まほらば〜夢でいてほしい忘れたい事・・・・〜

作:デュール


人は時に、夢と現実が分からなく時がある・・・



事の始まり・・・そう、千百合が初めて隆子・・・もとい隆士の前に出てきた時の事
「僕は男だもん!!トランクスぐらい履くさ!!!」
がむしゃらに叫ぶ隆士、もちろん千百合本人の前で・・・

ピシャーン

すごい反応だった、だがまだ信じられないのか
「・・・な・・・何をバカな・・・あなたが男・・・?
そんなことが信じられ「そうともさ、バリバリの男さ!!!」
そして止めを刺すかのように
「ホラこの通り髪だってカツラさ!!」
叫びに近い声を出しながら、金髪ロングのカツラを取る。
「これでも信じられないって言うならパンツでも何でも脱がしてみるががいいさ!!」
隆士は完全にヤケになり、泣き出した。
「・・・そ・・・そんな・・・あんなにかわいいのに男・・・ありえない・・・
というか私は男相手にあんなコトやこんなコトを・・・?」
呆然な千百合、そして我に返り
「ゆ・・・・許しません!!!」
「・・・・ふえ?」
突然の大声に驚く隆士
「私を騙すなんて・・・・・あなたは騙してて楽しいんですか!!!」
「こ・・・これは桃乃さんと珠美さんが無理やり「言い訳は聞きたくないです!!」
ものすごい威圧感、隆士は一瞬またさらに涙が出そうになった。
「この責任・・・取ってもらいますよね?」
千百合の(性格には桃乃の)眼鏡が輝く
「ひっ・・・・」
「さて・・・マイブラザー、用意はいいですか?」
マイブラザーこと珠実はガッツポーズを決めて
「OKですぅ〜」
「えっ・・・・えっ?・・・えっ?」
「少しの間眠っててください〜」
疑問を浮かべる隆士の腹に一発拳を食らわせる。
「はぅ・・・・」
目をぐるぐる回しながら隆士は気絶する。





「・・・・・ん?・・・・ここは・・・・」
気絶からいつ何分か経ったのか分からないが、隆士は起きた。
辺りを見回すが、彼には知らない場所だった。
「・・・・?洋館・・・?」
隆士の言うとおり洋館作りの内装だった。
「・・・・って何で僕またこんな姿に?」
今更自分の姿を確認する、もちろんメイド服のまま、ご丁寧にカツラと胸パットまで付け直してある。
、と突然何処からか聞き覚えのある声がした。
『それはその方がかわいいからですよぉ〜』
「この声・・・・・!珠実ちゃん?」
『そうですよぉ〜、それに白鳥さんは今から・・・ここから先は言わないでおきますね〜
では説明は千百合ちゃんから聞いてくださいねぇ〜』
「えっ・・・・ちょ、ちょっと」
勝手に話を進める珠実、そして次に聞こえたのはまた聞き覚えのある声
『ふふっ・・・説明はこの館から抜け出す事、まぁ、一人も抜け出せれないけどね・・・』
「ひ・・・一人もって・・・・・ってその声って千百合ちゃん?」
『そのちゃん付け出来るのも今のうちよ・・・では、スタート!』
千百合の声はそれ以降聞こえなかった。
「ここを脱出って・・・・こんな部屋に閉じ込められて・・・」
ドアに手をかけるとドアはすんなりと開いた。
「あれ・・・・?開いた・・・・」
そして次に隆士が目にしたものは・・・・
「石・・・像・・・・?」
大量の石像・・・廊下の端から端まで別々の形をした石像が置かれていた。
よくよく見ると人の形をしている、妙に本物そっくりだ。
(人が石に・・・・そんなわけないよね?石化なんて非現実だもん)
気にせず廊下を歩く隆士


何番目かのドアの前を通り過たとたんドンッという大きな音が隆士の後ろからした。
「えっ・・・?」
そこには彼とは違うが女装をした少年がいた。
カツラがずれていたので一発で分かったが・・・・
「あ・・・う・・・」
「き・・・君だいじょう・・・・えっ・・・」
ありえない光景だった、少年の体が石に変わっていく
「き・・・君も・・・早く・・・に・・・げ・・・・」
少年の言葉は途切れ、物言わぬ石像へと変化した。
「う・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁ」
隆士はつい大声を上げ、そこから走り出した。
ありえない光景、目の前にした現実、だが彼はまだ夢だと信じている。
(おかしいよ・・・・これっておかしいよ・・・・これ夢だよ夢だよ夢だよ)
何度もそう思いながらがむしゃらに走る隆士


「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
我を忘れて走っていたのでどっと疲れている。
背後の「何か」に気が付かずに
「・・・・出口は何処だろう」
ただ不安が募るばかりだった。
「ひゃっ・・・・」
突然ひやりと冷たい「何か」が隆士の足に絡みついた。
そして・・・
「うわぁっ」
何かに引っ張られたように宙吊りになる、それと同時にカツラが外れた。
「え?・・・何?・・・・何?」
何か起こったのか確かめるために周りを見渡す。
「どうしてこんな宙吊りに・・・・あっ・・・・」
彼は確かめた、だが「それ」は見てはいけないものだったかもしれない。
(なに・・・・・これ・・・・・?)
大量の触手だけの「それ」・・・・ただそうとしか言えなかった。
「それ」は問答無用に隆士の身体を弄り始める。
「あっ・・・・やめっ・・・・あふぅ・・・・」
触手は隆士のいたるところに入っていく
「い・・・・いや・・・・・そこは・・・・・・だめぇ・・・・・」
だんだん顔が赤くなっていく隆士、「それ」はそんなことも構う事もなく弄る。
「あ・・・・う・・・・やめ・・・・て・・・・」



何分かした後満足したのか、ぼろぼろの隆士を寝かす。
「もう・・・・・終わった・・・・早く・・・・逃げなきゃ・・・・」
逃げようとしても立てない状態なので、這うように逃げる。
だが、「それ」は次に隆士の身体を巻きつける。
「ひっ・・・もう・・・・勘弁・・・・してぇ・・・・」
しかし今度は違った。
隆士の足はぴしぴしと石になっていく、あの少年と同じように
「あ・・・・・あぁ・・・・いや・・・だ・・・・」
瞳を虚ろにしながらも必死に逃げる隆士
石化は足だけでなく身体に広がりつつあった。
「だめ・・・・だめぇ・・・・」
あっという間に首から上だけ生身でその下半身は石化した身体と「それ」の触手が絡みついている。
「いやぁ・・・・梢ちゃ・・・ん・・・・」
好きだった彼女の名を叫び、口が石化し喋れなくなった。
そして瞳さえも石化し目の前が暗くなる。
薄れ行く意識の中、最後まで夢だと信じながら、隆士は固く冷たくあられもない姿の石像へと変化した。
(あぁ・・・これは夢だ・・・夢だって・・・信じた・・・い・・・・)









「えっっ・・・・・」
見覚えのある天井、鳴滝荘2号室の天井
ゆっくりと起き上がる。
「夢・・・・だったんだね」
ほっと胸をなでおろす隆士
「夢じゃないですよ・・・・白鳥さん♪」
珠実だった、隆士はびくりとするが
「ふふっ・・・・冗談ですよ」
「・・・・・・」
冗談に聞こえなかったのか呆れ顔の隆士
「さてっ・・・・用が済んだから行きますね、今日はお休みですから寝ていた方がいいでしよ・・・・」
意外にそそくさと退散していく珠実、いつもならば何かをネタに何かとんでもない事をやらかしそうだが

今日はいつもと違っていた。
そして、ドアの前に珠実はぴたりと止まり
「ごめんなさい・・・・あんな事をしてしまって・・・」
微かであったがその一言が聞こえた。
その後すぐに部屋から出て行った。
「珠実・・・ちゃん・・・」
ドアを見つめ
「僕・・・・疲れてるかもしれない・・・・」
そういうと隆士は再び布団へ入った。


その頃珠実は隆士の部屋の前でもたれかかり
「・・・・・今日の私って変ですね・・・・・?」
そういいながら自室に戻っていく





この話は夢か現実かはあなた次第です。





おわり


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