美しき婦警は生贄となる

 

第一章:悪魔の息子
       

暖かな春の昼下がり。ゆっくりと一台のミニパトが

やってくる。

 「ザマーミロ。みんなキップ切られちまえ。」

家の塀の前に、いつも違法駐車されまくってる近所の

オヤジがつぶやく。駅近くの住宅街だけに、駐車料金

をケチるビンボー人の無法ぶりには、もううんざりなのだ。

そんなオヤジも、パトカーの中から出てきた女性を見た

瞬間、ちょと固まったに違いない。

今にもブラウスから飛び出してきそうな爆乳。なぜか他の

婦警さんより15センチは短いスカート。なぜミニ

なのかは謎であるが、とりあえずめったに

見れるモンじゃない。

彼女の名前は古川美咲(みさき)。白足袋署の新米婦警

である。まだまだミスの多いおっちょこちょいな婦警さん

だが、やる気と正義感は人一倍のようで、片っ端から

チョークでビシバシとチェックを入れていく。

タイヤとアスファルトに1本線をいれた後、地面に時刻を

書いていくのだが、しゃがみこんだ時にムチムチの太もも

があらわになるものだから、通行人も思わず立ち止まる

ところなのだが、決してイタズラを考えてはいけない。

こう見えても、彼女は「警官」なのだから。


めぼしいクルマはおおかたチェックし終わった美咲は、欲を出してもう1本裏の通りにも取り締まりの手を広げる事にした。

そんな彼女の目に飛び込んで来たのは、真っ赤に光り輝くスポーツカー(フェラーリ360モデナ)だった。

 「こんなクルマに乗ってるんだったら、駐車料金ぐらいケチらないでほしいわね」

そう言いつつも、運転席を覗いてみたりする。

 「うわ・・・すごい・・・」

ちょとこういう金持ちからは、心置きなく反則金をふんだくれるという心理になってしまうのだが、本当のことを言えば、彼女は

ここで ”やめておく” ことが必要だったのだ。

今ここで、その後の自分の運命を察知しうることが出来たのなら・・・・今にして思えば、このフェラーリに手を出すか否かが、美咲の

人生の分水嶺だったのだ。婦警として生きていくか、「奴隷」として生きていくかの・・・・・

でも、そんな事は、「今」を生きている美咲には分からない。美咲は、ためらいなくチョークを引いた。

このクルマの持ち主が、美咲にとって「悪魔」であるという事など知る由も無く・・・