作:灰音穂香
「どうだ…ハヤテ…」
「………」
目に隈なんぞを作りいかにも『疲れてます』的な状態なナギにハヤテは呟く…。
『世紀末伝説
マジカルデストロイ』の良いネタが出て来なかったのでハヤテが『何か違う物でも書かれてはいかがでしょう?』
っと言ったのが原因でナギは殆んど寝ないで作品を描いていたのである。
でもって…何故だかハヤテは何時もの執事服では無く、ネコミミ+メイド服をモチーフにしたと見受けられる衣装を着ていた訳である。
でもってハヤテにはそれが物凄く似合っていた訳である。
だが、しかし読者の方は忘れないでいて欲しい…。
ハヤテはれっきとした執事でれっきとした男の子である事を…。
例え、童顔であっても…。
例え、女顔で細い体つきをしていたとしても…。
例え、『きゃっ!』っとかかわいらしい叫び声を出したとしても彼はれっきとした男の子である事を読者の方々は忘れないでやって欲しい。
でっ、何故にハヤテがこんな萌え萌えハニャーンな格好をしているかと言うと…。
今から48時間程前…
「違う作品っと言っても何を書けば良いのだ?」
ナギは非常に困っていた…。
何故かと問われれば『世紀末伝説
マジカルデストロイ』以外の漫画を書いた事が無いからである。
『そうですね…やはり今描いている作品とは全く正反対の物を描かれると気分等も変わって来るのでは?』…。
「成程!」
ナギはそう言うと手を叩き…。
「ハヤテ…これを着ろ…」
そう言ってネコミミ&メイド服をモチーフにしたコスプレ衣装を何処からか取りだしハヤテに渡す。
「えっと…僕が…ですか?」
自分の顔を指差してそう言うハヤテ…。
「うぬ☆マンガの主人公はズバリ魔法少女だ」
楽しそうにナギはそう言うとハヤテを指差す。
「そこでハヤテお前がモデルになってくれ」
とか何とか言われたからハヤテはこんな魔法少女な格好をしているのである。
「だめ…か…?」
「お嬢様…凄いですね…」
今までナギが描いていたマジカルデストロイとは作品の絵の感じが180度違っていた…。
マジカルデストロイをジョ●ョとするならばこれはリ●カルな●は…それほどに絵の感じが違っていた。
(お嬢様もこんな絵を描かれるんだ…)
そんな事を思いながらハヤテは原稿を捲る。
「あれっ?」
途中でマンガは終わっていた…。
「えっと…お嬢様…途中で終わってしまっているのですが…」
残念そうに呟くハヤテ…。
「うぬ…そこは石化シーンを入れるつもりなのだが…」
「石化シーン…」
確かにハヤテが読んだ所は…『お前には石になって貰おう…』的な事が書かれていた訳である。
「だがなかなか上手く石化絵が描けぬのだ…」
「ってな訳で!ハヤテ!お前には石になってもらう!」
三千院家地下…ナギは黒マントにトンガリ帽子と魔女っ娘みたいな格好でそう叫んだ。
「ちょっ…お嬢様?!」
そう言うハヤテはいつの間やら両手を太い鎖で縛られていた。
しかも“ピシピシ”と音を立てながら足が灰色に変色して‐石化して動かせない。
でもって、その石化は現在進行形でハヤテの体を包み込む溜め進んでいる。
「安心しろ!ちゃんとビデオにも録画しておいてやる!」
「録画しないでください!」
ビデオカメラでハヤテの石化を録画するナギ、でもってそれに突っ込みを入れるハヤテの…。
「はっはっはっ!ハヤテは照れ屋だなぁ」
「照れてません!」
等と言い合ってる内に石化はハヤテの体を侵食していく…。
「あっ…」
何かに気付いた様に呟くナギ。
「どうしたんですか…?」
石になりながら尋ねるハヤテ…。
「すまぬ…ハヤテ…バッテリーが入ってなかった」
可愛く『えへっ』とか宣うナギ…でもって「すまぬがもう一度石化してくれぬか」とか宣った…。
「そっ…そんなあぁぁ…」
叫んでいる途中で石化が口まで及ぶ…。
そして・・・我らが萌え執事ハヤテは物言わぬ石像と化してしまったのである。
その後何回か撮り直しを経てハヤテは石化から解放された…。
だが…しかし彼の中で石にされる事がちょっとした快感に感じられる様になってあた事は未だ誰も知らない。