作:灰音穂香
「〜♪」
みゆき美幸お姉さんが楽しそうに何かを作っています。
美幸お姉さんは発明家さんなのです。
1
「こんにちは―」
美幸お姉さんはお隣の家に向かいます。
「あっ、お姉ちゃん!」
「こんにちは―」
奥のお部屋から眼鏡をかけたポニーテールの女の子と眼鏡をかけたツインテールの女の子が現れます。
二人ともそっくりです、それもその筈です…二人は双子なのですから…。
名前はポニーテールの方があやかちゃん、ツインテールの方がまゆかちゃんと言います。
活発なあやかちゃんと本が大好きなまゆかちゃんはいつでも仲良しさんです。
「いらっしゃい」
最後に家の奥の方から白のワンピースを着た男の子が現れます。
ゆうと君です…ゆうと君はあやかちゃんとまゆかちゃんのお兄ちゃんです。
ちょっぴり気が弱いです。
そのせいであやかちゃんに女装させられてこんな格好をしているのです。
お姉さんは親がいない三人の家に来て一緒に近くの空き地や公園で遊んであげるのです。
「鬼ごっこだー」
四人は公園で鬼ごっこをしていました。
あやかちゃんは運動の苦手なまゆかちゃんを引っ張りながら走っています。
お姉さんが二人を追い掛けています。
でもって直ぐに捕まってしまいました。
「うー」
「つかまっちゃったね…」
あやかちゃんがほっぺを可愛く膨らませて、まゆかちゃんが顔に笑いを浮かべています。
「お姉ちゃん…」
「今日の罰ゲームは何?」
楽しそうに聞きます。
お姉さんとの鬼ごっこは毎回何かしらの罰ゲームの様な物があります。
「そうだね…」
お姉さんは顎に手を当てて考えます。
「石になって貰おうかな?」
楽しそうに言って何処からか水鉄砲を二丁取り出し二人の足を撃ちました。
“シュー!ピシピシッ!”
二人の小さくてかわいらしい足は煙を上げて石になっちゃいました。
「ふぁ…石になってる…」
あやかちゃんが驚きますがまゆかちゃんは平静です。
何故ならば…。
「あやかちゃん、大丈夫、石にされたお姫様は必ず王子様が助けてくれるんだよ。」
まゆかちゃんが昨日に読んだ本にそう書いてあったからです。
二人がそんなやりとりをしている間にもお姉さんはお構いなしに水鉄砲を連射、二人の体を石にしていきます。
腰がお腹が、細い手足が石になっていきます。
そして…
「後でちゃんと戻してあげるね…」
そんな事を言ってお姉さんは二人を石にしました。
「お姉ちゃん…」
お姉さんが振り向くとゆうと君が立っていました。
なかなか追い掛けて来なかったので様子を見に来たのです。
“バシャーン!”
お姉さんは状況が解らずキョトンとしているゆうと君にバケツに汲まれた石化液をぶっかけました。
その後、お姉さんは石化した三人を写真に取り元に戻したとさ…。
2
「〜♪」
また、お姉さんは何かを作っています…今度は何を作っているのでしょう?
「やっほー!おみやげ持って来たよー!」
お姉さんが手に紙袋を持って現れます。
「「「わーい♪」」」
あやかちゃん、まゆかちゃん、ゆうと君の三人は袋の中身をもらって大喜びです。
袋の中身はシャボン液だったのです。
三人はストローとシャボン液を持って隣の空き地に向かいました。
しゃぼん玉は高〜く
上がります、屋根まで飛んで弾けます。
三人はその様子を楽しんで見ています。
そして、またしゃぼん玉を作ります。
数学分後…三人は凍っていました。
ユウト君はストローを口につけた格好で、まゆかちゃんはストローを口に運ぶ途中で、あやかちゃんはストローをシャボン液に浸けて、凍っています。
腕や服の袖、あやかちゃんとまゆかちゃんの場合は眼鏡から氷柱がぶら下がっています。
これはお姉さんがシャボン液に特別性の冷凍薬を混ぜたからです。
お姉さんはカチカチに凍りついた三人を何時もの様に写真に収め、元に戻しました。
3
“ガタガタ、ガタガタ”
三人の住む町に台風がやってきています。
「お姉ちゃん…」
「怖いよ…」
「怖い…」
三人が怖がってお姉さんに抱きつきます。
「大丈夫…」
お姉さんは怖がる三人に優しく微笑みます。っ
と…次の瞬間
三人の部屋の電気が…家中の電気が消えました。
停電です…。
「ひっ!」
「真っ暗だよ…」
「何も見えないよー」
「えーっと確か…」
パニックになる三人にお姉さんは冷静に持って来たバックからロウソクを取り出し火を着けちゃぶ台の上に置きました。
「ちょっと様子を見て来るからじっとしててね」
お姉さんはそう言うと三人を残して部屋に戻りました。
数分後…家の電気が復旧しました。
お姉さんの家から非常用の電源を引っ張ってきたからです。
「ただいまー!…ってあれ?」
お姉さんが三人の待つ部屋に戻った時、三人の姿は無く、変わりに三人を象った真っ白な蝋人形があっただけでした。
「あー!」
お姉さんはちゃぶ台の上のロウソクを見て声を上げました。
そのロウソクはお姉さんの発明品で閉めきった部屋で使用すると近くにいる人を蝋人形に変えるっというものでした。
台風が去った後、お姉さんは三人を連れて高台へと行きました。
「わー」
「すごい…」
「きれー」
そこにはとても大きく綺麗な虹がかかっていました。
でも…お姉さんは知っています…この虹よりも綺麗な物がある事を…。