まほらば〜部長(珠実)の野望?〜

作:デュール
イラスト:あおば


「え?本格始動デスか・・・・?」
「うん、そろそろ部長さんとして活動しなきゃ!」
部長と珠実が部活の自室・・・オカルト研究部部室で二人だけ話し合っていた。
「実際に何をスれば・・・いいのデスか?」
「それは既に考えてあるの、それはね・・・ごにょごにょ・・・・・」
「・・・・・・いいのデスか?ソんな事をしテ・・・・」
「ふふっ・・・・いいの・・・・・」
明らかに怪しい行動が開始される・・・・



「え?忘れ物ですか?」
突然珠実にそう言われた白鳥、話している途中でも器用に鉛筆を動かしている。
「うん、だからさ・・・・梢ちゃんと一緒に取りに言ってくれない?」
「え・・・・でも珠実ちゃんは?」
「私ちょっと用事があるの、今日持ってこなくちゃ困っちゃうのよ」
鉛筆の動きが止まって立ち上がり
「分かりました、じゃあ行ってきますね」
「ごめんねぇ〜」

「あの・・・梢ちゃん・・・」
「はい、何ですか?」
庭で掃除をしている梢に話しかける白鳥
「ちょっと珠実ちゃんが忘れ物をしたから僕と一緒に取りに行ってくれないかな?」
「はい、いいですよ・・・ちょっと支度をしてきますね」
とすたすたと荘に戻る。
(でも・・・・どうして僕と梢ちゃんなんだろう・・・・)
と少し疑問に思った。

「お待たせしました〜」
「じゃあ、行こうか梢ちゃん」
「はい」
と荘から出る二人をよそに電柱から一つの影が現れる
「ふふっ・・・・・これで・・・・」



そんなこんなで(?)青華短大附属高校へと着いた。
「そういえば白鳥さん、珠実ちゃんは何を忘れたんですか?」
「え?・・・・・しまった、聞いてくるの忘れてた・・・・」
ちゃっかり白鳥、珠実に重要な事を聞きそびれてしまった。
「う〜ん・・・・どうしよう、今から帰ったら時間がかかるし・・・」
と突然白鳥の前にひょっこり部長
「うわぁ!・・・・・って部長さん?」
「・・・・・人を幽霊扱いスるなんて、タマなしサンひどいデスよ」
「あ・・・・ごめんなさい・・・・」
癖なのかついつい謝ってしまう白鳥
「それで、部長さんは一体何をしにきたのですか?」
「あ、そウそウ二人に見せたいモノがあるの・・・・」
「見せたいモノ?」
「今のところハ来れる・・・・かな?」
と部長が言うと悩み始める白鳥
「う〜ん・・・でも忘れ物を取りに行かなくちゃ行けないし・・・・」
「忘れ物って・・・・これデスか?」
ひょいと部長が片手で持ち上げた物・・・・それは盆栽だった
「・・・・またこの忘れ物、また僕が持たなくちゃいけないの?」
「あはは・・・・がんばって白鳥さん・・・」
梢の影ながらの応援を受け、何とか立ち直った白鳥
「探す手間が省けたね、白鳥さん」
「うん・・・・それでみせたいモノって?」
「そウデした・・・こっちヘ来テください」


そして、2人が連れられたのは部長の部室・・・オカルト研究部の部屋だった。
「なんか・・・・ここの部室って初めて入るよね」
とちょっと緊張気味の白鳥
「あはは・・・・以外に普通だったりして・・・」
と天然全開な梢
「暗いのデ気をつけテください・・・」
文字通り、暗かった・・・・しかも無意味に広い
「デは・・・行きますヨ・・・」
「あ、はい」
と部長についていく二人
(ん・・・・・?)
違和感を感じた白鳥、周りに何体かの石像が置いてあった。
(あれ・・・・?どこかで見たような・・・・・?)
それもそうだ、今まで彼が会ったことのある人に似た石像だったから
(気の・・・・せいだよね?)
とそのまま気にせず乱立する石像の群を過ぎ、出口らしき光が見えた。
「出口・・・・ね?」
「うん・・・・」
出口らしき光を抜けると、月がよく見える夜の草原だった。
「あれぇ?もう夜?」
「あらら・・・・皆さんが心配かけちゃいますよ・・・」
と口々に言う二人
「クッ・・・・デは始めますヨ」
「始める・・・・って、何を?」
「見れバ分かリます・・・・」
部長の手から光が放つ
「さぁ・・・・まズは梢部員から実験デス」
「え?実験ってな・・・・」
梢は光に包まれ言葉が途切れる。
「うわぁ・・・」
あまりの眩しさに目を瞑る白鳥
激しく眩しい光の後・・・
・・・そこにあったのはちょっとした冷気にまとった梢と部長がいた。
だが、梢の様子が変だった。
「え・・・・?梢・・・・ちゃん?」
「呼びかケても無駄デスよ・・・」
白鳥がさらに呼びかけるが、梢は反応しない。
試しに梢の手を握る白鳥、だが帰ってきたのは金属特有の冷たい感触のみが帰ってきただけ
「・・・・・冷たい?」
「それもそうデス、梢部員には銀の像と化しテもらいましタ」
「銀の・・・像?」
「そう・・・銀化魔法・・・・デス」

「魔法・・・・嘘だろ?」
ぽかんと口を開いたまま銀色一色に染まっている梢、冷気は既に消えている。
「・・・・っは、もしかしてあの石像って・・・・」
「気がつキましたか・・・・その通りデス、あの石像は元は普通の人間だったのデス」
「そんな・・・・・酷すぎるじゃないですか!」
焦る白鳥、もしかしたらと思い部長に聞いてみる
「・・・・・まさか、僕まで・・・・こうなるんじゃ・・・・」
「そうですよ・・・・白鳥さん・・・・」
「・・・・その声は」
後ろを向く白鳥、その目の前には珠実がいた。
「珠実ちゃん・・・・」
「ふふっ・・・・これもこの部の活動のためなの、許してね」
「そんな・・・・そんな・・・・」
呆然としながらぶつぶつと独り言をする
「ふふっ、じゃあ部長さん、白鳥さんを金の像にしちゃってください」
「・・・・分かっタ」
呆然から焦りが出てきた白鳥、逃げ出そうとするが
「もう遅いよ・・・・バイバイ、白鳥さん・・・・」
手を振る珠実、絶望的な状況の白鳥、逃げ出すと言う事さえも喪失した。
「い・・・・いやだ、金化なんていやだ、助け・・・・」
梢のときと同じ激しい光が白鳥を包む。
光の後、ちょっとした冷気に包まれながらも金色に染まりつくした白鳥の姿があった。
珠実が固まった白鳥の体中を触る。
「冷たい・・・・白鳥さんこんなに冷たくなっちゃって・・・・」
と言いながら珠実はモノとなった二人を近づけさせる。
「せめて・・・梢ちゃんと永遠に隣にいてくださいね・・・・」
固まった双方はまるで王子さまとお姫様みたいだった。
「ふふっ・・・・部長さんのお疲れ様・・・・」
「・・・・お疲れ様デス」
と2人はこの場から去った。
なびく草原に残ってるのは冷たく変わり果てた白鳥と梢だけだった。



部室の扉を閉める珠実、少し間を置いて部長が聞く
「あの・・・これデいいのデしょうか?」
「ん?いいのよ・・・・私はあの二人を永遠のカップルに仕立て上げただけですよ」
ぽん、と部長の肩をたたき
「さ、警察に届け出ましょ、これでやっとオカルト研究部の大きな一歩ね・・・」
「・・・・そウデすネ」
既に暗くなっている学校の廊下を二人が歩く
(次は・・・・水無月家でも襲っちゃおうかしら・・・・)
と珠実はまた次の野望を思いついた・・・・


彼女らの活動は続く・・・・


おわり


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