作:デュール
「頭に浮かぶって言ったって・・・」
「ほら、何でもいいから呪文唱えなさい!」
アリスの強制的命令にしぶしぶと呪文を唱える
「えーと・・・ふわふわめりめり、めりぃ〜にへんし〜ん!!」
呪文を叫ぶとペンダントから光が放つ。
「うわっ!」
命はそのまま強い光に包まれる。
そして光が収まった後には男の子とは思えないほど可愛らしい命の姿が現れた。
「へ・・・変身できた・・・・って何で女子学生服っ!!!」
「だってそれ女の子用だし」
アリスの一言で命は混乱する。
「なななな、何で女の子用を」
「仕方が無いじゃない、支給されたバトンはそれだし、ちなみに・・・」
欠伸をしながら飛び始めるアリス、捨て台詞を言うかのごとく。
「そのバトンは気まぐれでコスチュームが変わるから、説明は以上よ・・・じゃ、あとは任せた」
「えっ・・・えぇ〜そんな事言われたってどうすれば・・・」
命の言う事さえ無視し、どこかへ飛び去っていった。
「行っちゃった・・・どうしよう・・・」
そんな心配をよそに今追いかけられている『何か』が来てしまう。
「ひっ・・・来ちゃったぁ・・・」
『何か』は目の前の命に襲い掛かる。
「わっ!」
間一髪でよけれた命、だが『何か』はすかさず灰色の吐息を吐きかける。
「ぁ・・・」
あっという間の出来事だった。
灰色の煙が命を包み、晴れた後には冷たい石像へと変わっていた。
女子学生服で驚いたまま、固く冷たく灰色に染まっている。
石化した命の胸から光の玉が現れる、『何か』はそれを一飲みにしようとしたとき『何か』は一瞬で蒸発した。
蒸発した後に一人の女性が石化した命に歩み寄る。
「あらあら・・・変身してまもなく固まっちゃうなんて・・・」
白いワンピース姿の女性は蒸発した『何か』から奪取した光の玉を命に戻す。
すると命は固い灰色から元の色に戻り倒れかけるが、女性によって支えられる。
「さて、倒したのだからみんな元に戻ってるはず・・・」
廃工場の中、令を含む石像にされた子供達は元に戻る。
「・・・・あれ?俺は確か・・・命!」
いやな予感が的中した例は廃工場から出て走り出す。
「おーい!命〜!」
走りながらも友達の名前を叫ぶ令、途中人にぶつかってしまう。
「うわっ・・・・あ、ごめんなさい」
「いえ、いいですよ・・・あなた命ちゃんのお知り合いですか?」
「えっ?」
視線を上に向くとお姉さんな女性が命をおぶって立っていた。
「あ・・・あの・・・」
「あ、ごめんなさいね・・・私は命のお姉さんで『厳島 理々須』といいます」
理々須が自己紹介が済むと令は慌てて立ち上がり。
「あっ・・・・お、俺は『冷野 令』といいます!」
「ふふ、緊張しなくてもいいですよ〜」
少しだけ微笑む理々須、その様子に令は顔を赤くする。
「もうそろそろ暗くなっちゃうわね、命ちゃんといろいろ仲良くしてくれてありがとう」
理々須の言葉に恥ずかしさが増えるばかりの令。
「あ、はい!俺だけじゃなくて・・・皆とも仲が良いので・・・・」
「そうだったの、命ちゃんが変わるのも分かるわねぇ・・・」
「あ・・・あの、俺はこれでっ」
そう言うと令は一目散に駆け出した。
「あらあら・・・恥ずかしがりやさんかな?」
そう微笑みながら言うと自分の家へ目指すように歩き出す。
「う・・・うーん・・・」
ベッドから起き上がった命、ベットの横に理々須が彼を見つめている。
「命、起きた?」
「あっ・・・・姉さん・・・」
まだ少し眠気があるのか目が眠そうだった。
「命ちゃん、魔法少女になったってね?」
「うん・・・・ってええええぇぇぇぇぇ!!!!」
さっきまでの眠気が吹っ飛び、飛び上がるほど驚く
「ね・・・・姉さんどうしてそんな事を」
「だって、私もなっちゃったもの♪」
そう言うと命の持ってるペンダントとは違うペンダントを持っている。
「これって・・・」
命が慌てて服の中を探ると、森の中で勝手に貰われたペンダントがあった。
「命ちゃん、端からやられちゃってどーするの?」
「だってぇ・・・何も説明無しに妖精さんが行っちゃったから・・・」
「妖精さんじゃいわよ!アリスよ!ア・リ・ス!!!」
突然でしゃばるどこかで見た妖精。
「あぁ!!何も説明無しに逃げていった妖精〜」
「うるさいわねぇ、男に説明なんて不要だから自分の力でやってなさいよ、後アリスだって何度言わせるの!」
そう言うが理々須はアリスの羽を詰めんで怒る。
「私の命ちゃんにちゃ〜んと説明しなかったってねぇ?」
「だって・・・・男だなんて思ってなかったし・・・・」
ふてくされるアリス、その態度に理々須はアリスを投げ捨て
「んもぅ・・・結局私が説明するじゃないの・・・・」
「きゃぁ〜・・・投げ捨てないでよぉ〜」
そう言うと体制を立て直してまたどこかへ飛び去る。
「じゃあ命ちゃん、今から言う事を良く聞いてね?私達の世界にも影響があるから」
「うん・・・確か魔法少女がどうとか言ってたけど・・・」
変身したときの出来事を思い出し顔を赤くする命、しかし再度真剣な表情になる。
「今はね、この世界が時空からの侵略者に襲われてるの」
「時空からの侵略者?」
その質問に理々須は頷く。
「さっき命ちゃんを石にしたアレ・・・どこかで見たこと無い?」
「えーと・・・コカトリスだっけ?令ちゃんが良く遊んでるゲームに出てきたなぁ・・・」
「そう、そのほかにもいろんな魔物がこの世界を支配しようとしてるの」
そう言うと命は少し混乱をする。
「で・・・でも、何で僕たちが?」
「あ〜・・・その事なんだけど・・・」
少し呆れた表情の理々須は
「何故かくじ引きで決まったらしいの・・・」
「ちょっと!くじ引きだけで決まるの!魔法少女の選び方ってそんなのでいいの?」
「知らないわよ・・・私が決めたわけじゃないし」
そう言い合っていると、命の肩にアリスとは別の妖精がちょこんと乗ってきた。
「こんばんは、君が命さんだね?」
「え?別の妖精さんだ」
「私の名は『メーリ』と申します、私の友達が迷惑かけてすみません」
謝罪の言葉とともにお辞儀をするメーリ
「いいよ、僕そんなに弱くないし・・・」
「そ・・・そうですか、私からはアリスには言って置きますので・・・」
「あはは・・・」
苦笑いをする命、まだ整理していない頭を少しずつ整理しながら就寝する。
古い館の中、一人の少年はいま年下であるはずの幼女と立場が逆転されている。
「ふふ・・・・大丈夫売ったりなんかしないよ・・・」
「や・・・・やめてぇ・・・」
何故かメイド服に着替えさせられている少年の身体の所々が光放つ金にされている。
「今日は満足しちゃった、おやすみ♪」
「ひっ・・・や・・・やめ・・・」
幼女が思いきり少年を抱きしめる、抱きしめられた少年の全てが黄金の塊へと変わり果てた。
「くすっ・・・明日はどんな子を連れてこようかしら?」
金にされたメイド姿の少年の他にも、メイド服で金にされた少年少女達がたくさん並べられていた。
動かない少年から離し、館の窓から外を見つめる。
何かの予感を感じながらも怪しい笑みを浮かべる幼女
「ふふっ・・・何だか面白い予感になりそうだわ・・・」