魔法少年めりぃ〜
第五話『街にも危険がいっぱい?蝋の香りはピンチの香り』

作:デュール


「じゃ、聖夢ちゃん行って来るね」
「いってらっしゃい、命お兄ちゃんに理々須お姉ちゃん」
手を振り、二人を見送る聖夢。
今日は二人の行く二つの学校が合同として最近できた団体制蝋人形館に行く事となる。

「めりぃちゃ〜ん、おっはよ〜」
「あ、令ちゃん」
「あら?この前の子?」
一緒にいた理々須の姿を見るなり令は顔を真っ赤にする。
「あっ・・・・理々須さ・・・ん・・・」
「あれ?令ちゃん?」
令の現状すら知らずに顔を覗き込む命、しばらくして理々須は一言言ってその場から離れる。
「じゃ、また蝋人形館でね?」
「あ、うん、またね姉さん」
理々須が去った後に我に返った令が驚く。
「あ・・・あれ?理々須さんは?」
「え?姉さんなら先に行ったよ」
「そっか・・・」
ため息を下ろし、再度歩き出す令と彼の後についていく命

「りりちゃ〜ん、遅いよぉ〜」
「あ、莉院ちゃんごめんね、ちょっと命ちゃんと話しこんでたから」
理々須が言うと莉院は少し悩み
「命ちゃんってりりちゃんの弟だっけ?」
「そうよ、私の可愛い弟よ〜」
その言葉に莉院は目をきらきら輝かせて
「じゃあさ!じゃあさ!今日会えるんだからニックネーム考えなくちゃぁ〜」
「そうね〜、でも彼ちょっと恥ずかしがりやだから慣れるまではお預けね?」
「うん、それまでゆっくり考えてるよ〜」
命との出会いを期待しながら莉院は理々須と一緒に学校へ向かう。



「・・・注意事項は以上です、では解散」
先生の説明が終わり命達のクラスはいろいろな場所へ行く。
命は令と隆と一緒に館内を見回っている。
「ねぇ、めりぃちゃんはどこに行く?」
「う〜ん・・・」
少し悩む命に隆がパンフレットを見ながら言う。
「蝋人形って僕達の町じゃあ余り見かけないから端から端まで見ちゃう?」
「そうだね、どんな蝋人形なのかな〜?」
そう言うと三人はその部屋に向かって歩き出す。
「あ、命ちゃ〜ん」
命にとっては知っている声がする、その方向に向くと理々須と莉院が歩み寄る。
「あっ、姉さん・・・・あ、その人は・・・」
莉院に顔を向けると少し顔を赤くなる。
「あ、この子は私の友達で『紺野 莉院』って言うの」
「よろしくね〜めいっち〜」
「め・・・めいっち!」
莉院の言い方に驚く命、そこに理々須が彼の連れの二人の事を聞く。
「ねぇ、もう一人の子も命ちゃんの友達?」
「え?うん、隆ちゃんだよ」
「『明石 隆』といいます、よろしくお願いします」
礼儀よく自己紹介する隆、そして命は令のことも紹介する。
「莉院さんには紹介してなかったけど、こっちが令ちゃん」
「え・・・・えと、俺は『冷野 令』です・・・」
彼女達と出会った時点で顔を赤く緊張しながらも自己紹介する。
「そっかぁ〜、よろしくね、れいっちにりゅっち♪」
「れいっち・・・」
莉院から言われたニックネームに隆は苦笑いをする。



「あぅ・・・先生たすけ・・・てぇ・・・」
真っ白な部屋に真っ白の蝋に包まれていく少年、周りには蝋人形にされた少年少女達が数体置かれていた。
ドロドロに溶けた蝋に包まれていく少年お前にはまだ白く染まっていない少女が泣きながら少年の名を叫ぶ。
「うぅ・・・嫌だっ・・・うぶっ!!!」
「いやぁ・・・ちひろんが・・・・ちひろんがぁ〜」
動けた少年もついには溶けた蝋に完全に包まれてしまい、動く事は無かった。
そして崩れるように蝋が落ちた後にはさっきの少年が白く染まった蝋人形と化していた。
「あぁ・・・・そんな・・・・」
「ふふ・・・今日もまたたくさん獲物が来たわねぇ・・・」
液体から女性の形になると女性は笑みを浮かべながら少女に歩み寄る。
「ひっ・・・・いやっ」
後ずさりする少女だが女性の体が真っ白になり溶けていき、少女の足にめがけて襲う、その反動で少女はしりもちをつく。
「きゃ・・・」
しりもちをついた少女を構い無く彼女の体を蝋で張っていく。
少女抵抗するが蝋が包まれた部分は動く事すら出来なくなっていた。
「た・・・・助け・・・むぐっ!!」
少女も目の前の少年と同じ蝋に包まれていった。
そして現れたのは少年と同じ真っ白な蝋人形へと変わり果てていた。
「さて、そろそろ頃合かしら?」
反応すらしない部屋の中で一言そう言うと再び女性の姿に戻り部屋から出る。



「わ〜、よくできてるねぇ」
そう言いながら莉院は展示してある蝋人形をまじまじと見る
「本当に・・・ねぇ・・・」
理々須が少し悩む、命は彼女の様子に気づく。
「ねぇ、命ちゃん」
「うん、わかってる・・・」
そう言うと見学している三人に駆け寄る。
「ごめん、ちょっとトイレに行ってくるね?」
「ごめんね、僕も行きたいんだ」
二人の言葉に莉院は少し呆れて。
「もぅ〜姉弟そろって行きたいだなんて、じゃ私たちここら辺うろうろしてるから」
「うん、僕達もうろうろしておくから、めりぃ達ゆっくりしてなよ」
三人と別れてトイレ前に来る二人は真剣な表情をする。
「姉さんも気づいてた?」
「えぇ、あの蝋人形明らかに固められた人ね・・・・でも・・・」
理々須は少し悩ましい表情をする。
「犯人が見つからない事には変身するわけにもいかないわ・・・」
「うーん・・・」
二人してトイレ前で悩んでいると急に叫び声が上がる。
「え?何?」
「もしかしたら敵かもしれないよ?」


「嫌っ・・・めりぃ・・・うぶっ!!」
「あっ・・・あっ・・・むぐぅ・・・」
令と隆は大きな蝋の液体の塊に取り込まれていく。
「くっ・・・・」
真っ白な液体が引くと莉院の目の前で令と隆は蝋人形へと変わっていった。
(誰もいない・・・するなら今のうちだ・・・・)
その直後に変身した命と理々須が来てしまう。
ちなみに命の今日の衣装は理々須とお揃いの真っ白なワンピースである。
「え・・・・理々須?」
「えっ?」
格好が別でも顔で分かってしまった莉院、しかし何とか理々須は隠し通そうとする。
「わ・・・私理々須ジャナイヨー」
「あー、もう隠さなくたって顔でバレバレよ〜」
「うぅ・・・」
しょぼくれる理々須、そしてワンピース姿の命をまじまじ見つめる莉院。
「で、君がめいっちだね?」
「え?何で・・・」
「そりゃあ顔見知りの人にはバレバレよ?」
そう言うと莉院は指輪を取り出すと指にはめてキスをする。
「木の妖精さん、私に力を貸して!」
突然彼女に光が発する、そして止んだ光からいかにも魔法少女という姿の衣装を身に包んだ莉院の姿が現れる。
「えっ・・・莉院さんもしかして・・・」
「実はあたしも魔法少女なのよ♪」
莉院は舌をちょろっと出す。
「ええぇ〜〜〜」
「莉院ちゃんも魔法少女だったの・・・」
驚く命と呆然としている理々須に莉院が渇を入れる。
「こらこら、ボーっとしてないで敵を倒すわよ?」
「あ、うん」
慌てて戦闘体制に入る二人、そして蝋の液体から女性の形に変わっていく。
「ふふっ、まさか魔法少女が3人もいたなんて・・・」
「団体制しかも学生のみが入れるというのだがら明らかに怪しいわよ」
女性はため息をつきながら笑みを浮かべる。
「ふふっ、私の趣味だからこうするしかなかったのよ」
「そういえば・・・あなた誰ですか?」
命の可愛い質問に女性は答える。
「紹介が遅れたわね私の名前は『蝋乃 竜子』、この館の館長なのよ」
竜子は命を目に向けると彼が男だということが一瞬で分かった。
「あら?あなたは男の子なのね、私好みだからゆっくり蝋人形に変えて永久に愛でてあげるわ」
「私の弟に手を出したら許さないわよ!」
理々須は女性に対して威嚇を発する。
「あらあら?お姉さんなのねじゃあ一緒に蝋人形にしてあげるわ!」
竜子は再び蝋の液体の塊へと変化する。
「みんな、散って一纏めになってると一瞬で終わっちゃうわよ!」
莉院の掛け声で3人は3方に散る。

続く


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