魔物対策部隊のお話 EPISODE1〜兄妹とシルク〜

作:デュール


「へぇ〜・・・・・恐ろしいものだねぇ〜」
ある報告書を片手に剣士のお兄さん「佐藤 涼」が呟いた。
それに続き、巫女の妹「佐藤 雫」は副部隊長に問いかけた。
「それで・・・・・守備隊はどうなったですか?」
「それが・・・・・怪我程度で済んだ模様で・・・・」
部下がそう言うと二人は声を合わせて
「「はいぃ!?」」
大声で叫んだあと別々にあきれる二人
「おいおい・・・・・怪我程度かよ・・・」
「まぁ・・・・死ぬよりはマシですね・・・・」
呆れ終わった二人は気持ちを切り替え副部隊長に聞く
「それで今どこにいるの?」
「はい・・・・・それが、まだ未確認の島でして・・・・」
二人は黙る、数分後、涼は立ち上がり
「はぁ・・・・・それじゃ、行こうか?その島へ・・・・」
「え?ちょ・・・・・お兄ちゃん、行こうかって今深夜の12時よ、もう寝なくちゃ・・・・」
涼は頭をかき回し
「あ〜らら・・・・・んじゃ明日・・・・っつー事で、まぁ今日は寝ろ!」
「はぁ・・・・・では失礼します!」
副部隊長が引くと兄妹は布団にもぐる
(まさか・・・・・少女限定のサミットの途中をなれうなんてなぁ・・・雫が心配だ・・・・)
(狙われたのが王女や女王だなんて・・・・・何かありそうね・・・・・)
そう思いながら眠りに付いた。



次の日、大部隊を引き連れ、謎の島へと上陸した。
謎の島・・・・その島は大きな森が広がっている。
この島にはあまり立ち入ったことはない。
というより、一度入ったら出れなくなる可能性が高いからだ。
森の中へと進む二人とその部下達・・・・それを見ていた一匹のハーピー「シルク」が見ていた。
「あらら〜・・・・なんか大変なことになりそう・・・・・と言うより絶対何か起きそう」
と誰も聞いていない独り言を言いながら彼女も森の奥へと入った。


森の中を進む部隊達、短気なのかすぐ疲れたようなため息をつく涼
「はぁ・・・・・いませんね怪獣・・・・」
「・・・・・ったく腰抜けてどっか行ったんじゃないんか?・・・・・・ん?」
出口かと思い、先頭を突っ切った涼、そこには何かの遺跡があった。
「全部隊停止・・・・・・これ遺跡だよなぁ?」
「遺跡・・・・・ですねぇ・・・・」
「どうする?・・・・・行ったら何か二度と出れない予感がするが・・・・・」
と言っている間に遺跡の奥から体長20メートルぐらいの怪獣が出る。
「あれま・・・・・やっぱり戦うのか?」
「・・・・・しかないじゃない?逃げようとしても無理かもよ?」
ため息をつく雫、戦闘に突入しようとしたとたん涼が雫を引っ張った。
「っちょ・・・・・何するの!」
「馬鹿!お前が真っ先に行ったら怪獣にはちょうどいい的になるぞ」
仕方なく引く雫、涼は命令を出す。
「剣士部隊は怪獣を真っ先に攻撃しろ、奴は俺らみたいな少年は興味なしだからな」
涼の命令に雫は呆れて
「興味なしって・・・・・かわいそう・・・・・」
雫の突っ込みは無視し次の命令を出す。
「それと巫女部隊は結界を張りながら攻撃しろ」
その命令に雫は驚き抗議する。
「ちょ・・・・・私だってちゃんとした巫女よ」
「お前は俺の妹だ、だからお前を危険な目に合わせたくはない」
涼がそういうと顔を赤らめる雫
「お兄ちゃん・・・・・」
「やばくなったら一緒に行く、わかったな?」
「うん・・・・・ちょっとの間、抱いてくれないかな?」
涼は黙って雫を抱く・・・


戦闘開始とともに来たシルク、だが既に遅かった。
「あらら・・・・・遅かったですね・・・・」
突然、無意識に飛んできた一人の剣士を受け取った。
「おわっと・・・・大丈夫ですか?」
とはいっても瀕死の状態だった。
「あぁ〜・・・・・川の向こうに死んだはずのお母さんが・・・・・」
「うわぁ〜・・・・・典型的セリフが・・・・・というか死んじゃだめだって・・・・」
とりあえず、名も無い剣士を楽な姿勢で寝かしたら、また別の剣士を受け止めた。
「またですか・・・・・でもこちらの方はまだ死に至ってないですね、大丈夫ですか?」
「・・・・・・痛い・・・・お姉ちゃん・・・・・・固くなってくよ・・・・」
はっとするシルク、戦場・・・もとい怪獣のいる方向を向くと、宝石と化した巫女達がいた。
「あらら・・・・・またやっちゃっいましたか・・・・」
もう来ないかと確認しながら、シルクは止めに入った。


抱き合う涼と雫、その時一人の剣士が飛んできた。
「うわ・・・・・・って雰囲気ぶち壊すなよなぁ・・・・・副隊長どうしたんだ?」
「あの・・・・・もう我々全滅に近いのですが・・・・・」
「あ・・・・・・そういえば戦闘中だったねお兄ちゃん・・・・・」
二人が向くと副隊長の言う通りほとんど全滅に近かった。
「巫女部隊はどうした?」
「それが・・・・・」
よく見ると戦っていた巫女達のの姿はいなかった。
代わりに巫女の彫像が並んであった。
「・・・・・・結界は?」
「よく見てください・・・・・・」
結界を張ってある巫女達がいる。
怪獣は光線を放つ、すっぽりと一人分の巫女を覆うほどの光線は結界を包んである巫女に直撃した。
普通ならば跳ね返るか、何も効果がないだが、覆った後現れた一人の巫女は綺麗なルビーの像になっていた。
「・・・・・・マジかよ・・・・・・勝てる相手じゃない」
「お兄ちゃん・・・・・行こうよ、やばくなったら一緒に行くって行ったじゃない?」
「・・・・・・そうだな、怪我人を連れて撤退しろ・・・・」
副部隊長は抗議をする。
「ですが・・・・・隊長は・・・・・」
「なぁに・・・・・戻らなかったら死にましたと報告しとけ・・・・・」
「分かりました・・・・全部隊撤退します・・・・・くれぐれも死なないでください」
怪我をした剣士などを連れて行く剣士もいれば、エメラルドになりかけの巫女を連れて行く剣士もいた。
とりあえず全部隊いなくなった、二人を除き・・・
「さて・・・・行くか・・・・」
「うん・・・・行こう、お兄ちゃん!」
兄妹は行く・・・・戦場へと・・・・



結果は当然のこと、怪獣の方が上だった。
シルクも止めは入っていたが怪獣は聞く耳持たなかった。
雫は長強力な結界を張ったはずだった。
その張ったはずの安心感が雫の最後だった。
少しは怪獣が放った光線には耐えれた。
だがその直後に貫通し雫は何かを言おうとしたが何も言えずに瑠璃の宝石へと変化した。
「・・・・・・」
涼もまた瀕死の状態に陥っている。
怪獣はとどめに踏み潰そうとしたとき、シルクが庇う。
「もう・・・・・気がすんだでしょ?だから殺すまではしないでね?」
「・・・・・・・・・・」
やっとシルクの意見が通じたのか、怪獣は踏み潰すのをやめ、遺跡の奥へと帰った。


「・・・・・・・・ふぅ・・・・・さて、もうここに来ないでくださいね」
息が荒いが、一生懸命喋る涼
「だめだ・・・・・・雫と一緒に帰らなきゃいけない」
「雫ってあの巫女さん?」
「・・・・・そうだ、だから元に戻すか、嫌だと思うが俺を何かの物質変化してくれないか?」
涼の言葉に少し悩むシルク、ですがシルクは最低限のモラルがあるので答えは見つかりました。
「わかった・・・・・元に戻す、その代わりこの島があったことはなかったことにしてくれるかな?」
「そういうと思ったさ・・・・・もちろん、なかったことにする」
「うん、それでいいのそれじゃあちょっと待っててね?」
シルクは何かの魔法を詠唱する、瑠璃像になった雫が元に戻る。
雫はその場に倒れこむかと思いきや自力で立ち上がった。
立ったと思いきや、すぐ涼のところに行く
「お兄ちゃん・・・・・・大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ・・・・・だから撤退するぞ?」
「え?・・・・・怪獣は?」
雫の手伝いを借り何とか立ち上がった。
「なかった事にする、ここはある意味危険な場所だ」
「・・・・・・う〜んなんとなく分かる気がするけど・・・とりあえず帰ろう」
帰ろうとしたときにシルクが止めた。
「そういえば、この巫女さんたちはどうするの?」
振り向く二人、投げやりなのか涼は
「・・・・・好きにしろ、煮るなり焼くなりしてな・・・・・・」
「じゃあも〜らい!・・・・・って私煮たり焼いたりしないって!」
シルクの間に受けた突っ込みに涼はため息をつき
「はぁ・・・・・・冗談が通じないのか?」
「もうっ・・・・・お兄ちゃんたら怪我人でしょ?」
「はいはい・・・・・じゃあな・・・・ってもう会えないがな・・・・」
雫もぺこりとお辞儀をし
「すみませんでした、変な事をしちゃって・・・・・」
二人は森の中へと消えた。
「・・・・・いっちゃった、何でかな?あの兄妹何も邪魔したくないような・・・・・って何行ってるんだろ私・・・・・」
シルクは背伸びをし向きを変え
「さてと・・・・・私は私で固まっちゃった巫女さんを並べなくちゃね!」
いつもの調子が出てきたのか元気が出たシルクはスキップで巫女の彫像群へと行った。



その後涼と雫は本国へと帰っていった。
もちろんあの怪獣事件はただの偶然として怪獣討伐作戦はなかったことにしてうえのものには報告を出さなかった。
そのまた3〜4年後、二人は除隊をしてどこかでひっそりと暮らしているとかいないとか・・・・
とりあえず、あの怪獣は二度と人のいるところへは行かないだろう・・・

おわり

対策隊キャラクターデータNO1

剣巫兄妹部隊(けんみきょうだいぶたい)
剣士と巫女で構成された部隊
部隊員を合わせると100人ぐらいになる。
大抵兄妹の隊員が多い


佐藤 涼(さとう りょう)
剣巫兄妹剣士側の部隊長
少し投げやりな性格だが剣技はかなり強い。
除隊した後、雫と一緒にどこかに暮らしており、剣道の先生をしているらしい


佐藤 雫(さとう しずく)
剣巫兄妹巫女側の部隊長
しっかりした性格でその分不安で兄思いなところもある。
札を使った攻撃が本来主力とするが、兄思いなせいもあるか、兄の支援に札を使っている
除隊した後、涼と一緒にどこかに暮らしており、巫女の仕事をしているらしい。


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