作:くーろん
振り払うように、タマ姉が髪を掻き上げた。
根元が盛り上がり、まるで猫耳みたいに両端を束ねられたタマ姉の赤い髪。
首を揺らしながら掻き上げるその仕草は、なんだか猫の顔洗いみたいで。
けど手から流れ落ちる髪を見てたら、どうしてか分からないけど、その仕草が色っぽいなって俺は思った。
急に、タマ姉の熱い瞳が近づく。
「タマね・・・・・・んんっ!」
吐息と共に、唇が運ばれてくる。同時に舌も。
「んちゅ、くちゅ、ぴちゅ・・・・・・ふふっ、タカ坊の舌、美味しい・・・・・・」
こんな時でも、タマ姉はお姉さん風吹かせるんだな。
両手で俺の頬を押さえ、積極的に舌を絡ませてくるタマ姉。
このみのときとは逆に、俺は完全に主導権を握られていた。
「ぴちゃ・・・・・・ふぅ・・・・・・ほら、もっと舌を絡ませていいのよ、タカ坊・・・・・・」
「う、うん・・・・・・」
「ふふっ、素直でよろしい・・・・・・ちゅっ、ぴちゅ、ちゅるっ・・・・・・」
何度も交わる舌、ディープキス。
タマ姉の濃厚な攻めは、疲れ切っていた俺の中に、再びふつふつと性欲を湧き上がらせた。
「・・・・・・そろそろ、いいかしら」
「え? 何を?」
「もう、このみと同じに決まってるでしょう? 夜はまだ長いけど、私は早く確かめたいのよ」
確かめたい、ってタマ姉は何をそんなに知りたいんだろう?
それにこのみはどうして――
「ほらタカ坊、早く」
「あ、うん」
急かすタマ姉に腕を引かれ、俺はふらふらと近くのベッドの端に腰を下ろす。
タマ姉は、というとベッドではなく、床へと座り込んだ。
そして足を開くように促され、あれ?
「タマ姉、何するつもりなの?」
「それはね」
イタズラっぽく、タマ姉が話しかけてくる。
上目遣いで、わざとらしく腕で胸元を強調して・・・・・・絶対何かたくらんでいるな。
けど、いやがおうにも目がそちらのほうへいってる時点で、すでにタマ姉の術中にはまってるわけだけど。
「このみには、絶対出来ない事よ」
タマ姉が立膝になる。
そのまま顔を近づけると、このみと交配を終えた俺のペニスを軽く掴み、なぞるように舐め上げた。
「う、おおぉ・・・・・・」
ゾクリと背筋を伝う感覚。思わず声が漏れた。
「どう? タカ坊」
挑発的な目が、俺を見上げていた。
「ど、どうって・・・・・・」
ペロリと、今度は亀頭がなぞられる。
「お、おぉ・・・・・・き、気持ちいい、よタマ姉・・・・・・」
「でしょう? 素直にそう言えばいいのよ」
満足そうに微笑むタマ姉・・・・・・頼むから、前触れもなくいきなり事に及ばないでくれよ。
再び掴んだペニスに視線を落とすと、タマ姉は口を開けて、俺をほうばった。
「え? ぐっ、おっ!」
驚く俺をよそに、タマ姉がほうばったそれをしゃぶり始める。
「はふっ、ぴちゅ、くちゅ、んんっ、はむっ・・・・・・」
ソーセージというかアイスキャンディーというか。
そんな細長い食べ物でもほうばるように、タマ姉が俺の獲物を丹念に口で弄ぶ。
それはもう、なんというか・・・・・・柔らかな唇と、上下に這いずる舌の、ざらりとした感触がものすごく気持ちよくて。
しかもそれをしてるのが、あのいつも俺達をこき使ってくるタマ姉なんだ。
性感と優越感を刺激され、俺はただ押し寄せる快楽を堪能していた。
「・・・・・・そろそろいいわね」
ぴちゃりと音を残し、タマ姉の口が離れる。
唾液まみれのペニスはこのみとの行為の後だというのに、もう上向きにそそり立っていた。
「え? これで終わり?」
「もう、タカ坊ったら慌てないで。言ったでしょ、『このみには絶対出来ない事』って。忘れたの?」
ちょっとだけ俺を睨むと、タマ姉は両胸に手を添えた。
両手一杯に収まり、それでいて形良い乳房。
見せ付けるようなその仕草で、今度は自慢の胸を俺の下半身まで近づけ――
「ほうら・・・・・・いくわよ、タカ坊」
両胸で、俺の獲物を包み込んだ。
「ぐ、お、おおおっ・・・・・・!」
柔らかな感触が、俺を包み込む。
パイズリ、っていうんだよね、確か。言葉にすればそれだけなんだけど。
その感触は、身もだえしたいくらいしっとりとしてて、吸い付くようで・・・・・・
性感を更に刺激され、出し切っていたと思っていた射精感が、再び押し寄せてくる。
「んん・・・・・・くちゅ・・・・・・あふっ・・・・・・ぴちゃ・・・・・・」
更にタマ姉は、胸元から飛び出た亀頭を再び口に含み、舐め上げ、吸い付いてくる。
胸と口との2段構えの行為、は、身も心もとろけそうな、ほど気持ち、いい。
「おお・・・・・・はあっ、はあっ、はあっ・・・・・・」
「はふっ・・・・・・気持ち、んちゅ、よさそう、ね、タカ坊・・・・・・」
「う、うん。気持ち、よくて、俺・・・・・・」
揉み上げるように、搾り出すように。
乳頭を揺らしながら動くタマ姉の豊満な胸。
とても淫靡なマッサージは、それは筆舌しがたいほどの心地よさだった。
しばらくの間、タマ姉の積極的な愛撫が続く。
が、突然タマ姉が顔を上げた。
上目遣いでなんだかすがるような目だった。どうしたんだろう?
よく見れば、もじもじとふとももをすり合わせていて・・・・・・そういうことか。
「いいよ、胸のほうは俺がするから・・・・・・タマ姉は下を」
「いいの? ふふっ、気が利くじゃない、タカ坊」
柔らかく微笑むとタマ姉は俺に上半身を委ね、両手を胸から下の割れ目へと移した。
俺は屈みこむと、代わりにタマ姉の胸を掴む。
「あうっ!」
ビクンッ! と強く身を震わせるタマ姉。
「だ、ダメよタカ坊。そんなに強くつかんじゃ」
「ご、ごめん」
強すぎたらしい。慌てて手を離した。
「胸だってデリケートなのよ。もっと大切に扱いなさい」
「う、うん」
今度は気をつけよう・・・・・・真綿を扱うよう丁寧に、そっとタマ姉の胸を持ち上げる。
「んっ・・・・・・それくらいよ」
タマ姉の手が。再び割れ目へと近づく。
すでに濡れそぼっていたそこに、指をあてがった。
「あ、うぅ・・・・・・」
筋をなぞる指の流れに、敏感に反応する。
どうやらかなり気持ち良かったらしい。指先を割れ目へと差し入れると、まさぐるように秘所内で動かし始めた。
「ああっ! くぅっ! はうっ! くふぅ!」
激しく喘ぐタマ姉。
腰はびくつくように動き、座り込まないのが不思議なくらいだ。
俺もタマ姉が倒れこまないよう胸を掴み、自らの手で、そそり立つ獲物を愛撫し始めた。
「はふぅっ! そう、そうねタカ坊、ああっ! 私だけ楽しんじゃ、うっ! いけないわよねっ」
タマ姉が、また俺の亀頭に口を寄せる。
「はあっ! んんっ・・・・・・ぺちゃっ、ぴちゅ、ちゅるっ・・・・・・ああっ! くふうっ・・・・・・」
互いの愛撫が始まった。
俺がタマ姉の胸を。
タマ姉が手で割れ目を、そして口で俺の亀頭を。
傍から見れば、ものすごい光景だと思う。でもそんな事、体験してる俺達には関係ない。
気持ちよすぎて、気が遠くなりそうになる。
眠りに近い半覚醒の中、お互い至福の快楽を貪り続ける。
やがて、俺の射精感に限界が近づいてきた。
「タマ、姉。俺、もう限界、が・・・・・・」
タマ姉を見下ろす。向けた瞳は虚ろだったに違いない。
「んくっ・・・・・・私も、よ、タカ坊。いっしょ・・・・・・ああっ! いっしょ、にぃ!」
俺を見上げる目がうつろだ。タマ姉も相当きてるんだな。
「じゃあ、じゃあいく、よ! うっ! くああぁ!」
「いいわタカ坊、タカ、坊・・・・・・あああああああっ!!」
ほぼ同時の絶頂。
俺の先端から精液がほとばしる。
「あああっ! んくっ!」
開いてるだけの口で受け止められる量じゃない。たちまちタマ姉の顔に大量の精液が降りかかった。
――また、異変が起こった。
精液を浴びた瞬間に、タマ姉もまた、動きを止めてしまったんだ。
腰を振り、何度も何度もタマ姉に白濁した液をぶつける俺。
「・・・・・・・・・・・・」
けどタマ姉は、最初に浴びた瞬間のまま、動かない。
顔を背けることなく、ちょっと苦しそうに片目を閉じかけたまま、無言で精液を浴び続ける。
白い液でベトベトになるタマ姉の顔。
「はあっ、はあっ・・・・・・」「・・・・・・・・・・・・」
2度目の絶頂が終わる。深く溢れ出る息。
再び訪れる脱力感の中、やはりタマ姉は微動だにしない。
絶頂に大きく口を開き、その中に俺の精液を溜めこみ。
それでも足りなくて、顔のあちこちを白濁に包まれ・・・・・・それでも、タマ姉は静止していた。
またあの変化が、今度はタマ姉にも訪れた。
「・・・・・・・・・・・・」
最初は顔から。
白濁液が皮膚を通して吸い込まれ、その顔が吸った色に染まるように白へと変わっていく
瞳が瞳孔と共に白一色となり、精液を避けようと少し閉じたままの形で、俺を見つめたまま固定された。
さらりとした特徴的なロングヘアーが、強気な赤から無垢の白へと変色する。
俺のペニスを濃厚にマッサージしてくれた乳房が、白く、硬く、豊かな曲線を保ったまま固まっていく。
そっと胸に触れてみる。このみと同じく、つるりとした表面は柔らかさを失い、ほどよく硬い。
くびれた腰、開いたままの割れ目と添えられた指。
最後に立ち膝のままの足が、白い光沢を帯びていく。
そして・・・・・・
見下ろした先には、タマ姉「だった」真新しい彫像が、魅惑的な裸体と仕草を余すとこなくさらけ出し、俺の視線を一身に受け止めていた。
疲れた体を床に落とし、俺は部屋に並べた2つの彫像を見つめていた。
このみとタマ姉、だった彫像。
互いの持つ、最も淫らな姿を留めた乳白色の像。
絶頂という、一瞬を崩すことなく表現された、淫猥な裸体像。
他人に作られた造形物じゃない、俺の精液で作り上げた、幼馴染達を使った造形物。
――ごくり、と喉が鳴る。
なんて、素晴らしい置物だろう、と思う。
俺の目はその美しさに、淫靡さに、感嘆し輝いていた。
これを部屋に飾ったらどんなに素敵だろう。
いや、これだけじゃ物足りない。もっと――
「うーの優柔不断さには呆れたぞ」
突然の声に、俺は振り向く。
「複数の相手の中から、正当なる伴侶を決めるため、仮の契りを交す、それが白濁の宴」
女の子が、立っていた。
「求め合う相手ならそれは真実の交わりとなり、異なるならば相手は白色の像となり、交配は寸前で止まる」
――るーこ・きれいなそら。
自称宇宙人。
ピンクのストレートヘアーが良く似合うちょっと、いやとても変わった子。
「色恋沙汰に決着をつける、るーの星の最終儀式。なのにこの期に及んでさえもどちらかを選べないとは。うーは節操がないのか?」
入るなり、難しいことをいろいろ言ってくるけど・・・・・・そんなのどうでもよかった。
だってそうじゃないか。
ここにまた新しい、魅力的な素材がやってきたんだから。
「・・・・・・うー?」
怪訝そうに尋ねるるーこを無視して俺は立ち上がり、彼女に近寄る。
抱き寄せられる距離まで来たとき、るーこは黙って上着を脱ぎ始めた。
観念したのか、何かを悟ったのか・・・・・・どうでもいいか、そんなこと。
最後の衣服を、るーこが脱ぎ終える。
真っ直ぐな瞳が、俺を見据えていた。
すらりとして、余計な肉のない体。白地の肌がまぶしい。
このみよりは大きく、タマ姉よりはずっと控えめな胸。
十分すぎるほどの魅力的な裸体に、俺はもう我慢できなかった。
力任せにるーこを押し倒す。感触良さそうな肌に幾度となく吸い付き、ついばむ。
やがてまた1人、白濁の中へと堕ちる。
――儀式がいざなう淫靡な交配。
白濁に乱れた夜が白むには、まだ遠い。
END