作:デュール
ガバリア島、そこは多くの謎が眠っている島
この島にはギルドバトルというものが存在し、ギルド同士が戦うのである。
「よし!また勝ったぁ〜」
猫の少女のミリィが万歳ポーズで喜んでいる。
つい最近連勝続きの3人である。
「やられる前にやる」と言うのがモットーらしく、そのおかげでここまで勝ち上ってこれた。
「あはは・・・まさか君達があんなに勝ち上れるなんて」
ギルドリーダーの兎の少女リリスが驚きの声を上げる、また獅子の少年レオンも感激する。
「僕でも驚いたよ、ここまで勝てるなんて」
戦いたくてうずうずしているミリィは言う。
「さてさて、次の相手は誰かな〜?」
「あはは、気が早いよ〜」
苦笑いしながらレオンは次の対戦相手を見る。
「次は・・・転職後の羊がいるみたいだよ?」
「そんなのマジックバリアかけときゃ大丈夫よ〜」
高笑いするミリィ、何を言っても無駄なようだ。
「あはは、調子付くのもいいけどちゃんと戦略を考えないとね」
リリスはにこにこしながら二人を見る。
そのころ、その対戦相手のギルドチームでは・・・
「たっ・・・助け・・・・」
「ふふっ・・・あなたの全てはもう終わり、これからは私のために立ち尽くすのよ・・・」
羊の少女メイは石化していく龍の男性を愛でながら優しく言う。
そして龍の石化は終わり、彼をかたどった石とメイがいるだけだった。
メイたった一人・・・それ以外は石像のみ
「ふふ・・・次も面白くなりそうだわ・・・」
「さ〜来い!」
やる気満々のミリィ、リリスも少しどきどきしている。
「さて、どんな魔法を放ってくるのかな〜?」
それをよそになにやら不安そうな表情をしているレオン
(う〜ん・・・何か嫌な予感がする、感覚型の僕が感じるんだ・・・)
リリスは心配そうに考え込んでいるレオンの肩をぽんと手に置き
「大丈夫?何か不安そうだけど?」
「あ、いや・・・何でもないよ」
「そう・・・」
一瞬暗い表情をしたが、すぐに明るくなる。
(うん、そうだよね、何も無ければいいんだよね・・・)
レオンはそう自分に言い聞かせながら、戦いに挑もうとする。
「あらあら・・・かわいいわねぇ・・・」
メイはにこにこしながら対戦相手を見る。
「まぁね、でもかわいそうだな、こっちは転職者がいるってのに・・・・」
狸の男性レイは一つため息をつく、そこに狐の女性フェールが彼の肩を叩き
「ま、手っ取り早く終わらせましょ?」
「ま、そうだね・・・」
また一つため息をつくレイ
そして、戦いが始まった刹那、リリスは動かなくなった。
その場にいた4人は驚くことだろう、ただ一人除いて・・・
「え・・・・?何、これ?」
「う・・・そ・・・・・これって・・・・」
呆然とするミリィとレオンにメイは答える。
「そう、石化魔法よ、あなたの兎さんは石像になったのよ」
あまりの唐突の答えにミリィは
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
叫びながら逃げていく、しかし移動が限定されているコロシアム、逃げ切れるはずも無い。
「ふふっ・・・じゃあ最初は獅子さんからいこうかしら?」
「ひっ・・・・」
レオンも逃げ出そうとするが、足が動かない。
「な・・・なんで足が・・・」
よく見てみれば彼の足が灰色に染まっている。
彼もリリスと同じ石像となっていく
「い・・・いやだっ・・・いやだぁ!!!」
「やっぱり獅子はかわいいわねぇ」
一歩ずつ歩くメイ、それと同時に焦りが見え、石化が進むレオン
「くっ・・・来るな・・・来るなぁーーーーー」
その叫びも空しく、メイの良いようにされていく
「いろんな子達を石化させてきたけど、やっぱり獅子が一番かわいいわ」
「あぅ・・・や・・・やめっ・・・」
石化した足を撫でたりして、レオンを感じさせていく
「えぅ・・・み・・・みり・・・いぃ・・・」
獅子が名を呼ぶが、彼女はあまりの恐怖に端っこで丸まって震えている。
「あらあら、仲間にも見捨てられるなんて、かわいそうね・・・」
石化の侵食は首まで及ぶ、焦りと恐怖が最高潮に達するレオン
「でも、私がずっと愛でてあげる」
「いやだ・・・石になりたく・・・な・・・・」
声が途切れ口も石化する、ぽかんと開いた口は二度と言葉を発することも無い。
「バイバイ、これからは私のための道具よ」
レオンは涙を流すがそんなことをしても何にもならず、涙も石化していく
(道具・・・?もしかして僕売られちゃうの?まさか砕かれて素材にされるとか?)
いろいろな予想をするレオン、どれにしても彼にとっては行き着きたくは無い末路だ。
(ずっとこのまま飾られるのは良いけど・・・だめ、僕まだ生きた・・・い・・・)
そして、何か言いたげな表情のまま獅子の石像が完成した。
「えーと、これちょっとやばいんじゃないか?」
「そ・・・そうね、私が止めに・・・」
フェールが喋る終える前に突然倒れこんだ。
「あ・・・あれ?」
あまりにも不自然な倒れ方、彼女もまた一瞬で石像と化した。
「なっ・・・」
彼女の無残な姿に驚くレイ、彼もまたメイの石化魔法により足を固定されていた。
「ふふっ、証拠隠滅はちゃんとしなきゃ・・・」
怪しい微笑を浮かべながらメイはレイに近づく
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁ」
ミリィは端っこで丸まっている、今起こっている地獄から逃げたいがために
(いやだ・・・いやだ・・・こんなの夢に決まってる・・・)
「ふふっ・・・まだ震えていたの?」
振り向くと相手の羊がいる。
「い・・・いやぁっ」
彼女の向こうを見ると、さっきまで色が付いていたはずの獅子が既に灰色に染まっている。
獅子だけではなく倒れこんだままの狐、恐怖の表情を焼き付けたままの狸のオブジェがあった。
「そんな・・・仲間まで石化させるなんて・・・酷い・・・・」
「仲間を見捨てたあなたに言われたくないわ・・・あなたも石化させてみんなの元へ行かせてあげるわ」
笑顔をかたどったメイ、だがその笑顔は恐怖を感じさせる笑顔だった。
「いっ・・・・いやぁぁぁぁぁぁ」
再度の叫び、彼女もまた・・・
「また私のコレクションが増えた・・・みんなかわいいからずっとこのまま・・・」
石像が乱立する闇の空間、メイは既に動かない獅子の石像を愛でている。
「これからもずっとかわいい子に巡り会えると・・・いいね?」
物言わぬ石像に話しかけるメイ、その表情は一生に最高な笑顔を浮かべている。
彼女は永久的に続けていくだろう、彼女がいる限り・・・
おわり