従順〜つかの間の解放〜

作:ロス・クロス


ブシュウゥー!!
派手な音と共に何かが装置から排出される。それは人の色を取り戻し、体を濡らして台に横たわる京子だった。
「んっ・・・ここは?」
「目が覚めたようだね、京子君。」
「かい・・ちょう?私、喋って・・」
「ああ、元に戻したんだ。」
「そう・・ですか。あれからどれくらいたったのですか?」
「3年だ。」
「3年・・・そんなに。」
京子は体を起こそうとした。
「ああ、まだ無理することはない。もう少し寝ていたまえ。」
「ありがとうございます。あの、私が元に戻っているということは・・・」
「そうだ。遂にあの技術が完成したんだ。すぐにとはいかないが、近いうち君に処理をうけてもらう。」
「そうですか・・・」
「とりあえず、暫くはゆっくり休みたまえ。3日間の休暇を与える。」
「検査等もございますので今晩はここに泊っていただきます。」
「わかりました。」
白衣は京子に毛布をかぶせて台車を押して行った。
「さて、私も帰ろうかな。」
そして部屋から誰もいなくなった。
「加藤さん、どこか動かない所はありますか?」
京子は試しに色々と動かしてみる。どこにも異常はないようだ。
「大丈夫です。まだ動きにくいですが、異常はありません。」
「そうですか。あとは細胞等に異常がないか検査するだけですので。」
「お願いします。」
こうして二人とも一つの部屋に消えた。

そして翌日・・・
「どうもありがとうございました。」
「いえいえ。またいずれお会いすることになるでしょう。」
「そのときはまたよろしくお願いします。では、失礼します。」
そういって京子は迎えの車に乗り込んだ。今日から三日間の休暇だ。自分のマンションに着いたのは、昼前だった。
「ご飯、何にしようかな?冷蔵庫には何も入れてないし、外食は決定なんだけど・・」
「京子?京子じゃない?」
「玲子?久しぶりねぇ。」
ご飯に悩む京子の前に一人の女性が姿を現した。彼女の名は山口玲子。同じマンションに住む京子の同僚だ。
「久しぶりじゃないわよ。アンタどうしたのよ?急に休職するって聞いてこっちは大変だったんだから。会長なんか絶対に来客は通すななんていって自分から先方に出かけて行くし。」
(会長が?)
「ごめんごめん、ちょっと実家に帰ってたのよ。もう用事は済んだし、あさってから復帰よ。」
「これは昼ごはんでも奢ってもらわないと許せないわね。」
「わかったわよ。どこでも行きたい店言って頂戴。そのかわり車だしてよね。」
「それくらいならいいわ。じゃあ、最近できたおいしいパスタの店があるの。そこでどう?」
「パスタね。いいわね。そこにしましょう。」
「決まりね。じゃあちょっとまってて。車出してくる。」
そう言って玲子はガレージに行った。暫くして赤い車が京子を乗せて走って行った。
「このカルボナーラおいしい!」
「でしょ?私もここのナポリタンがすっかりお気にいりよ。」
二人は暫くパスタに舌鼓を打ちながら談笑していた。気がつけば時計が1時を指していた。
「もうこんな時間。玲子、あなた仕事は?」
「それについては話さなくちゃいけない事があるの。実はね、私妊娠してるの。」
「えええええ!!!!??」
店内に響くような大声を上げたため、視線が京子に一気に集中する。京子はそれに気づき、冷汗をかきながら着席した。
「に、妊娠っていつの間に」
「つい最近わかったのよ。それで今日は検診があったから休んでたんだけど・・・」
「相手は?」
「営業課長の田川さん。あの人ウチの会社のサッカー部に入ってるんだけど、前に試合を見にいって惚れちゃったのよ。で、思い切って告白したらOKしてもらえて今に至ると。」
「そうだったの。おめでとう、玲子。」
「ありがとう。でも京子にも結婚式の招待状送ったのに返信すらないんだもん。」
「ごめんね。こっちもこっちで大変だったから。」
「まあいいわ。今日はこれから行くところがあるの。悪いけど今日はこれでお開きね。家まで送るわ。」
「そうしてもらえると助かるわ。」
京子は勘定を済ませて外で待つ玲子の車に乗り込んだ。玲子は京子を家に送ると車で走り去った。
「さて、今日はもうすることもないし何か疲れたから寝ようかな。」
京子はマンションに入っていった。こうして休暇の一日目は終わった。
二日目と三日目は彼女は普通に家事をして過ごした。そして休暇が終わり、彼女は仕事に復帰した。三年ぶりの職場だ。だが大して変った様子もなかったので大変やりやすかった。
彼女の仕事、会長の第一秘書であることを遂行していく。暫くは話らしい話も会長とはできなかった。京子が職場復帰してから二ヵ月後、少し暇が出来たとき彼は京子に話しかけた。
「あの壁の四角い跡がわかるかい?」
「あれは・・・」
「あそこに君を飾っていたんだよ。いつでも一緒に居たかったから。」
「会長・・・」
「なあ、京子君。例の件なんだが・・・そろそろどうかな?」
「・・・会長さえよろしければ、私はいつでも・・」
「わかった。では今日の業務はこれで終わりだ。明日から準備を始めるのでその事についての相談をしよう。君の部屋の荷物は実家に。」
「会長、私の実家はもうありません。両親は既に死亡しており、私は一人っ子ですので。できれば処分という形にしていただければ。」
「わかった。社内については退職ということで。明日の朝、君を迎えに行く。時間は10時だ。」
「はい、お待ちしております。」
「それから明日から一週間、私の予定は空けておいてくれ。全てを見届けたいんだ。」
「かしこまりました。」
「以上だ。ああ、この資料も読んでおいてくれ・・・なあ、京子君、もしよければしないか?今から。」
「会長・・・そうですね。これが最後になるんですもの。私の体、たっぷり味わってください。」
そう言うと京子は服を脱ぎだした。男は彼女をソファに呼び寄せる。京子は裸でそこに寝そべった。その上から男が覆いかぶさる。そして京子は彼を受け入れた。これが二人が最後につながった夜となった。1時間後----
ゴプッププ ハァッハァッ
股間から男の種を垂れ流し、京子はソファに横たわっていた。全身に咬みつかれた痕があり、特に乳房に集中していた。
「はぁっはぁっはぁっ・・・か、会長、私の体美味しかったですか?」
「京子君、気持ちよかったよ。今日は帰って休みなさい。」
「分りました。失礼します。」
京子は落ち着くと部屋を片づけて出て行った。その後男はどこかに電話をかけ始めた。
「私だ。明日から調整に入る。よろしく頼む。」
次の日・早朝

「ふぅ、これで部屋の片づけは全部終わったわね。」
時計の針は午前9時を指している。
「お風呂にでも入っておこうかしら。タオルくらいなら多少濡れていてもいいし。」
早速服を脱ぎ、タオルを持って浴室に。簡単に体と髪を洗い、浴室を出て寝室に。鏡の前で化粧を始める。元々美しいのでそこまで厚化粧は必要はない。ものの5分で終了し、化粧道具も片付ける。午前10時、呼び鈴に呼ばれて玄関に行くと、外で会長が待っていた。護衛も付けずに一人で。
「どうぞ、上がってお待ちください。」
「お邪魔するよ。」
男は部屋に入って行った。リビングで待つように言われたためテーブルについて待つ。やがて京子が寝室から出てきた。いつもの赤い仕事服だ。
「おまたせしました。」
「ではこれを。」
男は赤い宝石のような物を取り出した。
「以前にもl使用した物ですね。施設まではこれで搬送するのですね。」
「そういうことだ。いくら君でも道順を見せるわけにはいかんのでな。方法は覚えているだろう?。これも確立された技術だ。まぁあの男はもうこの宝玉は作らないと言っていたが。」
以前カーボンフリーズした時もこの方法にて搬送したらしい。
京子は男に差し出された宝玉を受取る。京子はストッキングを下ろし、パンティをずらし、その隙間から自分の穴にそれを押しこんだ。その長い指でどんどん押しこんでいく。やがて最奥まで押し込んだらしく京子は指を抜いてストッキングをあげた。暫くすると、京子は自分の体が熱くなるのを感じていた。やがてそれは苦しみへと変わって行く。
「クッ!ウウゥゥウッアァッ!!」
京子が悶え始めた。すると京子の体を赤い光が包みこんで行く。それは濃さをどんどん増していき、やがて赤い人型になった。いつしか京子のうめき声は消えていた。そして赤い人型は形を崩していき、最後には元の赤い宝玉となって乾いた音をたてて床に落ちた。男はそれを拾い上げ、左手にはめた指輪の台座にそれをはめた。男は宝玉の中を覗き込む。先ほどまでは何もなかったのに今は京子の裸体が刻みこまれている。
男は封印された京子を持って部屋を出た。鍵は事前に京子から預かっていたのでそれで閉めた。そして下で待っていた車に乗り込み、マンションを後にした。もう二度と戻らない。
車は暫く走り、一つの建物の前で止まった。男は車から降りるとさっきの宝玉を外し、懐から取り出した香水のようなものをそれに振りかけた。するとそれは発光し始め、大きな卵のようになった。やがて赤い卵は崩壊していく。外殻が霧散するとそこには服を着た京子が立っていた。辺りを見回している。京子はそこに見覚えがあった。そう、そこは以前京子をカーボンフリーズした設備のある建物だったのだ。
「着いたのですね。」
「ああ。そう言えば君はここに来るのは二回目だったな。」
「はい、そうです。しかし今日でここに来るのも最後でしょう。」
「ああ、そうだな。さあ、中に入ろう。君は一旦社に戻っていてくれ。必要なときはまた呼ぼう。事故には気をつけるんだぞ?」
「かしこまりました。」
二人を下ろして車は走り去った。京子達は建物の中に入っていった。名残惜しそうに後ろを振り返る京子。
「どうした?」
「いえ、もう引き返せないんだなと思いまして・・・」
「どうする?やめるか?今ならまだ・・」
「いえ、行きましょう。」
「わかった。」
その時・・
「会長!お待ちしておりました。」
あの時の白衣が二人を出迎える。
「待たせたかな?」
「いえ、時間通りです。早速始めますか?」
「ああ、そうしよう。」
「ではこちらへ。」
白衣の案内で建物の奥へと進んでいく。エレベーターに乗ると、白衣はパネルを開けて網膜をスキャンさせた。エレベーターの表示はB3までしかなかったがそれよりも下に降りて行く。扉が開くと通路にでる。ここも以前歩いた道だ。
「こちらです。中にお入りください。」
中に入ると白衣が電気をつけた。部屋の奥にあの機械が見える。その横に人の形をした何かがある。
「よろしければ近づいてご覧になってください。」
「あの、この人達は?」
「こちらのカーボンフリーズ像は娘で、こっちの金属像は私の妻です。二人とも最初は渋っていたのですが最終的に協力してくれました。娘は私が初めて固めた人間です。プロトタイプの時に処理をしたので蘇生はできませんが。」
「御自分の身内を・・・」
「彼の家系は根っからの科学者でね、自己犠牲すら厭わないんだ。彼自身も自分を色々な実験の材料にしている。」
「私の体は既に薬品だらけですよ。最もそのおかげで色んな技術を完成させることができたんですがね。」
「彼には感謝しているんだよ。ところで、いつ始められるんだ?」
「いつでも。会長と加藤さんさえよろしければ。」
二人はお互い見つめ合い、白衣に向かって無言で頷いた。

続く


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