作:HAGE
泣きじゃくる子供達の頭を、優しく撫でていくティナ。
血の通いが止まっている筈の石の手であっても、以前と変わらぬ暖かみを、子供達は頭から感じ取る。
全身から微かな光を放ちながら子供達を慰める彼女の姿は…まさに、石の聖母と呼ぶに相応しいものであった…。
「うぇぇぇん……ママぁ………」
「ぐすっ………寂しかったよぉ………」
「姉ちゃん………
ティナ姉ちゃんが帰ってきてから………ずっと………
ずっと………話をしたかったよ……………!」
『ふふ………みんな……ごめんね………。
ずっと…寂しい思いをさせて……』
ティナが石化したまま帰って来るという、あまりにもショッキングな日からずっと抱き続けていた、悲しく寂しい思いを一人一人漏らす子供達に、
彼女はやや自嘲気味に微笑んだ。
ふふ……いけないなぁ、私………。 みんなを、こんなにも悲しませていたなんて―――
「ティナが謝ることなんてないわ。
…だって、世界を救ってくれただけじゃなく、こうして私達を助けてくれたんですもの!」
『カタリーナ………』
「そうだよ。 寧ろ、いくら感謝しても足りねえぐらいだぜ!」
「ほんとほんと!
やっぱり、ママはすごいや!」
『……みんな………ありがとう……………!』
そんな自分に、皆が優しく応えてくれたことに、ティナは感謝せずにはいられなかった。
「…それにしてもよ、ティナ…。
確か、ケフカの最期の攻撃から仲間を庇って、石になってしまったんだよな?
それから、村に帰ってきても、眠り続けたまま…みたいな感じだったんだろ?
こうしてまた話が出来るのはすげえ嬉しいけど、一体どうやって目覚めたんだ?
石になる時のとこも含めて…教えてくれないか? ティナ。」
『うふふ……それはね……ディーン………』
ティナが飛び出してきたあの時からずっと気になっていた事を、ディーンはそれとなく訊いてみる。
そんな彼の疑問に答えるべく、ティナは皆に語り始めた。
『ケフカの最期の攻撃から大切な仲間を守ろうと…私は残っていた全ての力を使った。
そのおかげで、上手く行ったんだけれど…ケフカは諦めなかった。
せめて私を道連れにしようと、私を石にする攻撃に変えてきたの。
それを防ぐ方法も…元に戻る方法も…無いと言ってね。』
「元に戻る方法も無い」と聞き、一瞬ケフカへの怒りが沸いてきた皆だったが、水を差すまい、と黙って聞いた。
『ケフカが崩れ去った後も…石化の進行は止まることは無かった。
両手の先から…左脚の先から…体が段々、石になっていくのが分かるの…。
「仲間を守る事は出来たけれど…無事にみんなの所へ帰ってくる約束は、果たせなくなっちゃったな………」
そう思っている内に……私の意識は、深く落ちていったわ………。』
その時の話をしている彼女の顔が、ふと、切なげに見えた。
『…その後に私がいたのは、見渡す限りの…闇。
前も、後ろも、左も、右も、上も、下も……全てが闇に覆われているの。
正直、涙が出そうになったわ…こんなにも恐ろしいと思ったところは、他に無かったんだもの…。
…でも、私自身…後悔は無かった。
その意思もないまま帝国の秘密兵器にされていたとはいえ…私は数えきれない大勢もの人々を、殺めてきた…。
私がここにいるのは、その数多くの罪に対する、大いなる償いなのだと思えば…私は自分の境遇を、受け入れることが出来た。
それに、そうでないとしても………後の世界が、みんなが明るく、心から笑って生きていける世界になったのなら………
ここでみんなの笑顔を想いながら、完全な眠りについてゆくのも悪くない―――――そう思っていたの。』
「ティナ………。」
石になっても尚、自分達の事を想い続けていた彼女を、皆は健気に思わずにはいられなかった。
『それから、どれほどの時が過ぎたんだろう…ほんの数時間かもしれないし、永遠に感じるほどなのかもしれない。
でも、それから暫くすると……微かだけれど、光が見えてきたの。
それはゆっくりと、少しずつだけれど…確実に大きくなっていくのが分かったの。
私は走り出したわ…その光の方へと。 もしかしたら、目覚めることが出来るかもしれない…そう思ってね。
…すると、光に近づいていくにつれ……子供達の……助けを呼ぶ声が、聞こえてきたの…。
「誰か…僕たちを……私たちを………助けて………。」と、みんなの声が聞こえてきたの…。
私は、いても立ってもいられなくなった…。 大切なみんなが…あんなにも悲痛な、助けを求める声を上げていたのだから。
光が闇に取って代わるぐらいにまで近づいた瞬間―――――私がいたのは、かつてみんなと住み慣れていた家の中だった…。
「ああ……私、帰れたんだな…!」と、一瞬思ったけれど、みんなが助けを呼んでいた事を思い出して、すぐに家の外へと飛び出したの…。
…後は、みんなも見た通りよ。 まさか、あんな悪い人達がみんなを襲っていたとは思わなかったわ…。』
ティナの話を聞き終えた皆は、最早涙を堪えられなくなっていた。
それは、先程までの嬉しさに上乗せされる、大いなる感動から来る涙だった。
「ママ……そんなにも……僕らのことを………」
「うう……ぐすっ………
わたし…すごく……うれしいよ………!」
「ティナ姉ちゃん………
好きだよ…………大好きだよ……………!」
「助けを求めるみんなの気持ちを…みんなを守りたいと想うティナの心を……
神様が聞き届けてくれたのね………。」
「……くそっ。 俺としたことが、涙が止まらねえよ…。
ティナは本当に、凄いよな………!」
『ふふ………そんなことは、ないわ………。』
子供達は知らず知らずの内に、救いを強く求めていた。
そしてその強い気持ちが、石になってからもずっと、皆を想い続けていたティナに届いた…。
…これを、真の奇跡と云わずして、何と云うべきであろう―――
「………あっ! そうだ!!
ママ! カタリーナのお腹の赤ちゃんが生まれたんだよ!」
「おおっと! そうだった、そうだった!
ティナ! ティナがこうして目覚めることが出来たんだから、俺とカタリーナの子の顔も見せなきゃな!」
ふと、ディーンとカタリーナの子のことを一人が思い出したことで、皆はその子をティナに見せてあげようと考えた。
『そう…!
私が眠っている間に、二人の子は、無事に生まれていたのね…。
良かった…!
……ふふ………悪いんだけれど…ここへ連れて来て、見せてくれないかしら…?』
「えぇー、どうして!?
やっと目が覚めたんだからさ、家に帰って僕達と一緒に見ようよ!」
『ごめんね………少し、疲れてるみたいなの…。』
「……そっか。
ごめん…急に目覚めたばかりなのに、悪いこといっちゃって。」
『ううん。 謝らなくても良いの…。
…それより、ディーンとカタリーナの子…私にも見せてくれるかしら?』
「…あ、ああ。 ちょっと、待っててくれ!」
疲れてるとはいえ、何故か皆と共に家に戻らず、ここで見たいと言うティナの様子に少し戸惑いを感じながらも、ディーンは我が子を
連れて来ようとに家に向かった。
そして暫くする内に、ディーンが赤子を抱えて戻って来た。
「どうだい! この子が、俺とカタリーナの子だ!
可愛いだろう? 女の子なんだ。
名前はさ、俺とカタリーナの名を取って………『ディリーナ』って名付けたんだ。
へへ………いい名前だろ!」
『ふふ………可愛いし、良い名前ね……!』
「もう、ディーンったら…。
名前を考えたのは、私の方なのよ?」
「おいおい、カタリーナ! 細かいことは気にしないでくれよ!」
そんな、ディーンとカタリーナの夫婦漫才のようなやり取りを微笑ましげに眺めつつ、ティナはディリーナをディーンに代わって抱きかかえた。
「キャハハハハ。 キャ、キャ、キャ、キャ、キャ。」
「見て! うれしそうに笑ってるよ!」
「やっぱり、ママは優しいんだってこと、ちゃんと分かるんだね!」
「へへ…。 相変わらず可愛い顔しやがって、コイツっ!」
『本当……可愛い子ね………。
将来はきっと、カタリーナ似の、優しく可愛い子になるでしょうね…。』
「ティナ〜。 俺に少しでも似てるところは無いのかよ〜!」
ティナの言葉に不貞腐れるディーンの姿に、皆は大いに笑った。
そしてディリーナをカタリーナに抱かせると、ティナは爽やかな溜息をついた。
『今日は……本当に、素晴らしい日だわ………。
みんなとまた会えることが出来たし…
みんなとこうして話が出来たし…
ディーンとカタリーナの子の顔を見ることも出来たし…
……こんなにも素晴らしいと思える日は、今まで無かったわ………。』
「マ、ママ…何言ってるの?
これからまた、ずっと一緒に過ごせるじゃない!」
「そ…そうだよ! 体が石になってること以外は、何も変わらないんだからさ!」
「これから僕達と、楽しく笑って暮らしていけるじゃない!」
突然、どこか雰囲気が変わったかのようなティナの言葉に、皆は戸惑いつつも励ました。
感無量と云わんばかりの彼女の言葉が、何故だか寂しげに思えたからである。
……そしてそれは、気のせいでは………無かった。
『ふふ……みんな………ごめんね………。
どうやら私……。 また、眠らなくちゃいけないみたい……。』
「………え?」 「………ママ……?」 「今……何て、言ったの………?」
『ごめんね………ようやく、みんなに「ただいま」って言ったばかりなのに……
みんなにまた、会えたばかりなのに……
私は………もうすぐ…再び深い眠りに落ちていくわ………。』
切なげな微笑と共にそう明かすティナの身体から……微かに放たれていた光が、次第に弱くなっていく様が見える。
一人の子供が思わず彼女の手を握った時……頭を撫でられた時には感じられた手の温もりが、徐々に冷めていくのが分かった。
……まるで、本来の…石像としての在るべき姿へと、戻ってゆくかのように―――
「う……ウソだ……!
何でまた………眠りについちゃうの………?」
「そんな………ママ………!」
「せっかく目を覚ましてくれたのに…また、動かなくなっちゃうの………!」
「こんな…ことって…………ティナ…………」 「ま………マジ…かよ………。 何でまた、急に眠ったりなんかするんだよ………!」
ようやくティナが目覚め、これからも共に暮らしていけると思っていた皆は……再びティナが石の眠りに付くという事態に、悲嘆せずには
いられなかった。
そんな彼等を慰めようとするかのように、彼女は優しげな笑みへと変わった。
『詳しくは分からないのだけれど……私が目覚めることが出来たのは、もしかしたらこのペンダントのおかげじゃないかなって、思ってるの。
私の両親の大切な思い出の品………これだけは、石になってないでしょう?
私がみんなの声を聞いた時、この胸のペンダントが光っていたわ…。
だからこれが、助けを求めるみんなの強い気持ちを受け止め…私の持っている魔力と、共鳴したんじゃないかと思うの…。
ケフカを倒した事で、魔法の源はこの世から消滅したのだけれど…私の中には、未だに魔力が在り続けている…。
その私の魔力と、みんなの気持ちを受け止めたペンダントが共鳴したために、私は目覚める事が出来たのだと思う。
…今、そのペンダントに込められた思念も弱まってきたから、眠くなって…きたのかも、ね…。』
「よ…よくは分からねえけどよ!
つまり、俺達が「ティナと会いたい」とか、「ティナと話したい」とかって強く思えば、ティナは目覚めるんだろう!?
だったら何で、今になってやっと目覚めたんだ!?
ティナが石になったまま帰って来てから、俺達はずっと、ティナと「会いたい」、「話をしたい」って思ってたんだぜ!」
『それは……………
………ごめんなさい。 分からないわ………。』
あまりにも理不尽な事態に感情的になっていたディーンはつい、ティナに問い迫った。
だが、自身も詳しくは分からない事であるために、彼女は申し訳の無い返答しか出来なかった。
「そ…それじゃあ、何か?
ティナが目覚めるには、マジにものすごい気持ちになるような……
さっきみたいに、悪人共が村を襲って俺達を悲しませるようなことでも起きねえ限り……
ティナは普段、眠り続けるっていうのか…!?」
「つまり………逼迫した状況というか、極限状態というか………
みんなの心が…そんな状態にまで追い込まれたような時に強く想いを込めないと、ティナには届かず、目覚めないということ?」
『………きっと………そうかも………知れない…………。』
「そんな………」
「わたしたちが、あんな怖いめにあった時じゃないと……
ママは目覚めないっていうの……?」
村の皆が、精神的に追い詰められ逼迫した状況に願うことで…ティナは一時的に、石の眠りから目覚める。
そして皆が救われると、ティナは再び眠りに付く―――
…その、あまりにも数奇と皮肉に満ちた事実に、皆は茫然とし、黙りこんだ。
「こんな形でしか……ティナとは会えないんだね………」
子供の一人が俯きながら、悲しそうでも泣きそうでもない、何とも言えない声で呟いた。
そして、暫しの後………突如顔を上げ、ティナに顔を向けた。
その顔は、先ほどまでの様な苦悶の表情ではなく―――――――
………笑みの表情であった。
「………ティナ!
……僕たちを……助けてくれて……
……本当に………ありがとう!」
「ルイ…?」
「僕たちは………もう、大丈夫!
これからは、どんなことがあっても……ティナを悲しませるようなことが、起きないようにする!
僕たちが悲しむ度に、目覚めちゃうんじゃ………ティナに、申しわけないからね!」
『………ルイ………』
人質の一人となっていた少年のルイが、強い言葉で自分の意志を明かした。
それに呼応するかのように、他の子供達も、次々とティナに向けて言った。
「ルイ君の言うとおりだよ!
私たち……もう、メソメソしたり、しないんだから!」
「そうだ!
僕らがいつまでも悲しんだりするんじゃ、ティナ姉ちゃんに顔向け出来ないや!」
「僕たちはもう、大丈夫!
だからさ………ママは、安心してよ!」
『………みんな………
………みんな………!』
子供達が皆、強い気持ちとなって、次々と励ましていく―――
そんな彼等の姿に感動したティナは…石の眼から涙は出ずとも、泣かずにはいられなかった…。
「へっ…。 コイツら、生意気にいっちょまえのことを言うじゃねえか…!
あまりに的を得すぎてて……父親代わりのくせに、俺は自分が恥ずかしいぜ…!
俺…もう、さっきみたいなやられっぱなしにはならねえぞ!
ティナほどにはなれなくても……コイツらも、カタリーナも…ちゃんと守れるくらいに強くなってやるぜ!」
「ティナ………。
この子達の言う通り……私たちの事は、大丈夫よ……。
だから……安心して……眠ってね………。
……そして、どうか…………私たちを……………
… … 見 守 り 続 け て い て く だ さ い … … 。」
『ディーン………
カタリーナ……………!』
数奇と皮肉に満ちた事実は、良い意味での更なる皮肉をもたらした。
皆の意志が強くなり…ティナと皆の絆が今、よりいっそう深まったのである。
これから先、数多くの困難もあるだろうけれど………力強い、幸ある人生を、みんなは歩んでゆくに違いない―――
そのことを明瞭に確信したティナは、至上の喜びと共に、皆に言った。
『みんな………
ありがとう…………ありがとう……………!
私………みんなが………そんなに強い心を持ってくれて………
……ほんと……う…に………うれ…し……い………』
「ティナママ…!」 「ママ…!」 「ティナ姉ちゃん…!」
「ティナ……!」 「ティナ!」
まだ眠りには付くまいと、力を振り絞るかのようなティナの言葉に、皆は時が近いことを知った。
身体から放たれる光も、最早消えかかっている。
もうすぐ…ティナは再び石の眠りに、ついてゆく―――
『ふふ……それ……じゃ………
そろそろ………ねむるわ……ね……………
……でも……しんぱい…しない…で……
ねむる……といっても………みんなと…………わかれる……わけじゃ……ないから…ね………
わた……し……は………いつ……までも…………
みんな…を………みまもって………いる……わ……………
… … … … … い つ ま で も … … … み ん な の … … … …
… … … そ ば に … … … … … … … … 』
『シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……………』
言い終えると共に、身体から発する光は消え………
優しき笑みを浮かべたまま……ティナは再び、深淵なる眠りに落ちていった―――――。
…それから数日後。
「………ふう。
そんなに経ってもないのに…ここに来るのが、何だか久しぶりに思えるな………。」
あの日から、皆それぞれの生活に戻り…お互いに顔を合わせる機会もなく……
嘗てのように、冒険生活に明け暮れているロックの姿が、そこに在った。
…と言っても、セリスのことを放り捨てた訳でも、喧嘩別れをした訳でもないが。
「ティナが石になったまま帰ってきた時……
村に住む子供たちは、凄く悲しんでたよな………。」
冒険者という肩書きである以上、行動範囲の制約が皆無と言ってもいい彼は、何度目かの奔放な旅の傍ら、モブリズのことを思い出し、
ふと、立ち寄ってみようと思いついたわけである。
「あれからおよそ、一月ぐらいか………。
村の子供たちは、どうしてるんだろう…?
やはり、今でも悲しんでいるんだろうか……。」
そんな暗澹たる面持のまま、ロックは思い切って、村に入っていった。
「みんな! 久しぶりだな!
俺だよ! ティナの仲間の、ロックだ!」
近くにいた子供に向かって、そう声を掛けてみる。
暫くして気が付いた子供が、こちらへと駆けて来る。
(………やっぱり……落ち込んでいるか………)
そう思ったロックは、次の言葉をどうにか見つけようと模索していた………
……すると。
「わ――――――い!!!
ママの友達の、ロック兄ちゃんだ―――!!
みんな―――!! ロック兄ちゃんが、やってきたよ――――――!!!
「え!?」 「ほんと!?」 「ああ! ロックのお兄さんだ!!」
『いらっしゃ――――い!!
久しぶり―――――!!』
「え…? え…? え…?」
何故か、思っていたように悲しんでいる様子はなく…それどころか逆に、物凄く嬉しそうな子供達の様子に、ロックは戸惑ってしまったのであった。
…そして彼も、あの時の村での出来事を…あの時の奇跡の話を、知ることが出来た。
「………そうか。 そんな事が、あったんだな…。
石になっても尚、愛する村の皆を守る為に、目覚める…か。
……全く、ティナは本当に凄いんだな…!」
モブリズに立ち寄ったことは、大いなる収穫であった。
その後、ロックを始めとする人伝によって…それぞれ遅い早いの差はあれど、他の仲間も皆、強く優しき勇乙女の話を聞くところとなった。
………余談だが、この話を聞いた仲間の中で、女好きのプレイボーイでもあるエドガーが、
「フッ…。 そんなにも素敵極まるレディ……
もっと早く、何としても口説き落としていれば良かったな…。」
…と、あまりにも切実に悔しがっていたことが皆の内で囁かれる話となったことを、後日談として締めることとする―――。
<最終話・終>