作:デュール
2月14日はヴァレンタインデー
それは言わずとも分かるっぽいので省略・・・
そんな騒がしい体育館の中、一人ため息をつく少年がいた。
彼の名前は『小春 結』女の子みたいな名前だがれっきとした男の子
今は3年生という最上級生だが・・・
「あ、せんぱ〜い!」
少女が結に声をかける。
彼女の名前は『高林 沙羅』、彼女は大のショタコンで、男の子を見るとつい胸キュンする・・・らしい。
それを抜きで見れば一般的な少女だが・・・
「あ、沙羅さん」
と結が言うと沙羅はぷくりと頬を膨らませ
「むっ、違うよ〜、『沙羅ちゃん』って呼んでよぉ〜」
「あぁ・・・ごめん沙羅ちゃん」
「うんうん、それでよし!」
さっきも言ったが彼は最上級生だ・・・・彼女達の前にしてみればそんな肩書きは無力だ。
「よっ!」
「うわっ!!!」
突然もう一人いたらしく結は驚きの声を上げる。
「何よ〜・・・私何かした〜?」
「あ・・・いや、突然現れたからびっくりしたんだよ・・・」
彼女の名前は『新月 百合』、完全なレズであり、結は遊び道具として見ていないよう・・・
普通から見れば、ただの趣味持った二人だが、去年のこの日に彼はとんでもない事をやられてしまい、未だに二人を恐れられている。
「先輩・・・今日、あれですよね?」
「え?あれ・・・って?」
はぁ・・・と溜息をつく百合は結の頭をぽんぽん叩き
「忘れないでよ〜、今日はヴァレンタインデーよ?」
「ヴァレンタインデー・・・・・って・・・あぁ、そうだった・・・」
彼の苦い思い出が蘇ってきた。
「じゃ、今日は何しよっかな〜」
「え?ちょっと、今やるの?」
慌てる結、二人は余裕の表情で
「ん?だって時間停止したし・・・」
「早っ!」
鋭いツッコミを入れる結
「さてと、今日はこれを着させよっかな〜?」
「またコス固めですか・・・」
「大丈夫ですよせんぱい〜、今回は直球勝負だから〜」
大丈夫と言いながら手渡されたのは・・・
「あの・・・これってリッp・・・」
「せんぱい〜ここは某電脳世界の怪盗少女といってくださいね〜」
「あ・・・うん・・・でもこれまたマニアックな衣装じゃ?」
ぴんと指を立てる百合、そしてはっきりと大きな声で言う
「問題ない!なぜならこれh・・・」
「だぁ〜これ以上言っちゃ駄目!訳分からん上にパクリになるから〜」
むっとしている百合を無視して着替え始める結
昨年ムリヤリ着替えられたのでこの二人の目の前で着替えるのは慣れてしまったらしく普通に着替える。
流石に人がいても時間を止めてしまえばどうという事は無いらしい。
時間停止はある意味役立つなと、慣れは慣れてしまえば恐ろしいな、と結はますます思う。
そんなことを思っていたら着替え終わった。
髪はかなり短かったのでツインテールには出来なかった。
とは言っても抜きだと大抵の人は「可愛い女の子だね」とか言われるだろう。
「うっわぁ〜せんぱいかわいい〜お持ち帰りしたい〜」
「駄目よ沙羅、この場合は固めてお持ち帰りよ!」
と百合が言うと二人は結を見つめる。
「あ、何か嫌な予感はしてたけど・・・やっぱりやらなきゃ・・・駄目?」
結のお願いに反して二人は室内が響き渡るように
「「駄目!」」
「あうぅ・・・やっぱりこうなる羽目ですか・・・」
「そーそー、そんな感じ〜」
ポーズ決めに何分か後、やっと決まる、。
ちなみに百合は座り込んだようなしぐさのポーズである、あんまし関係ないが・・・
「じゃ、いきますよ、せんぱい〜」
写真を撮るみたいに言う沙羅、まぁ、それに近い事になるが・・・
「えい♪」
百合が石化魔法をかけるが、その対象は沙羅だった。
「え?」
沙羅は考える隙も無く一瞬にして石像と化した。
その光景に結は慌てる
「え・・・ちょっと、友達固めてどうするんですかっ」
「ん〜・・・いや、たまには私だけで暴走したいなーとか・・・」
「暴走って・・・」
突っ込み所が微妙で突っ込めない結
「ま、そんなことより・・・彫像にしちゃおうかしら・・・」
「もしかして・・・ゆっくりとか?」
「あたりまえ!」
といいながら結にも魔法をかける。
「あうっ・・・・やっぱりこれ、慣れないなぁ・・・」
と言いながら足からじわじわと真っ白な彫像へと変わる。
「その方が萌えやすいじゃん」
「その方って・・・・やっぱり好みって分かれるんだ・・・」
数十分も経たずに胸まで固まってきた頃、突然結が口を開く
「そういえば・・・手加減は出来るんですか?」
「うん」
キッパリ言う百合、その対応に結は
「じゃ・・・じゃなんで・・・・」
突然言葉が途切れる。
(あ・・・口が・・・・)
「ん〜?どうしたのかな?」
とまだ生身の頭をぽんぽんと叩く
(うぅ・・・言いたい事あるのに彫像になっていくよ・・・・)
動かそうにも彫像となった身体は全く動くことを受け付けない。
「ま、質問は後にしてね」
百合がそういった直後には結は彫像への変化が終わっていた。
(ん〜・・・・少しだけ記憶操作しようかしら、さっきの事を気にしてたらうるさいし・・・)
時間が止まっている中動けるのは百合ただ一人だけだった。
「二人だけって言うと何だか恋人同士みたいね・・・・まぁ、私は女の子であれば満足だけど・・・」
「失礼な・・・それにしてもなんで某ネコミミみたいなかぶりものしてる少女なんですか・・・」
「ん・・・それは、何となくよ!」
某小さい魔法使い教師で真珠像にしたり、某義妹でフルート演奏が得意な少女でエメラルドの像にしたり・・・
ちなみに百合は固まった後は必ず写真を撮る、固める時点で悪趣味と言うか何と言うか・・・
「あれ?このコス、ストレートですね?珍しい・・・」
「ん〜、沙羅がやれやれ言うからさ〜」
「へぇ・・・・」
某和み系保険医でオパール像にしたり、某剣玉少年魔法使いでベリル像にしたりとたまに普通のコスで固めたり・・・
「何か今回宝石類多くないですか?」
「そりゃそうよ〜、少女は誰でも宝石が好きなのよ〜」
「誰でも・・・・ですか」
某月のお姫さまでラピスラズリの像にしたり、そのお姫さまに付くメイドさんでサファイアの像にしたり・・・
「女体化・・・予感はしてたけど、流石に実際にやってみると恥ずかしい・・・・」
「ま、いいじゃないの・・・宇宙人に女の子に改造されるよりはましよ〜」
「ごもっともで・・・・」
某関西弁で話す小さいメイドさんでトパース像にしたり、某自治警備団団長の少女でアメシストの像にしたりと昨年みたく、女体化させての禁断の弄びが繰り広げられていた・・・
「慣れって・・・怖い・・・」
「はいはい〜、じゃ最後はこれでね〜♪」
一つため息
「レズなのにノリノリじゃないですか?」
「気のせいよ!それよりこれこれ〜」
「・・・・・マジっスか?」
その衣装は・・・某魔砲使いの衣装だった。
「あ〜・・・いや・・・これは流石に・・・」
「色々と着こなしてきて何言うの!」
「うー・・・でも・・・」
言い訳を言おうとした結だが
「ムリヤリがいーい?」
「はい〜!勇気持って着替えさせていただきますっ!」
ムリヤリの言葉を聞いただけで悪寒がする結、昨年あんなことがあったから無理もないが・・・
「今回は派手にやりすぎじゃ・・・・」
「いいのいいの〜」
やっぱり何来ても似合う結、女物でも似合ってしまうというところがすごい。
「さて、リリカルマジカル固めちゃいますか〜」
百合はそう言うと、結が喋ろうとする間もなく魔法をかけた。
「うわっ・・・・ってまたチョコレートですか・・・」
「あったりまえ!ヴァレンタインデーならチョコレート化は当たり前!」
「当たり前二度も言わないでください・・・」
と言いながら結の身体は茶色にに染まっていく、無論自身の身体がチョコレートになっている。
そして数分も経たずにチョコ化は腰まで侵食している。
「あの・・・・百合さん涎・・・」
「あ・・・・あら私のしたことが・・・」
「食べる・・・つもりで・・・」
自分自身の末路の予想を結は百合に聞く、そんなことをしてる間にもじわりじわりとチョコレートになっていく
「さぁ〜?」
「食べるつもりだっ!確実にっ!」
「それは固まってからのお楽しみ〜」
百合のお茶目な発言も結にとっては恐怖を増進させる。
「うわぁ〜やめてやめて〜」
「そう言ってる間に喋れなくなっちゃったりして〜?」
「お願いだから・・・・・」
結は喋らなくなった、と言うより喋れなくなったのが適当だろう
「ふふっ・・・遊び甲斐があるわ・・・」
(遊び甲斐って・・・・うぅ・・・やっぱり僕って弄ばれる運命なのかなぁ・・・・)
そう思いながら結は意識を失い、彼(彼女?)の身体はチョコレートとなった。
「ふぅ・・・お疲れ様〜」
人気がない部屋で一人満足する百合がいた。
「と言うわけで、お疲れ様〜」
「えう〜・・・ずるいよ百合〜、私を置いて自分だけ楽しんで〜」
百合にぽかぽか叩く沙羅、百合は落ち着かせようと
「ごめんごめん、たまにはいいじゃない〜」
「むぅ〜・・・」
「あの・・・」
二人に対し結は少し暗めな表情で
「女体化・・・解除してませんが・・・」
「ん?いいじゃないいいじゃい〜、たまには女の子の気持ちも理解しなきゃ〜」
「いや、だからって一日中はキツイですよ・・・」
結は未だに女体化を解除されていなかった、そのおかげでクラスメイトから変な誤解を受けられそうになったりしていた。
「ま、明日になったら解除してかげるからね♪」
「うぅ・・・」
結の苦労はまだまだ絶えないようです・・・
おわり