作:おおばかなこ
ー聖ヨハネ女学院ー
全寮制、お嬢様学校
この学院は、昔、外国人によって創立された。
そのため、創立者の故郷には姉妹校がある。
毎年聖ヨハネの生徒の中から代表者が選ばれ、約1ヶ月姉妹校で学ぶことになっている。
しかし、代表に選ばれた生徒のなかには帰ってこない者が数人いた。
その生徒達は「向こうの生活が気に入ったのでそのまま留まったのだろう。」といわれていた。
高等部のちなつ・・・
ある年、彼女が代表に選ばれた。
ちなつの姉、さやかも2年前に代表に選ばれたが戻ってはこなかったので、ちなつは姉に会えると心を躍らせていた。
だが、姉には会えなかった。
しかも、誰も姉を知らないという。
心細くなったちなつは、そのまま姉妹校の庭をさ迷い歩き、廃棟にたどり着いた。
そこは、植物が伸び放題の建物だった。
「立ち入り禁止」となっていたが、ちなつは「姉さんが好きそうな場所だわ。」と足を踏み入れた。
さまざまの植物を掻き分けていくと、茨の茂みがあった。
そこにきらりと光るものがあったのでちなつが刺に気をつけながら茨を掻き分けてみると、ガラスケースがいくつかあった。
中には一体ずつ等身大の人形が入っていた。
その中に、姉さやかにそっくりな人形があった。
ちなつが「姉さん・・・?」と一声出したところで茨の枝が動き、ちなつの指を刺した。
それと同時に「そうよ、それ、あなたのお姉さんよ。」という声がした。
ちなつはそちらを向こうとしたが、動けなくなっていた。
声は「立ち入り禁止を守らなかったから人形にしたのよ。あなたももうすぐ人形になるわ。でも、安心して。眠り姫のように100年たてば元に戻れるわ。」と言い「眠り姫に呪いをかけた魔女は悪い魔女なんかじゃなかったのよ。お皿が1枚足りなかったから一人だけ呼ばれなかったの。このお話の魔女ではないけど、私はそういう血筋なの。そしてお話と同じことがあったから同じ呪いをかけようかって思ったけど、百年眠ってるお姫様ってむくんでたりして美しくないかと思って百年人形になるって呪いをかけたお嬢様をココへ隠しておいの。なのに、立ち入り禁止をやぶって見つけちゃう子がいたからその子たちも同じ呪いをかけたのよ。さあ、あなたを入れるガラスケースを用意しましょう。」と続け去っていった。
ちなつも戻らなかったので、学院では姉と2人むこうが気に入ったのだろう・・・ということになった。