魔法少年まじかるクロノの苦労しちゃったお話

作:デュール


第一任務:石化

「はぁ・・・・」
黒いバリアジャケットに黒い髪の少年クロノはため息をつく
『クロノ!ちょっと、どうしたの?』
通信越しから聞こえるエイミィの声
「ごめん・・・・死ぬかもしれないから・・・・」
『えっ?死ぬって・・・・』
通信を強制終了させた、ぶつりとエイミィの声が切れる。
クロノは一歩も歩かない
・・・いや、むしろ歩けないと言った方がいいかもしれない。
それもそうだ、彼は石化しているのだから。
(くぅ・・・・僕としたことが・・・・とりあえず、集中だ)
怒りと後悔混じりの反省会は後にし、今は見えない敵を探している。
腰まで石化しており、一緒に参加した局員も既に石化済みだった。
S2Uを両手で握り締め、感じ取るクロノ
(・・・・・・!)
「そこかぁぁぁ!!!」
すぐさまS2Uで見えない敵に攻撃をする。
爆破とともに現れたのは鶏娘だった。
今回の任務の敵、コカトリス娘だった。
「そっ・・・そんな・・・」
驚愕の表情を浮かべる。
「頑張ったけど・・・ここまでのようね?」
と言いながら石化ブレスをクロノに吹きかける。
「や・・やめろぉ・・・」
「これでやめたら魔物としてのプライドが許さないわ?」
じわりじわりとクロノは石へと変わっていく
「ふふっ・・・かわいいわねぇ・・・」
彼の相棒でもあるS2Uも少しヒビの入った石へとなっていく
むろん、身体も石になっていくのは変わらないが・・・
「あ・・・あぅ・・・」
首や肺など石化してしまったので、息が思うように出来ず言葉になっていなかった。
コカトリス娘はにこにこ微笑しながら彼を動けなくしていく
「おやすみ・・・もうあなたは私のモノよ」
「あっ・・・お・・・母さ・・・・・・」
苦しみが激しくなり、涙を流し、助けを呼びながら物言わぬ石像へと変わり果てた。
「ふふっ・・・・良い子ね、安心して・・・ちゃんとしたところに飾ってあげるから・・・・」
彼は指1本も動かせず、意識は消え去り、ただ立ち尽くすだけだった。




「・・・・ふぅ」
「もぅ!無理するからだよぉ〜?心配したんだからぁ〜!」
エイミィに泣きながら怒られるクロノ
この後、フェイトとアルフが助けに来てくれた。
フェイトにとってはコカトリス娘など楽勝だったらしい。
とりあえず、丸く収まったということだ。




第二任務:凍結

「おいっ・・・お前ここから出せ!」
「出すわけ無いじゃない、だって私は雪女なのよ?」
カプセルの中、クロノは閉じ込められている。
「それに・・・まさか時空管理局だなんてねぇ・・・」
「くぅ・・・・寒い・・・」
今回は雪女を捕まえる事らしいが・・・
局員は道中トラップにより氷付けになり、一緒に来たフェイトもご覧の通りクロノと一緒に捕らわれの身になっている。
「さらに、ミッドチルダ式の魔術師が来るなんて、私って相当ついてるのね」
「黙れ!後悔しても知らないぞ!」
「ふふっ・・・・そう言ってるのも今のうちよ?」
雪女は機械のレバーを少しずつ下げる。
「マイナス100度・・・あなた達は耐えれるかしら?」
「さ・・・寒過ぎる・・・・」
「い・・・いやぁ・・・」
2人に氷が張り付く、氷は成長し彼らを侵食する。
今まで強気だったはずのフェイトもこの寒さばかりは耐えれず、弱気になってしまっている。
「わかった・・・・だから止めてくれ・・・・」
「もう・・・許してぇ・・・・」
既に凍り付いてきた時点で限界を感じただろう、二人は見逃すよう言うが
「ふふっ・・・・ダメよ、こんなチャンス滅多に見られないしね、じゃあもう一段階下げるわよ?」
雪女はまたさらに下げる。
「マイナス200度・・・これであなた達も私のコレクションに加わるわよ」
「はぅぅぅ・・・・・」
「いやぁ・・・・死にたくない・・・・」
2人はさらに絶望する、凍りつく速度も速くなる。
凍りつく音が小さく時には大きく彼らには聞こえる。
「さて・・・もうそろそろ完成ね〜?」
彼らが凍りつくのを楽しみにしている雪女、それをよそにクロノとフェイトはただ絶望のみだった。
息が白く、身体は殆ど機能できず、死に近い状態だった。
「う・・・・誰・・・か・・・・」
「助け・・・て・・・・なの・・・は・・・・」
そして顔も凍りに包まれ、氷像となった。
『カチンコチン』と言う擬音が似合うほど、彼らの身体は凍り付いていた。
クロノは手を上に差し伸べたまま凍りついており、フェイト息を両手に吐いて暖め目を瞑ったま凍り付いていた。
「ふふっ、どこに飾ろうかしら?」
と言いながら凍りついた少年と少女を運び出す。




「へっくし!」
「大丈夫〜?」
慰めるエイミィ、毛布に包まり暖めているクロノとフェイト
彼らが凍った後、リンディが直接勝負に行き、結果リンディが勝った。
一緒に来たアルフは『アレは神業だ』とか呟きながら呆然と見てたらしい・・・・
今日もまた丸く収まったということだ。




第三任務:金化

(なんで・・・こう・・・固体化と縁があるのかなぁ・・・・?)
今回は機械要塞の機能を停止させる事だが、途中クロノは隊から逸れ迷った挙句、トラップ魔法に引っかかる始末だった。
下からゆっくりと金の像へと変わっていく
抵抗するが、全て無駄に終わる。
腰が金色となり、そして胴体が金色へとなっていく
「だっ・・・・・誰かぁぁぁ!!!」
助けの叫び、だがその叫びはただ響くだけ
(・・・まてよ?もしこのまま誰も来なかったら・・・)
悪い予想をするクロノ、それが原因でもっとパニックを起こしてしまう結果に・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
数分して腕もその手のS2Uも完璧に金色に輝いていく
「どうして・・・・いつもこんなことに・・・・」
諦めが心の大半を占めている。
「誰・・・か・・・」
最後の助けを呼ぶが、金化が阻み口も動かなくなった。
(そういえば・・・・彼女、どうしている・・・だ・・・ろ・・・う・・・・)
前に一緒に戦った少女を思いながら意識は途切れた。
金に染まった虚ろな瞳は周りの景色を映し出すだけ、そして金色の光沢を放っている。

この後は・・・・これはあなた達の想像にお任せします。

おわり


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