魔物対策部隊のお話 EPISODE2〜シスター&シスター〜

作:デュール


真っ暗な夜、普通なら閉店時間間近のような所に・・・
「え〜と・・・ここですね?」
ちっちゃい男の子『神鷹 キリル』が言う
「うん、そうだよお兄ちゃん」
も一人の神鷹より大きい少女
2人・・・いや4人の目の前には普通の料理店が立っていた。
「海鷹・飛鷹・隼鷹・・・全員いるか?」
「あの・・・・お兄ちゃん?」
「えと・・・・えと・・・・」
「・・・・え〜とコメント思いつかないわ」
三人からの言葉・・・一発で終わった
「・・・・うぅ、言って見たかっただけなのにぃ〜」
いきなり泣き出す神鷹
「あ〜あ〜・・・・泣いちゃ駄目だよお兄ちゃん」
「えと・・・・えと・・・・」
「あ〜・・・・え〜・・・・アイスおごってあげるから・・・」
「え?ホント?」
さっきの泣き顔から一変した神鷹、三人は一息つく
「では、行きますよ・・・」
「うん、悪い奴をやっつけよー」


さてさて彼らが来たのは『ハイランドウ』というぱっと見、普通の料理店だ。
そこに彼らにこの店になにやら怪しい事をしているという情報を受けて来た。


「いらっしゃいませー、4名様ですね?」
アルバイターのミリスが4人に寄ってきた。
「はい!」
元気に答える海鷹
「では、こちらへ・・・・」
ウェイトレスについていく4人

その4人を見つめる人が約2名・・・キッサだった。
「・・・あの子達可愛くてアルバイターに持って来いねぇ〜」
と独り言をつぶやき始める。
「あ〜・・・でもあの小っさい男の子がちょっと問題かな・・・?」
と勝手な評価をしている。
「う〜ん・・・・」
悩むキッサの後ろにおぼんを持ったハールピアが立っていた。
そしてそのお盆をキッサ目掛けて叩いた。
「痛った〜い・・・・って店長?」
「あ〜の〜ね〜・・・・早く仕事しなさい〜!」
「あ〜・・・すみません〜」
とぱたぱたとキッサは仕事場に向かった。
そして、ハールピアも4人を見つめる。
「アルバイターに持って来い・・・・ねぇ・・・」
にやりとするハールピア
「だけど・・・『きれいな花には棘がある』って言うわよね・・・相手もそう思っているわ・・・」
と言うとハールピアは仕事場に戻った。



「ご注文は何にしましょうか?」
キッサが注文を聞く
「ん〜何しようかなぁ〜」
「じゃあ、私はステーキセットで、焼き方はミディアムで・・・」
一番乗りで注文したのは海鷹だった。
「僕は・・・・ハンバークセットでいいかな?あとアイスも付けてね〜」
にこにこ顔の神鷹、またさらに飛鷹が言おうとしたが
「あの・・・・えと・・・・・はぅぅ・・・・」
真っ赤になって言いたい事が言えない。
「え〜と、そうね・・・グラタンセットと、その子にピザ頼みますね」
「ぁ・・・・ぁりが・・・とぅ・・・・」
真っ赤になったままかろうじてお礼を言う飛鷹
「かしこまりました、少々お待ちください〜」
と去っていくキッサ
「ふぅ・・・・さてどうしましょうか?」
「うん、ご飯来る前に片付けちゃおっか?」
と立つ兄妹、それに対して飛鷹と隼鷹はここから離れず
「私達はここにいます、いつものように・・・・」
「えと・・・・がんばってくだ・・・さぃ・・・」
と応援の声をかける2人
「うん、言ってくるね!」
「じゃ・・・・」
と元気よく神鷹と海鷹が行く・・・



「う〜ん・・・・どこだろう・・・・」
「あれ?迷っちゃったの?」
料理店の奥に忍び込み周りを見渡す兄妹
すると鉄製の扉から、なにやら声がした。
「・・・・・・ねぇ、お兄ちゃん何か聞こえない?」
「ん?そうかな?」
「ほら・・・・あそこから・・・」
誰かに気づかれないように兄妹は鉄製の扉に入る。
そこに兄妹にとってはありえない光景が広がっていた。
「何・・・これ・・・・?」
「凍ってる・・・・ね・・・・・」
冷凍庫、普通なら肉や魚があるはずだが、ほとんどが凍りついた少女ばかりだった。
「女の子が凍ってる・・・・」
神鷹がつぶやく
「もしかして・・・・あの店員達なんじゃあ・・・・」
「その通り・・・・でも、一生そうするわけじゃないよ」
「まったく・・・・勝手に入っちゃ困るねぇ・・・」
「え?誰?」
兄妹の目の前に立っていたのはハールピアとクララだった。
「わわぁ・・・・見つかっちゃったよぉ・・・・」
「あ〜・・・お兄ちゃん弱気にならないで!」
海鷹の言葉にきょとんとしたクララ
「お兄ちゃん?・・・・・冗談はそれまでにしてほしいなぁ・・・」
「それはそうと、あなた達、巷で噂の魔物対策隊ね?」
「うん、そうだよ〜・・・・そして僕が隊長なの」
「あ〜!!お兄ちゃんってば、敵の前で自ら名乗っちゃいけないでしょぉ〜」
さらに驚くことにハールピアも加えきょとんとする
「あの〜・・・・その小さい男の子は弟なのでは?」
「ううん〜、僕がお兄さんで隊長だよ〜」
「・・・・・」
「あ・・・・あれ?店長?」
考え込むハールピア、一体何が不満なのか分からないが考えている。
「ねぇ、もうそろそろ閉店だから、2人呼んで来てちょうだい」
「あ・・・・はい」
とクララが戻っていった。
(もしかしたら・・・・・女装とかでも萌えちゃうのかな、彼女は・・・?)


そのころ、飛鷹と隼鷹は料理を食べていた。
「・・・・遅いね・・・・・」
「そうね・・・・何かトラブルでも・・・ん?」
隼鷹が何かに気づいた。
「ねぇ、ちょっと来てくれない?」
「え?どうしたの?」
「ちょっと、店長が呼んでるんだけど・・・」
「え〜・・・でもお客さんが・・・・」
「少しぐらいならいいでしょ?」
「分かったわよ・・・・」
とクララとキッサとミリスが奥へ行く
そしてその3人の会話を聞いた2人
「ん〜・・・・もしかしたら、何かトラブルにあったんじゃあ・・・・」
「そ・・・そんな・・・怖いよぉ・・・・」
「はい、日本刀・・・」
「え・・・・・・」
突然ちょこんと日本刀を握られた飛鷹
「・・・・おっしゃあ!!!人でも魔物でも兵器でも何でも来いやぁ!」
「久々ねぇ・・・さて、私もなるべく自分の血、見ないようにしとこ・・・」
と奥へと2人は行く


「わぁ〜さっきの4人連れの中の1人だ〜」
「2人でしょ?」
「男は眼中に無し!」
「人としての自覚を持ちなさい・・・」
とうとう2人は料理店側の4人に捕まった。
「さて・・・あなた達はこの冷凍庫の中で急速冷凍して凍らせます」
「凍らせるって・・・・ちょっと止めてよ!」
「そうですよ・・・僕達をこんな寒い所に閉じ込めて・・・」
「黙れ、おちびさん♪」
笑った顔で酷い事をいうキッサ、ハールピアのおぼんツッコミが来た。
「店長、痛いってば!」
「いくら少女趣味でも許さないわよ、男の子だって一生懸命生きているんだから!」
「へぇ・・・・店長って少女趣味だけじゃなくて少年趣味が・・・・」
何回目だろう、またキッサにおぼんのツッコミが来た。
「痛い・・・」
「これ以上口出しすると・・・・分かるわね?」
「はい・・・」
「さて・・・・始めましょうか?」
冷凍が開始された。
「いやぁ・・・・凍り付くなんていやだよぉ・・・」
「さ・・・・寒い・・・・」
「当たり前よ、お兄ちゃん・・・今私達凍っていくんだから・・・」
兄妹同士、身体を摺り寄せ暖めようとするが、氷の冷気はそんな事もお構い無しに兄妹の身体を凍らせる。
少しずつと兄妹の身体は青白く変色していく
「いや・・・誰か・・・・」
「さむ・・・・い・・・・」
「え?お兄ちゃん?」
最初に凍り付き終えたのは海鷹だった。
何かを言いたそうな表情のまま虚ろの瞳の氷の彫刻となった。
「そんな・・・・お兄ちゃんが凍っちゃった・・・・」
「ふふっ、お兄さんの心配よりも自分の心配でもしたらどう?」
「ううぅ・・・・誰か・・・・助けてぇ・・・・」
青白い侵食は数分にして兄妹を同色にした。
「あらあら・・・・小さいからすぐ固まっちゃったわ・・・・」
くすくすと笑うハールピア、そこに飛鷹と隼鷹が来た。
「な・・・・隊長!」
「さぁ〜て・・・・血の錆になりたい奴はどこだぁ?」
「また変わった人が来ましたねぇ・・・」
「アンタもよっぽど変わってるって」
キッサの矛盾に突っ込みを入れるクララ
「くっ・・・・隊長をこんな風にして、ただで済むと思っているのか!」
「ふっふ〜ん・・・・あなた達の状況分かってる?」
「何・・・・?」
「既に凍っている2人は私達の手中よ?砕け散らせることだって簡単に出来ちゃうわよ?」
「「え!!!」」
隼鷹と同時に言ったのはキッサだった。
「ちょっと!あの女の子だけは勘弁してよね!」
「馬鹿!ただの脅しよ、脅し!」
「あ、何だ・・・」
と内緒話をしている隙に飛鷹が突っ込んできた。
「おらおらおらぁ〜〜〜早く逃げねーと日本刀にぶった斬られるぞぉ〜」
「おわっと!危ないじゃない!」
「わわわぁ〜斬られる斬られる!」
飛鷹の攻撃に散り散りになって逃げていく4人
「あ、そうだ・・・・クララ!冷凍庫のドア開けて!」
「あ、はい〜」
と急いでクララは冷凍庫のドアを開ける。
「ありがと・・・・さぁ、どっからでもかかってきなさい!」
開けっ放しの冷凍庫の前にハールピアが立ち飛鷹を挑発する。
「あぁ?いい覚悟じゃない?その面真っ二つよぉ〜!!」
「ほい!ついでに・・・・」
特攻する飛鷹をかわし、ついでに日本刀を取り上げた。
「はえ?・・・・・はぎゅ!」
冷凍庫に突っ込みそのまま転ぶ飛鷹
「・・・・あ・・・・何処?」
あっという間に気弱な飛鷹に戻った。
「早く閉めて!早く〜」
ハールピアが叫ぶ、キッサが閉めようとするが隼鷹が邪魔をする。
「!・・・・させるか・・・・きゃ!」
しかし、ミリスの必死な体当たりで食い止められた。
そして扉は閉じられた。
「さ・・・・さむぃ・・・・です・・・・・」
身体を摺り寄せながらふるフルと震える飛鷹
「ふふっ・・・・これで三人目・・・・・」
「ぃ・・・・ゃ・・・・だょ・・・・たすけ・・・・」
ついに飛鷹までもが凍り付いてしまった。
「あ・・・あ・・・・そん・・・・な・・・・」
「さて・・・・あなたも凍り付けにしてあげますよ・・・・」
「やめて・・・・やめて・・・・」
「大丈夫ですよ・・・・すぐ楽になりますから・・・」
4人に囲まれる隼鷹、そして・・・
「いやぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」
力の限りの叫びが聞こえた。
彼女の末路は・・・言わなくても分かるだろう・・・



その後話だが・・・
「ふぅ・・・・これで懲りたらいいんだけど・・・・」
「ですねぇ・・・」
ハールピアとクララが茶をすすりながら雑談をしていた。
「て・・・・店長!!!」
キッサが突然飛び出してくるように来た
「ん〜?なぁ〜に?」
「あの・・・・あの・・・・前の人たちが・・・・」
「「えええぇぇぇぇ〜〜〜〜!!!」」
裏口の前には荷物をまとめた4人の姿がいた。
「え〜と、今度からここに住まわしていただけませんでしょうか・・・?」
「OK、ただしガキは帰れ!」
パコーン!と今まで叩いてきたきた音よりもいい音が出た。
もちろん、こんなでかい音がするのでキッサは目をぐるぐる回しながら気絶した。
「ごめんねうちの店員が馬鹿な事言って・・・・それにしてもいいの?」
「うん、僕らもう普通の人に戻ったから」
「え?」
彼らの言うことはこうだった・・・
その後、自分達のやり方は間違っているかもしれないと思い、隊を止めたらしい。
だが、行くあてなどどこにも無いので、結局はここに住み込みということだった。
「そうね、最近忙しくなってきたし、アルバイターも欲しいところだったし・・・」
悩むハールピア、そして
「よし!いいわよ・・・正しその代わりといっちゃ何だけど・・・」
「はい・・・・?」

そんな訳で神鷹・海鷹・飛鷹・隼鷹の4人は料理店『ハイランドウ』に住む事となった。
しかし・・・
「はぁ・・・・息がしろ〜い・・・ひゃ・・・・どんどん身体が凍ってく〜」
「お姉ちゃん、僕胸ぐらいまで・・・凍っちゃったよ・・・・」
条件として、海鷹が姉として神鷹が弟としていくことという条件と夜は姉弟一緒に氷付けと言う条件であった。
何故か2人は軽く了承してくれた。
(もしかして・・・・・目覚めちゃった?)
と予想的な気持ちでそう思っていたハールピア
微妙に肌寒くなってきた秋の終わり頃だった・・・

おわり

対策隊キャラクターデータNO1

神職隊(しんしょくたい)
神職者(一言言えばシスターみたいな職業)のみで構成された部隊。
だが、部隊数はまったく持って不明・・・


神鷹 キリル(かみたか きりる)
神職隊隊長、背がこの部隊の中でも小さいのでよく子供と間違えられる。
だけど、彼は別に気にしていない、というより細かいところはまったく気にしない性格
射撃能力がダントツに高いが格闘能力はあまり期待できないほど
少女のように小さくても15歳


海鷹 キリル(うみたか きりる)
神鷹の妹でもあり副隊長でもある。
隊長である神鷹が小さく同じ身長な為、どちらが隊長なのか分からない。
しっかり者でもあり、マイペースな神鷹を支援する。
13歳でもある少女らしくしたい年頃


飛鷹 キリル(あすたか きりる)
12歳の双子の少女。
元々は親を失って、放浪の旅をしていた所に海鷹にスカウトされた過去がある。
部下の中でも最も能力が高く、海鷹の腹心にまでに上り詰めた実力型
少し恥ずかしがり屋で隊長・副隊長・そして隼鷹のみにしか普通に話せない。
だが、日本刀を持つと性格が一気に変わり、猛突猛進型に変化


隼鷹 キリル(はやたか きりる)
12歳の双子の少女。
飛鷹と同じく、最も能力が高い実力型。
はきはきとした性格なので恥ずかしがり屋の飛鷹のフォローをする。
だけど、自分の血を見ると急にへたり込み、弱くなると言う欠点がある。


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