魔物対策部隊のお話 EPISODE4~仁淀&神通編~

作:デュール


「ふえ~・・・・」
「ふふっ、もうっ・・・・抱きつきたくなるじゃない♪」
と2人がそんなことをしている所を一人の少女が監視している。
この国の住人、キッサだった。
「女装ねぇ・・・・そりゃ、確かに男子禁制だけど・・・・」
少しの間考え事をして
「・・・・ま、いいか・・・・私、男の子でも平気だし、後はコヨイにばれない事を祈りましょ・・・」
と言いながら2人の後を追いかける。



「ね~ね~、食事にしない?お腹すいちゃった」
「えと・・・・・今は任務だけど・・・・」
ぐぅ~・・・・とお腹が鳴る音が仁淀からした。
「・・・・・ちょっとだけなら・・・いいかな?」
「ふふっ、なんだかんだ言って仁淀ちゃんもお腹すいてるじゃない~」
神通に言われた仁淀は
「・・・・てへ」
とお茶目に舌をちろっと出しながら言った。
「んもぅ!!かわいいんだからぁ~!!」
「ふにゃ・・・・は・・・恥ずかしいよぉ・・・・」
気づけば周りの視線が集中されていたので神通は慌てて
「おっと・・・・じゃあ入ろっか?」
「・・・うん」
顔を赤らめながら仁淀は神通に連れてかれながら料理店へ行く



「いらっしゃいませぇ~、何名様ですか?」
女の子店員が言う。
「2人です」
「かしこまりました、お席はあちらです」
店員についていく2人
「こちらです・・・」
「は~い・・・・・ってあれ?」
目の前には一人の少女・・・・キッサが座っていた。
「あの・・・・ここってもう既に・・・・」
「あの人がお呼びでしたよ・・・・」
「あれ?」
神通は少々考え、仁淀の耳に口を近づける。
(ねぇ・・・・戦状報告しろって行ってたっけ?)
(え?ボク聞いてないよ?)
(あれぇ?何かあったのかな?)
(とりあえず聞いてみないと・・・・ね?)
と内緒話が終了したところで席に座る。
「で・・・・何か用ですか?」
「あら、冷たい・・・そっちの男の子に対しては・・・・ね?」
「なっ・・・・何言ってるんですか!」
大きな声を上げながら立ち上がる神通、客が全員こっちに注目する。
「あ・・・・」
恥ずかしそうに座る、キッサが話を続ける。
「ここじゃ話しづらいでしょ?私についていって・・・
・・・と言いたいところだけどあなた達相当空腹ね?」
「え?・・・・はい、そうですよ」
「ボクも・・・・お腹空いた・・・・」
「そうだろうと思ったわ、先に注文済ませておいたから、もうすぐ来るはずよ」
「お待たせいたしました・・・・」
2人は食事を済ませ、外に出る。



「さて・・・・ここがいいかな?」
人気の無い裏通り・・・・ぽつんと3人がいるだけ
「それで・・・・」
「その子が何で男の子が分かったって・・・・言いたいんでしょ?」
先を呼んだかのようにキッサは言う。
「あなた・・・・・誰、私達とは何も関係ないようだけど・・・・」
「ふふっ・・・他の人が騙せても私には騙されないわよ」
「もしかして・・・・・敵?」
仁淀がぼそぼそと言う
「そうね・・・・あなた達にとっては敵ね、私の名前は『キッサ』よ」
「へぇ・・・・でも、あなたは1人、私達は2人、どう見ても私達の方が・・・」
「何言ってるの?あなたの周り気づいてないでしょ?」
「へ?」
2人がよく見ると周りには銃を持った少女達がいた。
「なっ・・・・・卑怯じゃない!」
「ここは私達の国なのよ?勝手に入ってきたあなた達が悪いのよ・・・さて、この二人を凍らせちゃいなさい・・・・」
あっさりと恐ろしい事を言うキッサ、そして銃を持った少女達は銃を2人に向ける。
「あっ・・・・」
「ひっ・・・・」
最初は神通に向かって撃ったが、神通を庇う仁淀の姿がいた。
「えっ・・・・じん・・・でん・・・?」
「あっ・・・・冷た・・・い?」
庇った仁淀の胸から下半身は氷の膜に覆われ動く事さえも出来なくなった。
「あ・・・う・・・・」
「仁淀・・・・どうして!」
「女の子を・・・守るのは・・・男の子の・・・役目だから・・・」
2人が話している間にも少女達は無情にもぴしぴしと仁淀の氷像に仕立て上げていく
「だか・・・ら・・・はや・・・く・・・に・・・げ・・・・」
そして仁淀は凍りついた、呆然とする神通、凍った仁淀の氷の身体からは神通が映し出されていた。
「そん・・・・なぁ・・・・」
「泣いてる暇があるの?」
「えっ・・・・あっ・・・・」
今いる状況に気づく神通、だが気づいた後には既に遅く・・・
「い・・・やぁ・・・・凍って・・・・い・・・く・・・・よ・・・・・」
あっという間に神通も氷像に仕立て上げられた。
「ふぅ・・・・・じゃ、皆戻っていいよ~・・・あ、それとこの2人も運んどいて」
そういわれた少女達は何事もなかったかのように散り散りになり、一部の少女は凍った二人を運ぶ。
「さて・・・コヨイの様子を見に行きましょう・・・・嫌な予感がするわ・・・・」
そう言いながらキッサは走っていく
凍りついた神通と仁淀の表情は冷たく、とても悲しそうな表情だった・・・

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