魔物対策部隊のお話 EPISODE3〜狐さんと姉妹と兄妹〜

作:デュール



あるところにひっぴきのきつねさんとふたごのおんなのこがいました。

ふたりといっぴきはしあわせにくらしていました。

だけどあるひ、4にんのおとこのことおんなのこがきてきつねさんをつかまえようとしました。

きつねさんは『ふ』というものをつかって、3にんをたいじしました。

ですが、きつねさんはあとひとりのおとこのこがつよすぎたため、ぜったいぜつめいでした

でしがふたごのおんなのこがきつねさんをかばいました

そのかばうすがたをみて、おとこのこはつかまえるのをやめました。

とつぜん、きつねさんはおとこのこを・・・




静かな森のはずが何だか騒がしかった。
「フユナちゃ〜ん、レイちゃ〜ん・・・・助けてぇ〜・・・・」
「ユイちゃん・・・・」
ユイの前には13歳ぐらいの少年が日本刀をユイの首に突きつけている。
「そこの子、ユイを離しなさい!」
「・・・・・・」
少年は黙ったままフユナを睨みつけていた。
「睨みつけてないで・・・・何か言ったらどうなの?」
「・・・・・・」
少年は突然日本刀を突きつけていたユイの首から離し、そのままフユナに襲い掛かった。
「くっ・・・・レイ、ユイを連れて早く逃げて、ここは私に・・・・」
「うん、分かった・・・」
開放されたユイを連れてレイは逃げ出した。

「さて・・・・名前ぐらいは聞いてほしいんだけどねぇ・・・」
「・・・・わかった、どうせお前はここで死ぬのだから・・・・それに・・・」
「それに?」
「ボク以外にもまだお兄ちゃんやお姉ちゃんがいるからね・・・」
初めて知った真実に焦るフユナ
「くっ・・・・ま、いいわ・・・・ここで数分で終わらせてあげる!」
「ボクの名前は『響 孝太』・・・・・お兄ちゃんやお姉ちゃん以外は敵・・・・全部残滅する!!」
日本刀で先制攻撃をする孝太
「狐は人より頭良いって事身をもって教えてあげる!」
符を出し戦闘を開始するフユナ
「私には飛び道具があるのよ!不利に決まって・・・えぇ!!」
フユナはとっさに避けた、その避けたものとは・・・
真空波・・・・孝太の日本刀から出た真空波は一本の木を軽く切り倒した。
「う・・・そ・・・・・こんなの反則じゃない〜〜!!」
「ふん・・・・そんな事言ってる場合ですか?」
孝太はそう言うと連続で真空波をフユナにぶつけた。
「うわっ!うわっ!うわぁぁ〜〜〜〜!!!」
避ける事しか出来ないフユナ、このままだと時間の問題
(何か良い方法は・・・・・・!そうだ)
何か考え付いたフユナ、符を出し孝太に向かって投げる。
「ん・・・・?」
さっと軽く避けた孝太
「何?もう終わりですか?」
とフユナに日本刀を向ける。
しかしフユナは余裕の表情
「終わるのは・・・・貴方よ!」
「・・・・・・?」
孝太の足元から木の根が絡んできた。
「うわぁっ!!!木の・・・・根?」
「そう、私の使う符は生物の固体化だけじゃなく、自然の一部を操れるの・・・」
木の根は触手のように孝太の身に着けているものの内側に入っていく
「ひゃぁ・・・・くすぐったい・・・・・やめ・・・ひゃぁ・・・・」
「ふふっ・・・・ゆっくり木と同化していくからね・・・・じゃっ・・・」
「あっ・・・・まて・・・ひゃう・・・・逃げる・・・ひあぁぁぁぁ〜〜」
木の根が孝太の動きを封じていき、彼の身体は根と同じ木となっていく
「ふふっ・・・・頭を冷やすには丁度いいかもね♪」
と言いながら走るフユナ
殆どが樹木になり、抵抗すらも出来ない孝太
「やめろ・・・木になりたくないよ・・・・やめ・・・て・・・・」
孝太が泣き出したころには既に喋れず、完全に樹木と化していた。


ユイとレイに追いつくため走るフユナ、突然14歳ぐらいの少女が目の前に現れた。
「あら・・・・・また刺客?」
「ふふっ・・・・・よく分かったわね、私の名前は『響 沙羅』狐さんお命頂戴しますよ!」
「最近の私・・・・人気が出たのかしら・・・」
「そんな事言っている場合じゃないの?」
と沙羅の指先から雷を放つ、反応が早かったのかフユナはさっとその身をかわす。
大きな音とともに木に当たり、そのまま大きな穴を残し、倒れた。
「ちょっと・・・・・また反則技?」
「そんな事言わないでよ・・・・魔法って言ってちょうだい!」
「ふぅ〜ん・・・・・でも、これならどう?」
符を出し、発動させるフユナ
符から稲妻が走る、沙羅は微笑し
「ふふっ・・・・・魔法は私の得意分野、そんな攻撃が効くわけ・・・・」
バリヤを発動していた沙羅だったが稲妻は貫通し沙羅の足に当たった。
「うそぉ!・・・・どうして、あんな上級魔法あるわけ・・・・」
「残念ね・・・・これは符の力、魔法とは大違いだから貫通したわけ・・・」
ぴしぴし・・・と沙羅の身体は大理石となっていく
「い・・・・いやぁ・・・・」
「あら・・・・回復魔法とかはなのかな?」
「あ・・・・当たり前よ!私は攻撃系だけ極めただけなんだから!」
「へぇ〜・・・・っとそんな事言ってる場合じゃないや・・・」
と先へ進むフユナ、しかし沙羅は呼び止める、既に彼女の胸ぐらいまでが固くなっている。
「ちょ・・・・ちょっと!私大理石になったままここに立ち尽くすっていうの?」
「うん、ちょっとは反省してここで眠ってなさい・・・」
「そ・・・・そんなぁ・・・・・」
必死に抵抗するが大理石となっていく彼はもう既に腰から胸まで侵食されている。
「それじゃ、お休み〜」
そして走っていくフユナ、大理石になる少女を後にして
「あ・・・あぁ・・・・・誰か・・・・・たす・・・・」
最後まで抵抗する沙羅だが、大理石の侵食はそれを許さず、沙羅の全てを飲み込んだ。
ぴたりと喋りが止み、ただ森のざわめきだけだった。
一人の少女の大理石は立ち尽くしている。


「はぁ・・・・はぁ・・・・」
なおも走り続けるフユナ
「もしかして・・・・・まだいたりして?」
「その通りですぅ〜」
「やっぱり・・・・」
ため息をつきながら戦闘準備をするフユナ
「私の名前は『響 彩香』ですぅ〜」
「・・・・・そのですぅ〜言葉何とかならないの?」
「無理ですぅ〜、これは口癖ですぅ〜・・・・・では戦闘開始しますぅ〜」
と彩香は手を差し出し、力を込めた。
「・・・・?」
「えい♪ですぅ〜」
彩香は気抜けた声で言うと、フユナは無抵抗に吹っ飛ばされた。
「っつぅ・・・・・何なの?一体?」
「私は超能力が使えるのですぅ〜」
「・・・・なるほどね」
フユナはにやりとするが
(超能力・・・・苦戦覚悟で行くべきかしら?)
心理的には焦っていた。
「もう一発・・・・ですぅ〜」
「くっ・・・・・」
今度は避けるフユナだが
「残念、もう片腕を忘れてますぅ〜」
「なっ・・・・・しまっ」
また吹っ飛ばされるフユナ、今度は木にまともの当たる。
「くぅ・・・・・」
「さて・・・・もう遊びは終わりですぅ〜」
(何かいい案は・・・・何か・・・・)
手を差し出す沙羅、その時
(!そうだ・・・・)
何かを考え付いたフユナはさっと符を取り出し、沙羅の手に向かい稲妻が走った。
「え?・・・・えぇ〜〜〜・・・私の手が・・・・真珠に・・・・ですぅ・・・・」
両腕は真珠と化していく、フユナは立ち上がり
「ふぅ・・・・・形成逆転ね?」
「うぅ・・・・・固まっちゃいますぅ〜・・・助けてくださいですぅ〜」
「だ〜め、あんた・・・私を2回吹っ飛ばしたんだから・・・」
真珠の侵食が広がりつつある沙羅を後に走り出すフユナ
「後で元に戻してあげるから、今はそこで反省して立ち尽くしなさい!」
「うぅ・・・・・弘司お兄ちゃん・・・・私、真珠に・・・・・」
一瞬にして途切れた言葉、沙羅の綺麗な真珠像が出来上がった。


「はぁ・・・はぁ・・・邪魔が入ったから遅れちゃった・・・・」
今住んでいる家に到着したフユナ
「はぁ・・・・まだ一人いたのね・・・・?」
家の前に一人の女顔な少年が立っていた。
「ん?狐・・・・?」
「そうよ、私は狐のフユナ」
「ふ〜ん・・・・僕は『響 弘司』・・・あれ?3人は?」
「え?あぁ、あの三人だったら既にモノになって立ち尽くしてるんじゃないかしら?」
一瞬表情が真剣になったが、すぐ元に戻し
「そうか・・・・じゃあ僕と勝負だね?」
「そうね・・・・はぁ、これで終わるのねぇ・・・」
とため口を言っている間に弘司が剣二本持ち、フユナを襲う
「んもぅ!!なんでいつも先制攻撃なのぉ〜!!」
「先手必勝と言ってほしいんだけどなぁ・・・・」
避けるフユナ、攻撃を続ける弘司
(くっ・・・・さっきまでとはスピードも反応も早すぎる・・・・)
「ん〜?苦戦してる?」
「冗談じゃないわ、貴方ごときにやられてたまるもんですか!」
「そんな事言ってる場合じゃないんだけどなぁ・・・・」
息が荒くなっていくフユナ、しかし弘司は汗の一粒もかかない。
「きゃぁ!!!」
避けるのに夢中になりすぎ、とうとう追い込まれた。
「さて・・・・これで終わりだね?」
「くっ・・・・」

「だめぇぇぇ!!!」

弘司がとどめを刺そうとしたとき、どこからか大きな声がした。
「ユイ・・・・それにレイまで・・・・」
「フユナちゃんを殺さないで・・・・」
「お願い・・・・フユナちゃんは私達唯一の家族なの!!」
「・・・・・・・・・」
双子の抗議に一時黙る弘司、そして決断したかのように
「分かった・・・・その代わりに固まった3人を元に戻して・・・・」
ピシッ・・・と弘司が言い終わる前に乾いた音がした。
「・・・・・え?」
足元を見る弘司、その足は既に人の足ではなく固いブロンズ像となっていた。
「な・・・・足が・・・・」
「油断は最後までならないのよ・・・・弘司君♪」
お茶目なことを言うフユナ、弘司の足から青銅の侵食が這い上がっていく
「あ・・・あ・・・」
顔を赤くしながら慌てる弘司
(・・・・・・・?何で顔を赤くしてるのかしら?)
「あ・・・・動かない・・・・」
「そりゃそうよ・・・・貴方、ブロンズ像に変わってるんだから・・・・」
フユナの言葉にさらに顔を赤くする弘司
「あぁ・・・・足だけじゃなくて・・・・・手も固めてぇ・・・・」
「はいぃぃ!!!」
突然の事だった、弘司の一言にフユナ・・・いやユイとレイを含めた三人が驚く
「じゃあ・・・・・お言葉に甘えて・・・・」
と符を取り出し発動させる。
符から稲妻が走り弘司の両腕に当たった。
当たった部分から両腕はじわじわと青銅の塊になっていく
「あぁ・・・・・僕・・・僕、青銅の塊になっているんだよね?」
「・・・・・うん」
変な質問にただ頷くしかないフユナ
「そうなんだぁ・・・・・固くなっていくんだぁ・・・・・」
弘司の顔はまだ真っ赤に染まっていたと同時に青銅の侵食も彼の身体を染めていった。
そして、首から上以外はブロンズ像となっていった。
「僕が・・・・はぁぁぁ・・・・」
かわいい笑顔を浮かべながら弘司はブロンズの像へと化した。
「もしかして・・・・・固められ好き?」
とフユナが固まった弘司を見て一言言った。


そしてフユナは彼らを1週間後元に戻して森の外に出した。
それで、彼らが来た理由は対策隊の仕事・・・・
・・・・らしかったのだが行く森を間違えさらにフユナについてのデータも旧式でフユナと言うターゲットは既になくなっていた事に気がつかず言ってしまったの事
そして・・・


「・・・・・え〜と」
自宅の玄関へ行き、ドアを開けたら目の前に弘司が立っていた。
「こんばんは・・・・・やっぱり忘れられないや・・・・」
「また・・・・・なの?」
「うん・・・・」
何故かは知らないが、弘司たった一人が一週間に一度はフユナのところに来ては固められに来ている。
ちなみに言うと、ユイとレイも混ざって弘司を弄んでいるらしい・・・・
(ふぅ・・・・・一週間に一度だったらいいけど、毎日は勘弁よねぇ・・・・たまにでいいから弘司君の兄妹とかも呼んでほしいな・・・・・)
と思いながら、弘司と一緒にフユナの私室に行く、一人の少年が喘ぎ声が聞こえながらモノとなっていくのを想像しながら・・・

おわり

4兄妹隊(よんきょうだいたい)
たった4人の兄妹で構成された部隊、4人とも名字は同じだが血はつながっていないただの別人
その4兄妹は多くの戦闘を潜り抜けエリート級まできたというめったに見ない部隊


響 弘司(ひびき こうじ)
長剣二刀のみで戦う16歳の女顔な少年、リーダー的存在
めんどくさがりや、それが災いになり沙羅とよく喧嘩をする。
そんな性格のせいか、固められるのに憧れている・・・・らしい。


響 孝太(ひびき こうた)
無口な弘司の弟、日本刀一本で戦ってきた13歳のすごい少年
戦闘中のみよく喋る事から別名「冷静少年」という名がついている。


響 沙羅(ひびき さら)
14歳で攻撃型魔術を極めた弘司の妹で孝太の姉、しっかりした性格で弘司と喧嘩になったりもする。
ほぼ全ての魔術を会得しているのである程度の技はほとんど効かないらしい。


響 彩香(ひびき あやか)
沙羅の妹で弘司の妹でもある、孝太にとって話しやすい相手らしい、「〜ですぅ」が口癖。
普段でも戦闘でもぼけぼけ〜なペース
銃などの兵器を扱う他にも超能力が使える12歳。


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