冷たい少年

作:デュール


・・・いつからここにいたのだろう
何故か僕の体は動けない
自分が今何歳なのかは分からない・・・・
自分の名前さえ分からない・・・・
今まで何をやってきたのかわからない・・・・



目の前に1人の少女がいる

「お兄ちゃん・・・・・またお友達つれてくるからね・・・・」

多分・・・・この少女は僕の妹だろう
小さくてかわいいものだ・・・
そして僕の妹は暗闇に消えた・・・・



・・・・・何時間たったのだろうか
いまだに僕は動けない・・・・
そう思っていたころに妹が来た。

「お兄ちゃん・・・・・お友達つれてきたよ・・・・」

そういうと石像数体を僕に見せ、あいている所に置いた・・・・・
気づいたら周りは石像だらけだった・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・

・・・・!!思い出した・・・・・
確か僕は・・・・・石像にされたんだった・・・・・



確か僕は家族も兄弟もいなかった。
それに名前はないんだった・・・・
1人で学校から帰ってくる途中・・・・1人の少女に出会った・・・・・

「・・・・お兄ちゃん?」

1人の少女の声、今ここにいる自分が妹だと思っている少女・・・・
何故だかその少女はうれしそうだった。

「見つけた・・・・・お兄ちゃん見つけた・・・・・」

その後に・・・・・自分の体は・・・・・石になっていった。
身につけているものも一緒に・・・・
じわじわと・・・・・部分的に動かなくなっていった。
どんどん硬く・・・・冷たく・・・・全てが灰色に染まっていき・・・・
意識があったけど・・・・・僕は・・・・・この少女に全てを奪われた・・・・



そして少女は何も関係ない人たちを石像にして僕のところへ飾る。
限定的に少女ばかりであった。

正座をし弁当を食べる寸前のまま石になった制服の少女たち
走った後、息切れしたまま石になった体操着の少女たち
シャワーを浴びた姿勢のまま石になった水着の少女たち
疑問を浮かべたまま石になったメイドたち
驚いたまま石になった巫女さんたち
とりあえず少女たちはみんな石になっていた。



だから動けないのだった・・・
だからこの少女は僕の事を兄と呼んだのだ・・・
だから少女は別の石像を置くのだ・・・



だけどそうと分かっても、何も抵抗できないし行動もできない。
自分は石になっているから。
灰色の石になっているから。
冷たい石になっているから。
硬い石になっているから。
だから何もできない、ただ心の中で思う事しかできないだけ・・・



・・・・・眠くなってきた・・・・
もしかしたら少女が心の中を読まれているかもしれない・・・・
・・・・・完全な石像にしているかもしれない。
僕はまだ・・・・・死にたくない・・・・
だけど眠気が僕を襲う・・・・・もうだめだ・・・・・



そのとき少女は・・・・

「お兄ちゃん・・・・・好きだよ・・・・・」

笑顔で僕にそう言った・・・・・
何故だか僕は完全に石像になっていいと思った・・・・
気づいたら僕の意識は・・・・・なく・・・・・な・・・・・・

おわり


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