カタメルハイスクール第1話「身体測定」

作:七月


私立ASFR学園
そこは、ごく普通の町のごく普通の学園
ちょっと他と変わっているところといったら、固めが日常茶飯事ってところかな。
そんな学園で、今日もあわただしい日常が始まります。



とある保健室にて
「はーい、今から身体測定をするわよ。」
と声高々に言ったのは私立ASFR学園1年A組の顧問である八雲紫だ。
そんな紫に対して
「何で私たちだけせっかくの休日に身体測定なのよ。」
と不満げな声を発するのは博麗霊夢という少女だった。
いま、この場には紫と霊夢のほかに4人の生徒がいた。
向坂環、棗鈴、白河ことり、九浄リアという少女達だった。
「そうだぞ。なんであたし達だけ補習みたいなことせにゃならんのだ。」
というのは小柄なポニーテールの少女、棗鈴。
「そうそう、納得いかないわね。」
と背が高く、胸の大きな姉御肌の少女、向坂環が言った。
「私は・・なんとなく分かるけど・・・」
「ねえ・・」
というのは白い帽子を被った、長く赤い髪の少女、白河ことりと
黄色いリボンが結ばれた蒼く長い髪、大きなバストが特徴的な九浄リアという少女だった。
やがて紫がため息をつきながら言う。
「何でって・・・それはあなたたちが身体測定の時間にB組の生徒と喧嘩していたからでしょう。」
「う・・・」
と全員口をつぐんでしまう。
「私は捕まっていただけだけど・・・」とは白河ことり。
「私も仲裁に入っただけなのに・・・」とは九浄リアのいいわけ。
紫はそんな二人に向かって言った。
「どっちにしろあなたたちも受けてないでしょう。他の生徒は皆もう受けたのよ。
さあ、とっとと始めるわよ。」
「はーい。」
5人はしぶしぶとうなずいた。



「さてと、じゃあまずは服を脱いでそこのカプセルに入ってくれる。」
紫が指差したのは、人がすっぽりとは入れそうなカプセルだった。
「って紫!これ見るからにヒッ○リトカプセルじゃない!」
霊夢が若干キレながら紫に言った。
紫は特に動じた様子もなく言う。
「学校ではしっかり先生って呼びなさい。
そうよ、これから色々な検査をするから皆一度固まってもらうのよ。」
「あの・・固まらないと受けれない身体検査って・・・」
リアがおずおずと紫に聞いた。
「・・・・聞きたい?」
紫は黒い笑みを浮かべる。
「そ〜れ〜は〜・・・」
「すいません、やっぱりいいです・・」
リアは耳をふさいでぶるぶる震えながら言う。
「あらそう、残念。」
紫はにっこりと笑みを浮かべて言った。
「さあ早くは言って。」
「はーい。」
と5人はしぶしぶ服を脱いでカプセルの中に入った。
ガシャンとカプセルのドアがしまる。
「さてと、まずはまっすぐに姿勢を正して。」
霊夢たちは言われるままにピンと背筋を伸ばして起立する。
「えいっ♪金縛り。」
紫が叫ぶと同時にピキーンといきなり霊夢たちの体が動かなくなってしまった。
「な・・・なんじゃこらー!」
鈴が叫んだ。
「体が・・動きません・・・」
ことりも言う。
「わ・・わたしも・・」
「タマ姉(の怪力)でも無理か・・・」
「ふふ・・・動と静の境界をいじくったわ。
これから検査なのに、固まる時に変なポ−ズで固まってもらうわけにはいかないもの。」
と紫が説明する。
「後しっかり目も開けておくのよ。」
そういって紫は装置のボタンに手を添えた。
「さあ、始めるわよ。」
ポチッ
とボタンが押されるや否や、カプセルの上からセメントのようなどろりとした液体が降りだした。
その液体は容赦なく霊夢たちの体へ降り注いでくる。
「きゃあ!」
それが体に触れた瞬間、触れた場所が石へと変わってしまった。
「石化薬を水で溶いたものよ。少し冷たいから我慢しなさい。」
「我慢って・・・きゃっ!」
「うう・・くちゃくちゃ冷たい・・・」
「あ・・あん・・・」
「私の体が・・・石に・・・」
「私・・・固まっちゃうよお・・・」
霊夢、鈴、環、ことり、リアはそれぞれ声を挙げながら徐々に石へと変化していった。
「さて、じゃあちょっと量を増やすわよ。」
紫が再びボタンを押した。
すると、先ほどより多くの石化薬が霊夢たちに降り注いだ。
「きゃああああああ」
「ふにゃあああああ」
「ああああああああ」
「いやああああああ」
「だめええええええ」
放出された大量の石化薬が霊夢たちの体を包み込んでいく。
「ゆ・・か・・・り・・・」
「・・・・・」
「あ・・・あ・・」
「あ・・・・・」
「い・・・しに・・・」
やがてカプセルの中の少女達は誰一人動くことも声を挙げることもなくなった。
霊夢たちは完全な石像になってしまった。
「よし・・と・・」
紫がボタンを押すとカプセルが開かれる。
そこには直立した姿勢で石化してしまった霊夢たちが立っていた。
先ほどまでは人の温かみを持つ少女たち。
だが今はただの冷たく無機質な石の像。
紫は彼女達の石像に触れながら言う。
「うふふ・・・やっぱり女の子が石化するのっていいわ。」
紫は霊夢の石像を抱き寄せる。
石化薬で固められたので、その表面は少しざらざらしていた。
「さーて、じゃあ身体検査を始めましょうか。
ホントは固める必要なんて全然なかったんだけどね♪」
最後に霊夢の石像に口付けをして、紫は鼻歌を歌いながら霊夢たちの石像を検査し始め(いじくり始め)たのだった。
霊夢たちが石化から解放されたのは、夕方になってのことだった。




後日談(今回のオチ)
「あー!なによこれ!体重○○○kgって!(プライバシー保護)」
「あ、そういえば石像のまんま体重量っちゃったわ。石なんだからそりゃあ重いわよね。」
「ゆーかーりー(怒)」
「ごめーん、れいむー。」
今日も学園は平和だ。

つづく


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