魔法少女ルカ 第十話「無惨なる魔法少女」

作:シャドウ


「彼女達は脅威だ。」


エメロードとジェリーが倒された二日後の夜。

メイズは残りの幹部を集めてそう告げた。


「そんなことは百も承知だっつうの!」


ウォールの「会議なんてつまらない」といっているような発言。

だが、確かに正論である。


「…だが、我々は彼女たちを過小評価していた。…そう言いたいんでしょ? メイズ。」


修道女の姿をした、ワクスがメイズの発言を補助するかのような発言をする。


「…クックック。俺達の方が弱いって? おかしな話だよな。」


ピエロの扮装をしたパペターは妖しく笑う。しかも、まったく空気が読めて無い。


「…でも、このままでは”王”にお叱りを受けてしまうのも事実。即急なる対策を。」


マネキンと間違うような女性…レシンは眉間にしわを寄せつつ発言。


「…我々ガ最終的ニ魔法少女ニ勝ツ確率ハ…50%…ツマリハ五分五分。」


コンピュータの様なしゃべり方をする大男…ノルベズは頭の中で計算を弾き出す。


「…それを100%にし、我々が勝つ確率を上昇させる作戦はこれよ。」


全員に資料を渡すゲイト。これだけを見ると普通の会議だ。


「………面白いけどつまらないわ、お母様。」


この会議に参加しているのかしていないのかわからないが、

レイトは資料をチョコレートに変えてしまうとむしゃむしゃと食べ始めた。


「…この作戦うまくいくのか? うまくいけば俺たちの勝利は間違いないが…。」


ウォールが怪訝そうに言う。


「うまくいかなかったら、その時は私の出番だ。」


メイズの「自分が責任を取る」発言に他の幹部は頷くしかなかった。

チョコレートを食べているレイトを除いて…。



魔法少女ルカ 第十話「無残なる魔法少女」


北区にあるお嬢様学校:弦撫学園。(げんぶがくえん)

エメラルドの魔法少女・タケミこと北野 岳美はこの学園の中等部に在籍していた。

3日前の事件以来、昼は学園巡回、夜には他の魔法少女と共に修行するのが彼女の日課となっていた。


「おかしい…。」


生徒名簿を見ていた岳美は思わず呟いた。


―生徒数が合わない。


この学園は初等部、中等部、高等部の3つに分かれており、

高等部まではエスカレーター式に進学できる。


ところが、高等部に進学した人数よりも現在の人数のほうが少ないのである。

学校を辞めたという話は一切聞かない…。


「…事件の臭いだな…。」



ところでこの学園には礼拝堂が存在する。

クリスマスにはミサが行われ、格式の高い学園だと周囲では評判である…。

その礼拝堂の一角で…。


「シスター。私の悩みを聞いていただけますか?」

「もちろん。あなた方の悩みを解消するのが私の仕事なのですから。」


高等部の少女がよくある懺悔室に入り、自分の悩みを伝える。


「私は…怖いんです。年をとる事が。人は必ず老いるでしょう?
 美しいままで生きている事なんて無理…それでも…私はきれいなままでいたいんです…。」

「難しい話ですね。人は必ず最後に老いて死ぬ。それはしかたのないことですから。」

「何とかしてほしいんじゃないんですが、ただ聞いてもらいたかったんです。」

「何とか出来ますよ。」


高等部の少女の悩みにシスターはケロリと答える。


「え!? それは一体…?」

「…こうするのよ。」


高等部の少女の頭にドロリとした白い液体がかかり始める。


「あ、熱いぃぃぃぃっ!!!」

「悶えなさい。痛みはすぐに別の物に変わるわ。」

「な、なに? 熱いはずなのに…気持ち良い…!?」

「快楽の顔つきのまま…固まってしまいなさいな。」

「ひぇぁぁぁぁぁ……」


30秒後、高等部の少女はシスターの思惑通りに固まった。

お気づきの方もいると思うが、このシスターは魔族界十幹部の一人、ワクスである。

前シスターを蝋で固め、ここに懺悔や悩み相談を持ちかけてきた少女達を次々と固めていたのである。


「さてと、地下に送って…。これで、150人突破か…次の獲物はと…。」

「そこまでだ。これ以上この学園から被害者を出すわけにはいかない。」


ワクスに声をかけたのは他ならぬ岳美だった。


「やはり現れたわね。次の獲物はあなたよ。」

「やはり…だと? まさか…。」

「あなたが魔法少女なのは分かっているわ。」

「…先輩達を返してもらう!」


岳美は左腕を勢いよく振り上げると、エメラルドのブレスレットから緑色の光がこぼれる。

その光が彼女を包み、魔法少女の姿へと変えてゆく…。

手には強固で大きな籠手が装着され、変身が完了する。


『コンプリート…。』

「魔法少女タケミ。魔族を砕く緑の拳だ。」

「楽しめそうね…。」

「いくぞっ!!」


先手必勝とばかりに、ワクスを殴ろうとするタケミ。


「甘いわ。」


タケミの前に、白い壁が出現!

そのままタケミを包み込もうとするが…。


「っ!」


タケミはバックステップで回避。

なんとか蝋で固められるのは避けられた。


「近づけないでしょ? あなたの戦闘スタイルなら、魔法で自分自身の身体能力を上げて勝負するはず。
 それならば、近づけさせないだけよ。」

「だったら…こうするまでだ!!」


タケミは左腕に魔力を溜め、手刀の様に横に打ち出した。

近距離攻撃を得意とするタケミが、エメロードとの戦いで会得した「マジカルカッター」である。


「がはっ!!」


これをあっけなく受け、ワクスは真っ二つになる…。


「勝ったか…。威力を確実なものにするために、ちょっと力を使いすぎたが…。」


タケミは膝をつき、肩で息をしている。

魔法の力を使うのは、体力を消費するのと同じなのだ。


『マスター、まだ終わっていません。』

「なに!?」


メルクリィの冷たい声とそれが襲い掛かってきたのはほぼ同時だった。

タケミの体を白い蝋で出来た十字架に拘束したのは、先程倒したはずのワクスの下半身が変形したものだった。


「ぐ!?」

「甘かったわね。」


ワクスの上半身が起き上がる。


「なぜ生きている…!?」

「私は心臓をナイフで刺されても死ぬ事はないわ。体が真っ二つになろうとも…。」


ワクスの上半身から、白い蝋が次々とあふれ、
ファンタジーで言うところのナーガのような姿になる。


「こうやって復活できる。」

「く…そ…!」

「私はこの姿が嫌いなの。醜いでしょう、こんな姿は。」


次のワクスの台詞でタケミの顔は青くなった。


「でもあなたは美しく、蝋で固めてあげる。」

「く!?」


ワクスの手からドロリとした白い蝋が出始め、それをタケミにかけていく。

タケミの体にかかった蝋は、彼女の体に生き物のように絡みつくとすぐに固まっていった。


「あ、熱い…!」

「確かに今は熱いわ。でもね…。」

「あっ…?!」


ワクスの台詞でタケミの体は言い知れぬ快感に包まれていった…。


「な、なぜ…私は…気持ちいいと感じている…!?」

「私の蝋はあなたの体の感覚をおかしくさせる。熱さ、痛みなどの刺激的反応を全部快感に変えるのよ。」

「く…うく…。」


タケミの股からは、愛液が少しづつ流れていた。


「素敵じゃない。蝋で固められた白い少女も…。」

「あっ…ぐっ…!!」


タケミは成す術が無いまま、蝋で固められてしまう。


「さて…他の魔法少女は、どんな哀れな末路をたどるのかしら…フフフ…。」


無残にも倒されたタケミ。
希望の光はまだ見えない…。

続く


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