僕となのはと偽者と・・・

作:デュール


暗い暗い山の中・・・

僕は白い服を来た少女が目の前にいる・・・

僕は何故かへたり座っている・・・

その少女はとてもよく知っている少女・・・

だけど、今は僕の知っている少女じゃない・・・

そして、僕は僕じゃなくなっていく・・・

ねぇ・・・なのは・・・



どうして僕を石にするの?



「はぁ・・・はぁ・・・」
荒い息を立てるフェレット、彼の名前は『ユーノ・スクライア』本当は普通の少年の姿なのだが、とある事情でフェレットに変身している。
訳あって今は、魔法少女をやっている『高町なのは』の家に居候させてもらっている。
「夢・・・か・・・」
「ど・・・どうしたの?ユーノ君、かなりうなされてたよ?」
今日は土曜日、なのはの学校は休みで家でのんびりしている。
「あ、なのは・・・・いや、ただの悪夢だから・・・・」
心配そうに言うなのは、今まで一緒にいた友達なのだから心配するのは当たり前だ。
「そう・・・無理しないでね?」
「うん・・・ありがとう・・・」
だがユーノの表情は少し暗い
「・・・あ、そうだお散歩に行こうよ!」
「え・・・?」
唐突のなのはの提案に慌てるユーノ
「ユーノ君の気分が晴れるように・・・ね?」
「う・・・うん」
とりあえず頷いてみるユーノ
「それじゃあ着替え着替え・・・っと」
と脱ぎ始めるなのは、ユーノは慌てて
「わっ・・・わぁぁぁぁぁぁ・・・こんな所で脱がないで〜〜〜」
「え?・・・あぁ!そうだったね、ユーノ君は男の子だったよね?」
ちろっと舌を出すなのは



「いってきま〜す!」
肩にはユーノを乗せて出かける一人と一匹
誰もいない道でなのはの方から降り、変身をするユーノ
「ふぅ・・・・この姿も久しぶりだなぁ〜」
「じゃあ、行こうか」
歩き出す2人、最初は公園へ向かう。
「そういえば・・・」
「ん?」
ふと口にするなのは
「フェイトちゃん・・・今頃どうしてるかな?」
「元気でやってるといいね」
「うんっ!」
そして、色々と話しながら公園に着く2人
「じゃあ、ちょっとジュース買って来るね」
「うん」
と、走り去っていくなのは
「ふぅ・・・」
一息付くユーノ、空をじぃっと見る。


少年は走る・・・

急いで走っている・・・

一瞬何かに足を取られたのか、転んだ・・・

恐る恐る少年は足を見る・・・

それはもう自分の『足』ですらなかった・・・

暗い森の中・・・少年の目の前に少女が立っている・・・

これは・・・・僕・・・?


「あっ・・・あれ?」
ユーノはとっさに起き上がる。
どうやら熟睡してたようだが・・・
「ここは・・・森?」
辺りを見回す限り森ばかりだ。
「なのはが心配だ・・・・早く戻らなきゃ・・・」
と歩き始めようとするが
「え・・・・?」
ユーノの目の前には、なのはが立っている。
「なのは・・・・どうしてこんなところに?」
その姿は私服ではなく、なのはが始めての変身の際レイジングハートとともに作られたバリアジャケットだった。
「ユーノ君がほしいな・・・身体も心も・・・」
「え・・・?いや、こんなのなのはじゃない!誰だ!」
くすっと笑うなのは、そして一歩歩き出す、それと同時にユーノも一歩下がる。
「ひどいなぁ・・・ユーノ君・・・私なのはだよ?」
「違う!・・・違う!お前はなのはじゃない!」
ととっさに逃げ出すユーノ
深い森の仲を必死に逃げる。
(あれ・・・?これってどこかで見た事あるような・・・?)
『何か』を思い出すユーノ、だがその『何か』が思い出せない。
「あっ」
一瞬の気の抜けか、転んでしまう
(あれ・・・?やっぱりどこかで見た事がある・・・?)
『何か』を一生懸命思い出す。
だが、自分の足を見てそれ所じゃなかった。
「え・・・・?」
足の先からじわじわと灰色になっていく
「うっ・・・うわぁぁぁぁ!!!」
驚きの声を上げる、そして目の前にはなのはが立っている。
「あっ・・・・」
「ユーノ君・・・速いよ?でも、もうこれでゆっくりできるね?」
「あっ・・・あっ・・・」
半ば泣きかけのユーノ、なのははそのまま喋り続ける。
「もう・・・離さないよ?」
「い・・・いや・・・」
灰色はユーノの全てを侵食する。
腰まで灰色になりながらも、恐る恐る灰色部分を触る。
「い・・・石?」
「そう・・・ユーノ君今から石にしてるの」
そして石化した足を優しく触り、続けて言う
「そうすれば、ずっと一緒だよ?」
「や・・・やめて・・・・お願い・・・・」
「だめ・・・」
止める様説得するが、却下される。
石化はユーノの胸を飲み込む。
「あ・・・あぁ・・・」
今までの恐怖が耐えられなくなり、涙を流してしまう。
そして、今まで自由に動いていた腕も石化によりぴくりとも動かなくなった。
「あぅ・・・助け・・・て・・・・なの・・・は・・・」
口も石化し、喋る事すら出来なくなる。
「大丈夫、ずっと愛でてあげるから・・・」
(これって・・・夢と・・・お・・・な・・・・じ・・・・)
たった今思い出した『何か』、しかし思い出しても何にもならず、意識もぶつりと途切れた。
涙はそのまま頬を流れ、石となった身体に落ちる。
彼はもう動かない・・・










「あ・・・・あれ?」
目が覚めるユーノ、機会がたくさんある場所だった。
「あ、ユーノ君、大丈夫?」
「なの・・・は?」
目の前になのはが心配そうに見つめている。
「ここ・・・は?」
「アースラだよ・・・・ユーノ君本当に大丈夫?」
「え?・・・あぁ、大丈夫だよ?」
突然の質問に答える。
「そう・・・よかったぁ〜」
「わわっ!!」
突然なのはに抱かれるユーノ
「わっ、ごめんね〜」
「まったく・・・感謝してるのか?」
「むっ・・・」
どこかで聞いた覚えがある声だった。
「あ、クロノ君、それにアルフさんにフェイトちゃん」
「一応・・・僕も・・・・その・・・心配したから・・・」
何か言いたげだが言えないクロノ
「じ・・・・じゃ僕はこれで・・・・」
そそくさと出て聞くクロノ
「ふふっ・・・・あんな風にしてるけど、本当に心配してたのよ」
様子を見てくすくすと笑いながら言うフェイト
もう一人心配そうに見るアルフ
「もう、大丈夫か?」
「はい、お騒がせしました」
ベットからゆっくり降りるユーノ



「私、本当に心配だったんだよ?」
「え?」
夜の帰り道なのはが突然言う。
「私、帰ってきたらユーノ君がいなくて・・・探してたら、森の中で石になってて・・・」
「あっ・・・・」
記憶が蘇る、確かになのはに石にされた。
だが、そんな事言いたくはなかったユーノ
「私、すぐにアースラに連絡したの・・・・もしユーノ君がずっと石になったままだったらどうしようかと・・・」
「ごめん・・・だけど、僕もあまり分からないんだ・・・・」
暗い表情のユーノ、だがすぐに明るくなり
「だけど、なのはが助けられたのは変わりないよ」
「うん・・・じゃあそろそろ戻ってほしいなぁ・・・・」
「え?」
よく見ればまだ人の姿のままだった。
このまま帰ればどんなことを言われるか分からない。
「ごめんごめん・・・あ、そうだ今日はありがとう」
「え?」
変身をしたユーノは後に肩に乗り
「散歩に連れてってくれて、とんだ散歩だけどね・・・」
笑顔を見せるユーノ、釣られてなのはも笑顔になり
「うん、また暇なときにも行こうね」
「そうだね」
こうして、彼の不思議な体験はこれで終わり・・・
だが彼女達はまだまだ色々なことが起こりそうな・・・・予感?

おわり


デュールさんの文章に戻る