの間、勘違いで蝋人形に変えてしまった岩崎さとみさんの娘さんの奈菜ちゃんよ」
 鏡花は絢乃の処理を楓に任せ、自らは数人の部下を従えて芹沢家と岩崎家を訪ね、四人を蝋人形に変えていた。
「ご主人達は霞が相手にして、快楽で心を壊したみたい。ご主人達はもう二度と誰にも何も話すことはないわ。永遠にね」
 高清水霞は元祓い衆の巫女で、修行中に巫女を五人、快楽を齎す術を使い廃人にした為に、祓い衆の里を追われ、
街を彷徨っていた所を鏡花に拾われていた。
「この娘達はそれぞれ家族セットでオークションにかけてあげるわ。離れ離れになるのは可哀想でしょう」
 鏡花は悪びれる事も無くそう言うと、潜入していた絢乃のせいで溜まっていた書類に目を通し始めた。
気に入りそうな娘が会員として登録していないか物色する為に…。


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