とある温泉の真実

作:永遠の憂鬱


その温泉は都会から少しはずれた場所にあった。
そこでの売り文句は『女性限定温泉、日常に退屈しているあなた、新しい温泉に入ってみませんか?刺激ある温泉に入浴1000円にて』
言ってる内容からか、あまり人が来ることはなく、維持費だけで破産しそうである。

しかし、この温泉ではある秘密があったのだった・・・

ここに来る客は15〜30あたりが多く、まれに小学生くらいの娘も入ってくる。
30以上になると、なんとなく『刺激』という言葉に臆病になるからだ。
そこに5人の女子高生達が風呂場に入っていく。
なんとなく一人では行きづらかったのであろうこの温泉に友達を連れて来たようだ。
身体を軽く洗ったあと、ここの自慢である露天風呂に入る。
しかし、この温泉はただの温泉ではない。
露天風呂に入っているうちに、少女達の意志は希薄なものになっていく。
そして、少女達の指は無意識に自分の秘所へと進み・・・
「ああっ・・・」
そしてアレをはじめてしまった。
ぼんやりとした頭で自分が何をしているのかはわかっていないようである。

少し時間が経ち、一人の少女がある看板に目を置いた。
『喉が渇いた方はこちらへ。特製ドリンクをサービスしています』
彼女は看板の横にあった機械に近づき、ボタンを押す。
するとすぐ少し白く濁った飲み物が出てきた。
他の少女達もそれを見つけ、ドリンクを頼む。
ドリンクを飲み干した少女は再び湯船につかる。
そして、やはりアレを行っていたのだが、彼女の身体に異変が起こっていた。

少女の一人が石になってしまっていた。
さっきのドリンクは石化液を溶かしたものだったのだ。
しかし、もはや自意識を失った彼女は・・・いや、少女達はうっとりと恍惚の表情のまま、それに気づかない。
「ああ・・・あ・・・ああ・・・あああ・・・」
そんな甘い声が口から囁かれているだけである。
全員が石となってしまった後、壁からの隠し扉から防護服を着た人物が現れる。
そして、石となった少女達を、やはり隠し扉の部屋の方に運んでいく。
そして、誰もいなくなった風呂場に、また新しい犠牲者が入っていくのだった・・・

「・・・この一週間で10人と言うのは幸運ですね。」
ある一室でのんびりとした口調で館長と思われる女性が独り言を言う。
「しかし、そのうちの1人が従業員とは・・・もう少し対策を考えなければ・・・」
ここの従業員もすべて女性である。
ここの温泉は女性にだけ作用するものであり、男性従業員を雇ってみた時もあったのだが、彼らは目先の誘惑に弱かった。
「まぁ、彼女達の買い取り先が決まればまったく問題はありませんけどね・・・ここもあと1年ぐらいでしめなければ、行方不明者がここにいると疑われてしまう」
買い取り先・・・つまり、石像となった少女達は、闇取引によって販売されているのだ。
赤字が出ない訳であるが、さらに経営難を理由に簡単にこの施設を潰すことも出来るため、移動もしやすい。
「さて、女子高生ほどの年齢を求めていたのは誰でしたっけね・・・ふふふ・・・」
薄笑いを浮かべて、彼女は闇取引の顧客リストを見る。
その姿は、もはや人間ではなかったかも知れない。


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