廊下の鏡(七不思議シリーズ)

作:デュール


夜の学校の鏡は見ちゃいけない・・・

何でかって?

それは鏡に取り込まれて・・・・



とある少年の名前は早川セイジ、セイジはなぜか今まで女の子の友達しかできたことがない。
最近になって転校した学校も女の子の友達ができた。
「セ〜イジちゃ〜ん」
「わわっ、いきなり抱きつかないでよぉ〜」
「いいじゃないかぁ〜抱いちゃ悪いかぁ〜」
ハイテンションな少女の名前は天ヶ崎レシィ、全校中でレシィの存在を知らない人などないほど有名、だけど有名なだけで人気は微妙
抱きつかれ、重くなったセイジの前にくすくすと笑う少女が一人現れた。
「ふふっ、相変わらず元気ですね」
彼女の名前は藤枝エイミ、何かとセイジのことに興味があり、唯一レシィを手なずける少女
「ううぅ〜〜、助けてくださいよぉ〜」
「はいはい、レシィちゃぁ〜ん、お菓子ですよぉ〜」
助けを求めるセイジ、エイミはポケットの中からクッキーを取り出しレシィに見せた。
「おかしぃ〜おかしぃ〜」
「早っ!」
あまりのスピードに突っ込みを入れるセイジ
「あむあむ〜」
「あはは、相変わらずですねぇ・・・」
「はい・・・・」
クッキーを食べ終えた後思い出したようにレシィは
「あ、そうそう最近この学校で行方不明者が出るって」
「え?そうなの?」
「知りませんでした・・・」
「しかもね、行方不明になった場所はね必ず鏡が置いてある廊下なんだって」
続けて説明をするレシィ、その鏡に興味を持つエイミ
「鏡・・・・ですか」
「あれ?廊下に鏡なんてあったっけ?」
すっとぼけるセイジ
「んもう、私達の教室の廊下でしょ?」
「あはは、セイジ君は鏡に興味ないっけ?」
怒るレシィ、笑うエイミ、そのWの追い討ちにセイジは赤くなる
「うぅ・・・・すみませんでした・・・・」
「でも本当かなぁ?」
「本当だよぉ、今まででも7人いなくなったんだから」
「こ・・・・怖いよぉ〜」
ぶるぶる震えるセイジ、しかし更なるセイジに対する追い討ちが来た。
「それじゃあ、今夜本当かどうか行きましょうよ」
「え・・・・?」
「んじゃ決定!今夜の9時ねぇ〜」
「え?え?ええぇ〜?」
「絶対遅れないでね?」
エイミが言っていることが半強制的に聞こえたセイジ
「・・・・・・はい」
弱々しく返事をするしかなかった。



そんなこんなでしぶしぶと夜の学校へと侵入するセイジ
「あ、来た来た〜」
セイジを見つけたエイミとレシィ
「よしよし、よく出来たね」
頭をなでるエイミ、セイジの顔は今にも泣きそうだった。
「ううぅ・・・・・早く帰りたいぃ〜」
「んもぅ、今始まったばっかりだよ!」
「ほらほら、泣かないの、早く終わらせようねぇ〜」
「うっ・・・・うっ・・・・うん」
そのまま歩き出す三人
歩いている途中、レシィが急に言い出した。
「あ、ごめんちょっとトイレに言ってくるね」
「え?うん、いいよ」
「先に行っちゃってもいいからね」
すたこらと去っていくレシィ
レシィの姿が見えなくなった後には二人がぽつんと立っていた。
「行こっか?」
「うん・・・・・」
また歩き出す二人


廊下の鏡の前に来た。
鏡はちょうど子供一人分すっぽり入るほどの大きさだった。
「なにも・・・・起きないね?」
「うぅ〜・・・・・早く帰ろうよぉ〜」
「まぁまぁ・・・・・ん?」
妙な違和感を感じたエイミ
「どうしたの?」
「いや・・・・何でもないわ・・・・」
とエイミが鏡に背を向けたとき鏡から数本の触手が現れ
「え?・・・・・・きゃあ!」
「え・・・・エイミさん!」
何が起こったのかわからないエイジ、その間にもエイミは鏡に飲み込まれる。
「あ・・・・・エイジ・・・・く・・・ん・・・・・」
エイミは助けを求めるが触手の力が強いためエイミを簡単に鏡へと取り込まれていった。
「あわわ・・・・・・どうしよう・・・・・・」
慌てるセイジ、しかしその声に反応したのか鏡から聞き覚えのある声がした。
(なら来ちゃいなよ、鏡の世界に・・・・)
「え?」
疑問を浮かべるセイジ、そのとたんエイミを鏡に取り込んだ触手がまた現れ今度はセイジを取り込み始めた。
「うわわわぁ〜、やめて・・・・やめてよぉ〜」
必死に抵抗するセイジ、だがその抵抗も虚しく鏡に吸い込まれていく
「い・・・・いやだ・・・・・よ・・・・・」
セイジもエイミと同じように鏡に取り込まれた。
さっきの騒ぎから一瞬にして静まり返る。



「・・・・・・くん・・・・・・・」
「・・・・・・」
誰かがセイジを呼んでいる
「・・・イジくん・・・・・」
「・・・・う・・・ん・・・・」
「セイジ君?」
「え?誰??」
誰かの声により気がつくセイジ
起きた場所は鏡が置いてある学校の廊下だった。
「・・・・ってエイミさん?」
目の前には首から下が透明になっているエイミだった。
「・・・・・」
「あれ?エイミさん・・・・・?」
「気がついたのね?」
セイジの後ろにはレシィがいた。
「レシィさん?」
「ふふっ・・・・・・セイジちゃんはまだ気づいてないのね?」
「え?」
よく見渡すと7つの透明なオブジェ飾られていた。
「もしかして・・・・・これって・・・・・」
「そうなの・・・・・みんな私がガラスにしたの」
「ど・・・・どうしてそんな事を・・・・・」
にやりとするレシィ
「ガラスって人の心と一緒なんだよ?」
「・・・・え?」
「だけど最近の子供達はねガラスの心じゃないの・・・・」
ほとんどガラスとなっているエイミに手を出しながら続けて言うレシィ
「だからね・・・・ガラスにしちゃえば戻るかな・・・・ってね」
「そんな・・・・・」
「じゃあ、エイミちゃんもガラスにしなきゃね・・・くす・・・・」
そしてレシィの手が光ると同時にエイミのガラスの侵食が始まる。
「レシィさん・・・・・やめてください!」
「だめ・・・・・だって面白いんだもん」
「お願いですから・・・・・やめてください!」
セイジの言葉も無視しエイミをガラスにしていくレシィ
ぱきんと音がした後にはきれいなエイミのガラス像が出来上がった。
「そんな・・・・・」
「次はセイジちゃんの番ねぇ〜」
「やめてください・・・・・・誰か来ますよ・・・・・」
抵抗するセイジ、だが既に遅くぱきりと音がした
「大丈夫・・・・ここは私が作った世界だから・・・・」
「ひやぁぁ・・・・・」
「どう?ガラスになっていく気持ちは?」
ガラスとなっていく足、だがセイジは落ち着いている、というより微笑んでいる。
「あ・・・・あ・・・・」
「気持ち・・・・いいでしょ?」
今まで必死に抵抗していたのに今は至福の笑みを浮かべるセイジ
「気持ち・・・・いいです・・・・」
虚ろな瞳になり、顔は赤く染め、ガラスの侵食はセイジをガラスに染めていく。
「ふふっ、やっぱりセイジちゃんはかわいいなぁ〜」
「・・・・・・・」
もはやいうこともなくなったセイジ、その頃にはセイジのガラス化は首まで及んだ。
「これは・・・・・セイジちゃんへのプレゼント・・・・」
とレシィはセイジにキスをした。
「あ・・・・・」
「ん・・・・・んぅ・・・・・」
ぽかんと口を開けたままセイジはガラスの像に変わった。
セイジがガラスになってもまだキスを続けるレシィ
「んふぅ・・・・・セイジちゃん・・・・・もう固まちゃったかぁ・・・・」
少しのため息をつき、よしとガッツポーズを決め
「ま、いっか、今度はどんな男の子や女の子にしようかな?」
とスキップしながら闇の中へと消えていくレシィ



夜の学校の鏡は見ちゃいけない・・・

何でかって?

それは鏡に取り込まれて・・・・

・・・・そしてガラス細工の彫像にされるからだよ・・・・

でもそういう事をしているのは・・・・

結構身近な人かもしれない・・・・

おわり


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